北教組が給特法改正に対し見解 超勤固定・常態化を批判 定数増や授業時数削減求める
(関係団体 2019-11-01付)

 北教組(信岡聡中央執行委員長)は、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案」に対する見解を発表した。学校行事などで業務量の多い時期の勤務時間を増やし、長期休業期間に休日のまとめ取りを可能とする改正案について、「教員の超過勤務を解消するものではなく、むしろ超勤実態を追認し、超勤を固定化・常態化させかねない」などと批判。長期休業期間の大幅な業務削減、教職員定数増、教員一人当たりのもち授業時数の削減、部活動の社会教育への移行など、抜本的な超勤解消策を求めていくとした。声明の概要はつぎのとおり。

 文部科学省は、第200回臨時国会に上程する公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(以下、給特法改正案)を公表した。

 その内容は、働き方改革を推進するためとして、①現行第5条の地公法の読み替え規定を整備し、自治体の判断で条例によって教育職員に対して1年単位の変形労働時間制を導入できるようにする(2021年4月1日施行)②7条を新設し、「勤務時間の上限に関するガイドライン」を「業務量の適切な管理等に関する指針」(以下、上限ガイドライン指針)に格上げし文科大臣が策定および公表する(2020年4月1日施行)―とするものである。

 文科省は、上限ガイドライン指針の順守に向け、現状、小学校で月約59時間、年約800時間の所定勤務時間外の在校等時間を月45時間、年360時間以内にする業務の削減を行った上で、学校行事等で業務量の多い時期(計13週を想定)の所定の勤務時間を週当たり3時間増加させ、その分の39時間(約5日分)を長期休業期間中(8月)に休日のまとめ取りとして実施することをイメージしている。

 また、文科省は、2022年を目途に勤務実態調査を実施し「給特法等の法制的な枠組みを含め、必要に応じて検討を実施する」とした。

 これらはいずれも教員の超過勤務を解消するものではなく、むしろ超勤実態を追認し、超勤を固定化・常態化させかねないものである。また、何ら上限ガイドライン指針の順守に向けた具体的な業務削減も示されていないことから、小学校の月約59時間の超勤を月45時間時間以内にすることすら困難であり、部活動などによって月約81時間の超勤がある中学校においては机上の空論と言わざるを得ない。

 さらには、文科省が閑散期と考えている長期休業期間中についても、教員は部活動や官制研修、会議・打ち合わせなど様々な業務に忙殺されている現実にある。

 その上、労基法上、1年単位の変形労働時間制導入に当たっては、労働組合との協定を必要としているにもかかわらず、文科省は勤務条件条例主義を口実に労基法上の労使交渉・協定をないがしろにする姿勢を示している。

 加えて、北海道においては、これまで労使交渉を経て、修学旅行など深夜・早朝に及ぶ超勤に対しては、「4週の期間における勤務時間の割振り変更(1ヵ月単位の変形労働時間)」によって、週休日における勤務に対しては週休日の振替・特例によって、可能な限り直近に1日単位の実質的な回復を措置させてきた経過があり、1年単位の変形労働時間制導入によってこれらの制度の改悪となることが懸念される。

 何より、本来業務自体が過多となり、正規の勤務時間内に終えることができずに超勤が常態化している実態を改善しなければならない。

 以上のことから北教組は、正規の勤務時間内ですべての業務を終えることができるよう大幅な業務削減を求め、超勤の常態化に歯止めをかけるよう全力で取り組む。そのため、引き続き長時間労働是正キャンペーンによって世論喚起を進め、教職員定数増、教員一人当たりのもち授業時数の削減、部活動の社会教育への移行など抜本的な超勤解消策を求めていく。

 1年間の変形労働時間制に対しては、少なくとも長期休業期間中の業務の大幅削減によって繁閑の差をつくり、やむを得ず行った超勤に対しては、直近の回復を基本に長期休業期間においても実質的な回復を行うことで、教職員が確実に休むことができる制度とするよう取り組むとともに、長期休業期間中の校外研修の措置を求め取り組む。

 指針に対しては、文科省が所定の勤務時間外の在校等時間を労基法上の労働時間ではないとしていることに対し、明示の命令の有無にかかわらず、やむを得ず行った超勤については労基法上の労働時間とするよう給特法の廃止、もしくは第3条・第5条の抜本的な見直しを求めていく。

 また、1年間の変形労働時間制、上限ガイドライン指針については、各級における労使交渉事項であることの周知・徹底を求めるとともに、超勤解消策については常に当局にその効果の検証と不断の改善を迫り、実効あるものとさせる必要がある。

 そのため、給特法改正案の問題点を追及し、一方的な導入とさせないよう、日政連・北政連議員と連携し、日教組とともに院内外の取組を強化し、全力で取り組む。

(関係団体 2019-11-01付)

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