本質知らせて運動広げ 道高教組第235回中央委員会で尾張中央執行委員長あいさつ(関係団体 2019-11-06付)
変形労働時間制は問題の本質を隠蔽すると訴えた
道高教組(尾張聡中央執行委員長)は10月26日から2日間、札幌市内の道高校教職員センターで第235回中央委員会を開いた。委員会での尾張聡中央執行委員長のあいさつ概要はつぎのとおり。
▼働き方改革
道教委が全道の小中高校生の家庭に配布している『ほっとネット』の最新版は、学校における働き方改革を進めていることをトップとしている。
最近まで教職員の勤務実態調査などによって、学校現場と教職員を締め付けてきた道教委が、今、働き方改革を掲げていること自体に違和感というより欺瞞性を感じるが、教職員の異常な長時間労働が社会問題となり、解決を迫られる課題になっている。私たちの運動によって、そうした事態をつくり出した。
しかし、この解決策として安倍内閣が打ち出してきたのが1年単位の変形労働時間制。この制度が学校に導入されれば、端的にいって1日10時間まで勤務時間を延長し、今ある時間外労働の一部を所定労働時間に付け替えられ、見た目の時間外労働を短くみせることはできる。
政府や道教委は働き方改革を実行したと言うだろう。しかし、この制度は、教職員の数も業務量も変わらず、問題を解決するどころか、問題の本質を隠蔽し、長時間労働を固定化・助長することになる。「せんせい ふやそう」しか根本的解決策はない。
ことしの秋季年末闘争の最大の課題は、この1年単位の変形労働時間制導入を許さないたたかいを急速に進めること。政府は10月18日に法案を閣議決定し、今国会に給特法改正案として提出した。12月9日までの会期中に成立させることをねらっている。
何がねらわれ、学校や私たちの働き方はどうなるのか。まだよく分からないというのが学校現場の実情ではないか。道教委の『ほっとネット』も、変形労働時間制については一言もふれられていない。
何が起こっているか知らない間にことが決まり、それに従わされる。そんなことを許すわけにはいかない。今後、急速に問題の本質を知らせ、運動を広げていく必要がある。
学習の成果をもち帰り、まず支部段階で、そして分会で、地域で学習と運動を急速に進める必要がある。
12月9日国会会期末という期限あるたたかいだが、それで終わらない可能性を含んでいる。法案は変形労働時間制を任命権者の判断で導入できるとしている。仮に法案が強行成立されれば、たたかいの場は道教委と私たちの交渉、職場・地域からの運動になる。
そもそも、北海道の学校現場を大きく変えた2001年の道教委による協定書一部破棄、2008年の協定書廃止通告にさかのぼる。協定書とは、1971年に給特法が成立し、「限定4項目」以外は超過勤務を命じないとされたことに伴う道の給特条例制定にかかわる協定だった。今回、給特法が変われば、新たな給特条例が必要になる。
そうなれば、私たちが求めるのは新しい協定書の締結。今、国会での法案成立を阻止することに全力を挙げるが、このたたかいは、そこまで視野に入れるべきたたかいとなる。
その意味で、この夏、各職場で民主的手続きにのっとって36協定を締結する取組を行ったことは重要な意味をもつ。今回の36協定は、行政職員の時間外労働に上限規制を設けることに主眼があるが、一方で、高教組分会が職場の労働組合として、過半数を組織していなくても存在意義を示すことも重要な課題だった。そうした観点に立って、取組を総括することも、この中央委員会の役割になる。
▼学校・職場づくり
一方、私たちはことし、道高教組結成70周年記念に取り組んだ。私たちがこの間『高教組情報』の全教職員配布を中心に取り組んできた「なかまつながるプロジェクト」は、職場での問いかけと対話の呼びかけの実践にほかならない。
70周年の取組が“こちらから加入や協賛金を呼びかける取組”であったのに対して、36協定は、当局や管理職から“対応を求められる取組”という関係にあった。現状を打開する呼びかけをしないで当局からの対応だけに反応するとすれば、いわゆる“御用組合”になるし、反対に、呼びかけだけで当局との対応ができなければ、“一方的に主張を押し付けるのが組合”とみえるであろう。
70周年と36協定の取組を通して、職場で高教組分会が何をなすべきかが明らかになった。そのほかにも私たちは、会計年度任用職員問題、人事異動要領改訂、障害児学校の狭あい化解消のために高校の教室を使用する問題など、いずれも“運動の方向を指し示す呼びかけ”と“原則的かつ現実に即した対応”の両方が求められる一筋縄ではいかない課題に取り組んできた。
様々な困難があり、苦しくとも、“運動の呼びかけ”と“現実の対応”の両方に正面から取り組むことが、今、本部にも、支部にも、分会にも、さらには一人ひとりの組合員にも求められているのではないか。
私たちの学校も含めて、今、日本のほとんどの人々は、現実の苦しさゆえに目の前の対応に追われ、社会がどちらの方向に動いているか、それは正しいことなのかを考える機会さえ奪われているのではないか。
その点で象徴的な出来事だと思われるのが、神戸の教職員間のいじめ事件である。マスコミやネット上で事実が明らかになるにつれ、異常としか言いようのない事件で、加害者は非難されて当然だが、先週開かれた全教の中央委員会で、全教兵庫教組の代表は、この事件の背景に神戸方式と言われる校長主導の人事管理があり、成績主義、効率主義、競争主義が極限まで進み、管理職の人権感覚の欠如と相まって、職場はストレスに満ちていた実態が報告された。
教職員を横のつながりでなく、縦の系列でとらえる発想が、こうした事件を生み出している。神戸の事件ほど異様ではないにしても、本部へのハラスメントにまつわる電話相談は増え続けている。神戸だけの問題ではない。この問題を通しても、人間味のある学校づくり、職場づくりは大きな課題である。
学校づくり、職場づくりをどう進めるか。特効薬があるわけではない。学校・職場づくりの要は教研である。全道合研を量・質ともに成功させることは重要な意味をもつ。
マスコミや世論は「学校や教職員の世界はどうなっているのか」に注目している。
一人ひとりの組合員が職場の現実や実践をレポートとしてもち寄り、一緒に学ぼうと呼びかけて全道合研に参加する。このことは、今回の議案でも提起している重要な課題である。
70周年の取組を通して私たちは職場に種をまいた。36協定や変形労働時間制をめぐって、組合の役割も鮮明になっている。
“今、高教組へ”と呼びかけることに確信をもって、現勢回復をやり遂げよう。
(関係団体 2019-11-06付)
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