北社研と北生研が札幌で研究大会開く 未来切り拓く力を育成 公開授業や分科会、講演など(関係団体 2019-10-25付)
社会参画につながる資質・能力育成などを目指した
道社会科教育研究会(=北社研、吉井惠洋会長)と道生活科研究会(=北生研、山本豊会長)は18日、札幌市立山の手南小学校で第72回道社会科教育研究大会・第29回道生活科研究大会を開いた。道内各地から約100人が参加。公開授業や分科会、講演会などを通して、未来を創る社会科や人とのかかわりを重視した生活科の在り方について理解を深めた。
北社研は、研究テーマ「未来を創る社会科教育」のもと、研究主題を「主体的に社会に参画できる資質・能力の育成~見方・考え方とクリティカル・シンキングを働かせた“深い学び”を通して」と設定。子どもたちが自ら課題に立ち向かい未来を切り拓く力を身に付ける社会科教育を目指し、研究を進めている。
北生研は、研究主題を「ときめく出会い ひびきあう活動 かがやく心~伸びる喜び 育ちへの実感、確かで豊かな生きる力を育む学びの創造」と設定。①自ら動き出し、自ら学び出す子ども②進んでかかわり、ひびきあい、ともに高まりながら活動を広げていく子ども③自信に満ちたかがやく笑顔で未来へ創造し続ける子ども―の3点を育てたい子どもの姿として研究を推進している。
開会式であいさつに立った北社研の吉井会長は、グローバル化や技術革新によって社会や職業の在り方が大きく変化していることを踏まえ、「厳しい時代を生き抜くために自立した人間となることのほか、他者と協働して解決していく社会参画が必要」と強調。学習において深い学びを実現することで「社会参画につながる資質・能力を育てていこう」と呼びかけた。
北生研の山本会長は、学習指導要領の改訂にふれ「教育観・能力観の転換が示されている」とし、「“人とのかかわり”を重視していくことがキーワード。公開授業を通して、豊かな生きる力を育む学びの創造につながることを実証したい」との考えを示した。
開会式のあと、会場校の山の手南小で、小学1年生生活科と5年生社会科、中学校社会科の地理的分野、歴史的分野、公民的分野の計5授業を公開。
授業後は、小学校生活科・社会科、中学校の地理、歴史、公民それぞれで分科会を行ったほか、兵庫教育大学の吉水裕也理事・副学長が「見方・考え方を働かせた社会科の主体的・対話的で深い学び~社会科PBL的単元づくりを通して」と題して講演。見方・考え方を働かせる社会科授業について、知識や概念を獲得する問いの設定などを示した。
◆健全な地方財政を考察 日章中3年社会科・公民的分野
社会科の公開授業では、札幌市立日章中学校の小森圭輔教諭が3年2組(生徒数34人)の公民的分野「地方自治と私たち」を指導。
本時は5時間扱いの5時間目。目標を「札幌ドームの運営方法について様々な意見を参考に、多面的・多角的に思考・判断し、表現する」「地方自治や財政について自分なりに考える」と設定した。
生徒は、前時までに札幌ドームが札幌市の財政に大きな影響を与えていることを学習。札幌ドームの持続可能な活用は市にとって必要不可欠であることを理解している。
学習課題を「今後、札幌ドームをどのように活用していくべきか」と設定。小森教諭は平成29年度末市債残高見込みを生徒に示し、「札幌ドームには多くの税金がかかっている」と説明。また、令和4年から北海道日本ハムファイターズのメーン球場が北広島市に移転することにふれ、札幌ドームの収入が半減する懸念があることを伝えた。
続いて、6グループに分かれて札幌ドームの活用方法を考察。①サッカー②ラグビー③コンサート④イベント⑤市民の利用⑥その他―の6点を活用案として具体的な活動日数も考えた。
このあと、それぞれのグループが活用案を発表。「今話題のeスポーツを10日間行うと集客につながるのではないか」「ワールドカップで盛り上がっているラグビーの国際試合を積極的に行うとよいのでは」などの意見が出た。
根拠を明確にして活用案を説明させることで、様々な立場や角度から健全な地方財政を考えさせた。
◆きれいに さいてね 山の手南小1年生活科
生活科の公開授業では、山の手南小の金山明日美教諭が1年1組(児童数29人)の「きれいに さいてね」を指導。
児童は、授業で2年生からもらったアサガオの種を育てている。これまでアサガオの成長過程を観察カードに記してきたことから、本時の目標を「アサガオの成長を振り返ってマスの並べ方を考え、自分だけのスペシャルマスを自分なりに工夫して表現することができる」と設定。すごろくづくりに取り組んだ。
本時は16時間扱いの14時間目。
授業冒頭、金山教諭は「好きな観察カードの順番に並べるのはどうかな」と発問。児童は「成長の順番が違うから駄目」などと発言。マスをどのような順番に並べたらよいのか考えさせた。
児童は、自身がつくった観察カードを見ながらアサガオの成長の様子を振り返り、マスを完成させた。金山教諭は「一番お気に入りのマスを選んで友達と紹介し合おう」と呼びかけた。自分のお気に入りのマスとその理由を考えて小交流することで、児童に自分で育てたアサガオへの想いを膨らませた。
授業終盤には、児童がお気に入りのマスについて選んだ理由を発表。
種を収穫したときを選んだ児童は「来年の1年生に向けてアサガオを育ててほしいから」などと答えていた。
道社会科教育研究会(=北社研、吉井惠洋会長)と道生活科研究会(=北生研、山本豊会長)は18日、札幌市立山の手南小学校で第72回道社会科教育研究大会・第29回道生活科研究大会を開いた。道内各地から約100人が参加。公開授業や分科会、講演会などを通して、未来を創る社会科や人とのかかわりを重視した生活科の在り方について理解を深めた。
この記事の他の写真
札幌ドームの活用方法から地方財政の在り方を考えさせた(日章中3年社会科)
アサガオの成長を振り返り、マスの並べ方を考えた(山の手南小1年生活科)
(関係団体 2019-10-25付)
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