道生総連が旭川で研究大会 学び拡げ自分創る子を 幼保小中高のつながりで(関係団体 2019-10-28付)
約250人が参加し研究協議を深めた
【旭川発】道生活科・総合的な学習教育連盟(=道生総連、吉田信興委員長)は17日から2日間、旭川トーヨーホテルと旭川市立向陵小学校を会場に、第29回道生活科・総合的な学習教育研究大会旭川大会を開いた。全道から約250人が参加。全道研究主題「自ら学びの世界を拡げ よりよい自分を創る子ども」のもと、幼保・小・中・高のつながりをもった授業を取り入れた授業公開や研究提言、授業分科会などを通し、研究の成果を全道に向けて発信した。
日本生活科・総合的な学習教育学会道支部共催。旭川市生活科・総合的な学習教育連盟主管。道教委・旭川市教委など後援。
道生総連は、全道研究主題を「自ら学びの世界を拡げ よりよい自分を創る子ども」と設定。①子どもの資質・能力を高めるカリキュラム・マネジメントの在り方②子どもの資質・能力を高める学びのあるプロセスの在り方―の2点を重点に据え、単元配列表の作成の検証などを通し、子どもたちの育ちの到達点と通過点の明確化を図ってきた。
旭川大会主題は「“骨太な子供”を育成する学習づくり」。カリ・マネ(単元配列表)や単元構成の学習過程の質的改善と、具体的指導方法、評価の改善工夫を推進し、“チーム旭川”として子どもの姿で語ることができる授業づくりを目指し研究を進めている。
初日は、旭川トーヨーホテルで全道代表者研修会や全道研究担当者研修会、全道情報担当者研修会などを実施。
2日目、旭川市立向陵小で行われた開会式では、冒頭、大会長を務める吉田委員長があいさつ。はじめに、生活科は、幼児期の教育と小学校の教育をつなげ、さらには小学校での各教科等を横につなげ、そして3年生以降の総合的な学習の時間や社会、理科にもつなげるという教育課程の重要な結節点の役割を担う。総合的な学習の時間は、学校の重点目標を受けて、目標を定めることから、各学校は総合的な学習の時間を中核に据えた学校経営を行うとしている。
吉田委員長は「小学校での総合的な学習の時間は今後ますます充実することになり、中学校、さらには総合的な探究の時間と名前を変更する高校でも一層の充実が期待される」と強調。その上で、「私たちの組織体制や研究内容も小学校のみならず、幼保、中、高と他校種ともつながりをもつようにマイナーチェンジを図る時期を迎えるように思う」と述べ、道生総連のさらなる発展に期待を込めた。
続いて、上川教育局の手塚和貴次長と旭川市教委の黒蕨真一教育長が祝辞。
手塚次長は「長年にわたり、優れた実践の交流や講演等を通して組織的・計画的に実践研究を積み重ねるなど、本道の生活科および総合的な学習の時間の充実・発展に多大な貢献を果たしてこられたことに深く敬意を表する」と述べた。
黒蕨教育長は、「研究大会で多くの方に深い感銘と大きな示唆を与えられるものと確信している」と述べ、成果に期待を寄せた。
続いて、道生総連の小山恒研究部長と旭川市連盟の元島由香利研究部長が提言発表した。
このあと、生活科部会(保幼小連携、小学1、2年生活)、中学年総合的な学習部会(小学3、4年総合)、高学年、中学校総合的な学習部会(小学6年総合、中学総合)にかかる授業公開と授業分科会を行った。
さらに、「保幼小連携の在り方」「生活・総合のカリキュラム・マネジメント」「生活・総合の目指すべき授業づくり」の課題別分科会と、特設分科会として「高校の総合的な探究の時間」を開催した。
続いて、文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官・国立教育政策研究所教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官の渋谷一典氏が「確かな資質・能力を育成する生活科・総合の授業づくり」と題し講演した。
◆園児と楽しく活動展開 向陵小・保幼小連携「特設授業」
第29回道生活科・総合的な学習教育研究大会旭川大会の2日目、旭川市立向陵小学校を会場に、生活科(保幼小連携、小1、2年)、中学年の総合的な学習の時間(小3、4年)、高学年(小6年)・中学校の総合的な学習の時間7授業を公開。
うち、向陵小1年生(千葉香織教諭、児童数36人)では特設授業「あきのひろばをつくろう」を公開。保幼小連携として、大町のぞみ認定子ども園年長18人と天使幼稚園年長24人と一緒に授業を行った。
単元は全19時間計画で設定。幼児期の終わりまでに育ってほしい姿と単元の目標との接続を意識し、体験活動や交流活動を構想した内容。友達や園児とかかわりながら、秋の様子を観察したり自然物で遊んだり、秋の特徴を見つけ出す活動などを目標として設定した。
本時は18時間目。友達や園児と楽しみながら遊びを創り出したり、園児とかかわり合うことの楽しさを感じたりすることができることを目標とした。
前時までに児童は、園児たちと校庭、近隣の公園や神社で枯れ葉やどんぐりなど秋の自然物を探し、自然物の良さを生かした遊びについて考える活動を展開してきた。
この日、1年生教室に園児と児童が集合。千葉教諭が前時までの活動を振り返り、本時の学習内容を「あきのもので、いろいろなあそびをしよう」と提示。事前に、どんぐりや松ぼっくり、落ち葉、木の実などの秋の自然物と、ビニール袋やボンド、はさみ、色画用紙などの道具一式を用意。児童と園児が混合した8グループになって、1年生教室とプレイルームの2会場で、遊びを考えさせた。
あるグループでは、児童がビニール袋に首と腕を出すために3ヵ所にはさみを入れて穴をつくり、洋服を作製。ある程度形ができたら園児に着せて、「大きさはこのくらいかな」「苦しくない」などと、聞きながら作業した。
また、園児に好きな自然物を聞き、洋服に落ち葉や松ぼっくりなどをボンドで張り付けるなど、デザインを一緒に考えた。服を着た園児に「かわいい」などと言って、身体をくるりと回してみるなど、楽しんでいる様子だった。
ほかにも、どんぐりにつまようじを指してコマをつくったり、お面を使ったり、落ち葉で絵を描いたりして遊ぶグループもあり、各グループから楽しそうに笑い合う声が上がった。
最後に、児童がどんな遊びをしたか、園児との活動で発見したことや楽しかったことを発表。園児には、黒板に貼った“がんばりの木”と書かれた木のイラストの上に自分の思いをオレンジ色の葉っぱカードが楽しかったこと、赤の葉っぱカードが頑張ったこととしてそれぞれ貼らせて振り返らせた。
(関係団体 2019-10-28付)
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