道都市教委連等文教要望への道教委回答〈上〉 業務精選して負担軽減 教員定数改善 引き続き要望
(道・道教委 2019-12-06付)

 道都市教育委員会連絡協議会(長谷川雅英会長)と道都市教育長会(同)が道教委に提出した令和2年度文教施策要望に対する、道教委の回答はつぎのとおり。

▼学校における働き方改革の推進について―重点(新規)

 教職員定数の改善・充実には、国の新たな教職員定数改善計画の策定や定数措置の拡充などが必要であるため、全国都道府県教委連合会などと連携しながら、引き続き国に要望していきたいと考えている。

 道教委としては、学校における働き方改革を推進するため、スクール・サポート・スタッフや部活動指導員などの専門スタッフの配置校の拡充を図ってきており、今後も専門スタッフの配置充実を図るため、国に対し財源措置の拡充を要望していく。

 スクールカウンセラーの配置の拡充について、平成29年度から市町村教委からの要望も踏まえ、小・中学校における配置校の拡充を図るため、市町村巡回方式を導入しており、未配置校において緊急に児童生徒の心のケア等を必要とする案件が発生した場合、スクールカウンセラーを緊急派遣できるようにしている。

スクールソーシャルワーカーについては、国のスクールソーシャルワーカー活用事業(国庫補助事業)を活用し、希望する市町村との委託契約によって市町村に配置するほか、委託契約をしていない市町村や道立学校に対しては、道教委で任用したスクールソーシャルワーカーを派遣できる体制を整備している。

 道教委としては、スクールカウンセラー活用事業およびスクールソーシャルワーカー活用事業は、学校の教育相談体制の充実を図る上で重要な事業と考えており、引き続き国に対して、制度の充実を働きかけていく。

 校務支援システムについては、国によって地方交付税措置がされているが、道教委としては、導入経費やランニングコストなど、システムの整備に向けた財源措置の拡充などについて、引き続き国に強く要望していきたい。

 道教委としては、教員の事務の負担を軽減するため、学校を対象として行う調査業務等について、廃止や縮小、統合など、実施の必要性を踏まえて業務の見直しや、各種届出および報告事項などの見直しを行ってきており、今後も、調査業務等の精選を図るとともに、提出書類や様式の簡素化などを進めていく。

▼公立文教施設の整備促進

(1)学校施設環境改善交付金の確保―重点

 前年度の学校施設環境改善交付金の採択状況は、補正予算において、申請の取り下げを除き、次年度計画の事業の前倒しによる採択もなされ、市町村において計画されていたすべての事業が採択された。

 また、道教委では、公立学校施設整備事業が円滑に実施できるよう、概算要求時に国に対し、当初予算における必要な財源の早期確保について要望したところ、本年度の国の当初予算において、例年の倍以上となる約1600億円の予算が確保され、国が示した採択方針以外の事業を除き、すべて採択された。

 さらに、学校施設は児童生徒などが1日の大半を過ごす学習の場であるとともに、災害発生時には地域住民の避難所としての役割を果たすことから、道教委としては、本年度も国の施策および予算に関する提案・要望の中で公立学校施設整備にかかる必要な財源の当初予算における確保と施策の充実を要望していきたいと考えている。

(2)新増改築事業にかかる国庫補助の改善等

 公立学校施設整備にかかる建築単価については、令和元年度に構造区分に応じて、前年比3・4~4%増額されたが、依然として実施単価とかい離がある。

 道教委では、国に対し2年度国の施策および予算に関する提案・要望において、公立学校施設の整備について、必要な財源の確保や補助単価の引き上げおよび補助要件の緩和や地方財政措置等、施策の充実を要望することとしており、引き続きその実現に向け要望していきたい。

 なお、平成28年度からは小学校から中学校までの義務教育を一貫して行う義務教育学校が制度化されたため、公立施設費国庫負担金等に関する関係法令および学校施設環境改善交付金等においても、小学校・中学校と同等の内容で義務教育学校を位置付け、現行の新増改築や大規模改造事業の補助制度を活用することができるようになり、より一層施策の充実が図られたものと認識しているが、国庫債務負担行為の年割額については国で定めていることから、各自治体が設定できるように変更することは難しい状況にある。

(3)大規模改造(老朽)事業における補助要件緩和

 道教委では、国に対し令和2年度国の施策および予算に関する提案・要望において、公立学校施設の整備について、学校施設の老朽化などにかかる補助要件の緩和など支援の充実を要望するところであり、引き続きその実現に向け要望していきたい。

 なお、国においては、元年度、学校施設環境改善交付金事業について制度改正を行い、大規模改造(老朽)のうちエコ改修工事については建物全体の改修工事へ集約を行ったことから、この補助メニューでの活用が図られるものと考えている。

(4)大規模改造(質的整備)事業における校内LAN整備事業の継続

 国においては、元年度、学校施設環境改善交付金事業について制度改正を行い、大規模改造(質的整備)のうち校内LAN整備事業については、教育内および方法の多様化等に適合させるための建物の内部改造にかかる工事へ集約を行ったことから、この補助メニューでの活用が図られるものと考えている。

(5)学校体育施設にかかる整備の充実

 学校プール、武道場などの学校体育施設にかかる補助単価については、元年度に3・7%増額されたが、依然として実施単価とかい離がある。

 道教委では、国に対し2年度国の施策および予算に関する提案・要望において、学校体育施設整備にかかる必要な財源の確保や補助単価の引き上げおよび補助要件の緩和など施策の充実について要望するところであり、引き続き実現に向け要望していきたい。

(6)学校グラウンド等の整備にかかる交付金の事業量の拡大

 道教委では、国に対し2年度国の施策および予算に関する提案・要望において、公立学校施設の整備について、必要な財源の確保や補助要件の緩和など施策の充実を要望するところであり、引き続きその実現に向け要望していきたい。

(7)地震等防災対策にかかる対象の拡大

 公立学校施設は、児童生徒等が1日の大半を過ごす学習の場であるとともに、災害発生時には地域住民の避難所としての役割を果たすことから、その安全性の確保は極めて重要な課題となっており、道教委では、国に対し2年度国の施策および予算に関する提案・要望において、学校施設の耐震化にかかる必要な財源の確保や補助要件の緩和など施策の充実を要望し、引き続きその実現に向け要望していきたい。

 なお、非構造部材の耐震対策工事や自家発電設備の整備などの防災機能強化事業については、補助要件の緩和や地方財政措置の充実を要望するところだが、地震防災対策特別措置法に基づく国庫補助率の嵩上げは、2年度まで5年間延長され、校舎等の耐震化率が全国99・2%、本道も95・8%に達し、今後は全国的に長寿命化などの老朽化対策に重点が置かれるため、時限を越えての恒常化は難しい状況にある。

 また、高校については、平成18年度の税源移譲によって一般財源化されており、交付金も防災機能強化事業のうち防火水槽・備蓄倉庫等の整備事業(屋外防災施設)は対象となっている。

 さらに、26年度から過疎対策事業債の対象経費に市町村立の高校の校舎、屋内運動場などの整備事業が追加され、29年度から道の地域づくり総合交付金に高校施設等整備事業が新設となり、地方財政措置等の拡充による地方負担の軽減が一層図られたものと認識している。

(8)特定フロン使用施設・設備の改修事業に対する補助等の制度の創設

 道教委では、国に対し令和2年度国の施策および予算に関する提案・要望において、公立学校施設の整備について、必要な財源の確保や施策の充実を要望するところであり、引き続きその実現に向け要望していきたい。

(9)市町村立高校の新築等にかかる補助制度の創設

 平成18年の国の三位一体改革以降、国庫補助金については、地方分権を推進し、地方の裁量を拡大する観点から、国庫補助金を廃止・縮小し、必要な地方財政措置への転換を図るなど、様々な見直しが行われてきた。

 このため、市町村で整備した高校については、国と地方の役割分担の観点から、税源移譲によって、地方公共団体の一般財源で実施することとされている。

 また、地方財政措置として、市町村が単独事業として行う高校改築等事業にかかる起債に加え、26年度から過疎対策事業債の対象経費に市町村立の高校の校舎、屋内運動場などの整備事業が追加された。

 さらに、29年度から道の地域づくり総合交付金に高校施設等整備事業が新設となり、地方財政措置等の拡充による地方負担の軽減が一層図られたものと認識している。

▼教職員定数等の充実改善について

(1)少人数学級の早期実現と教職員定数等の改善―重点

 道教委では、基礎学力の向上やきめ細かな教育の実践を目指し、習熟度別少人数指導など、きめ細かな指導に積極的に取り組む学校に対し加配措置しているほか、小学校1学年に加え、小学校2学年および中学校1学年において少人数学級編制を実施している。

 少人数学級のさらなる拡大や、複式学級の解消、3学級未満の学校への教頭、養護教諭および事務職員の配置など、一層の教職員定数の改善・充実には、国の新たな教職員定数改善計画の策定や、定数措置の拡充などが必要であるため、全国都道府県教委連などと連携しながら、引き続き国に要望していきたい。

 また、道教委では、国に対し令和2年度国の施策および予算に関する提案・要望において、公立学校施設の整備について必要な財源の確保や施策の充実を要望するところであり、引き続きその実現に向け要望していきたい。

(2)学力向上のための支援措置の拡充

 道教委では、基礎学力の向上やきめ細かな教育の実践を目指し、習熟度別少人数指導などきめ細かな指導に積極的に取り組む学校に対し加配措置しているほか、小学校1学年に加え、小学校2学年および中学校1学年で少人数学級編制を実施している。

 一層の教職員定数の改善・充実には、国の新たな教職員定数改善計画の策定や定数措置の拡充などが必要であるため、全国都道府県教委連などと連携しながら、引き続き国に要望していきたい。

 また、市町村が県費負担教職員に加えて、独自の判断で地域の人材等を教員として任用することは、地域の特性に応じた学校教育の充実や各学校における特色ある学校づくりが一層促進されるとともに、学力向上の面からも意義があると考えている。

 こうした市町村費負担教職員の身分や給与水準などは様々な形態が考えられ、基本的には、県費負担教職員と同様に採用や人事異動を行うことは難しいが、今後も、他府県の事例などについて研究していきたい。

(3)小学校における英語教育の拡充強化に向けた教員研修会の充実および英語専門教員の配置拡充

 小学校における英語教育に関する教員研修については、道教委では、これまでも英語指導力や英語力の向上のため、道立教育研究所を会場として研修講座を実施しており、本年度は、カナダ・アルバータ大学の外国人講師による小学校外国語教育に求められる実践的指導力向上研修をはじめ、道内大学教授による小学校外国語教育充実研修を実施する。

 また、平成26年度から国が実施している英語指導力向上事業の研修に教員を派遣し、研修を修了した教員が英語教育推進リーダーとして講師を務め、各管内で小学校の教員を対象としてグローバル化に対応した英語教育指導力向上研修を実施するとともに、道立教育研究所と市町村等の教育研究所・教育(研修)センターが連携して行うミニ道研において、小学校外国語活動にかかる内容も設定するなど、英語教育に関する教員研修の充実を図る。

 なお、これまでも教員の資質・能力の向上を図る研修の充実のための財源措置について、国に対して要望しており、引き続き要望していく。

 また、道では、小学校の外国語における専科指導にかかる加配について、26年度から配置している。令和元年度の小学校外国語における専科指導のための加配は、加配教員および非常勤講師による専科指導を行う学校に配置しており、加配教員による専科指導の実施校数は95校、非常勤講師による専科指導の実施校数は40校である。

 国においては、新学習指導要領における小学校外国語教育の授業時数増に対応するための専科教員の確保にかかる加配の拡充を示しているが、道としても、今後とも、教員の専門性を生かした質の高い授業を通じた学力の一層の向上などを図るため、小学校専科指導にかかる加配の更なる拡充について、引き続き国に要望していきたい。

(4)中学校における免許外教科担任の解消

 中学校免許外教科担任の解消に向けては、教科のバランスに配慮した人事配置や免許法認定講習の実施による複数免許所有者の拡大に努めているとともに、平成26年度からは、6学級以下の学校の一部に加配教員などの配置を行っているが、一層、免許外教科担任の解消が図られるよう、定数措置の拡充について、引き続き国に要望していきたいと考えている。

(5)中学校の病気休暇等講師にかかる報酬予算の適正化

 長期にわたる病気休暇(90日以内)にかかる代替措置については、各教育局を通じて市町村教委の要望を伺うとともに、内容を精査した上で、学校運営に支障を来さないよう対応してきているところであり、引き続き適切な対応に努めていきたいと考えている。

(6)不登校児童生徒の適応指導教室等の設置および運営費の補助制度の創設―重点

 国においては15年、不登校への対応の在り方についての中で、市町村教委が、主体的に教育支援センター(適応指導教室)の整備充実を進めていくことの必要性を示したが、道内においては、適応指導教室が設置されている市町村が令和元年5月現在で44市町村であり、未設置の主な理由として、市町村が運営する予算や場所の確保が困難であることが挙げられている。

 道教委としては、指導員の人件費などの設置・運営にかかる補助制度(委託事業を含む)の創設などの財政的支援の拡充や教員の派遣制度の確立などの施策の充実が必要であると考えており、引き続き、支援体制の強化を国に要望していきたい。

(7)スクールカウンセラーおよびスクールソーシャルワーカーの配置促進

 スクールカウンセラーの配置の拡大について、平成29年度から、市町村教委からの要望も踏まえ、小・中学校における配置校の拡充を図るため、市町村巡回方式を導入している。

 また、未配置校において緊急に児童生徒の心のケアなどを必要とする案件が発生した場合には、スクールカウンセラーを緊急派遣できるようにしている。

 スクールソーシャルワーカーについては、国のスクールソーシャルワーカー活用事業(国庫補助事業)を活用し、希望する市町村との委託契約によって市町村に配置するほか、委託契約をしていない市町村や道立学校に対しては、道教委で任用したスクールソーシャルワーカーを派遣できる体制を整備している。

 道教委としては、スクールカウンセラー活用事業およびスクールソーシャルワーカー活用事業は、学校の教育相談体制の充実を図る上で重要な事業と考えており、引き続き国に対して、制度の充実を働きかけていきたい。

(8)学校図書館にかかる支援措置の拡充―重点

 公立小・中学校における学校司書の配置については、学校図書館機能の一層の充実のため、標準法による学校司書の定数措置の新設について、国に要望していきたい。

 また、学校図書館の環境整備に関しては、学校司書にかかる配置に加え、研修や学校図書館における管理システムおよび学校図書館資料などに関する地方財政措置の新設・拡充について、国に要望してきた。

 今後とも、学校図書館の環境整備については、各市町村の実情を踏まえながら、国に要望していきたい。

(9)ALTにかかる地方交付税措置の拡充―重点

 これまで、多くの外国語指導助手(ALT)を招致し、学校における英語の授業や放課後の活動などに活用するほか、地域住民などとの交流への活動などを通して、外国語教育および国際理解教育の充実を図っている。

 ALTの配置に当たり、地方自治体単独で一定の資質・能力を備えたALTを確保することは難しいことから、道教委では、ALTを確実に配置できるよう、JETプログラムの継続および拡充ならびにALTの配置やJETプログラム以外の外国語指導助手の配置に対する地方交付税化を含む財政支援について、これまでも国に要望しており、引き続き要望していきたい。

(10)地域枠採用の対象拡大

 現時点では、小学校および中学校の国語、社会、数学、理科または英語の普通免許状を有し、日高、宗谷、根室の各管内いずれかに限り勤務できる方を対象とした地域枠採用を実施している。

 教員採用選考検査については、不断に見直しを行い、教員としてふさわしい資質や能力を備えた人材の確保に努めていく。

(11)コミュニティ・スクールの推進のための財政措置および加配措置の確保―重点

 コミュニティ・スクールの導入を推進するため、これまでも、制度を導入する市町村への財政支援の拡充や加配措置について、国に要望してきており、引き続き、全国都道府県教委連とも連携しながら、国に強く働きかけていきたい。

 また、教員および事務職員の加配措置のためには、国の教職員定数の改善が必要であるため、国に要望していきたい。

(12)小中一貫教育の推進のための教職員の配置基準の見直し、加配措置およびそれに伴う財政措置ならびに兼務基準の明確化

 小中一貫教育に関しては、29年度から小中一貫教育の導入等に向けた支援のため、国の加配の範囲内で、小中一貫教育実施校や実施予定校に対し、教員を加配しているが、一層の定数措置の拡充について、引き続き国に要望していきたい。

 また、小中一貫型小・中学校の場合は、法律上は独立した小学校と中学校という扱いとなっているので、教員もそれぞれの学校種の免許状をもってそれぞれの学校に配置されることとなっており、乗り入れ授業や教科担任制の導入の場合、必要に応じ兼務発令を行うこととなっている。

 なお、道教委では、31年3月に、児童生徒の評価に当たる留意事項など、小中一貫教育を導入する際に参考となる事例やQ&Aをまとめた『北海道における小中一貫教育について(改訂版)』を作成し、市町村教委に配布した。

 今後も、小中一貫教育の先行事例などを市町村教委に情報提供するなど、各学校の取組を支援していきたい。

(13)部活動指導員制度への支援―重点(新規)

 道教委では、教員の部活動指導にかかる負担軽減および部活動指導体制の充実のため、30年度から中学校における部活動指導員配置促進事業を実施し、専門的な知識や技能を有する部活動指導員を中学校に配置する市町村教委に対し、財政支援を行っている。

 部活動指導員の人材確保については、指導員の配置の希望があるにもかかわらず、人材の確保が困難な市町村教委もみられたことから、道教委では、ホームページを活用した指導員の希望者を公募・登録するシステムを構築し、市町村教委からの要望に応じ、情報提供している。

 なお、部活動指導員配置にかかる財源措置の充実については、引き続き国に要望していく。

(14)期限付教員の安定的な確保に向けた取組の充実と制度改善

 教員の欠員は学校運営に支障が生ずることから、その補充は喫緊の課題であると考えている。

 道教委としては、これまで、期限付き教員の人材確保に向け、ハローワークやホームページを通じた募集のほか、インターネットで希望者が事前登録できる代替教職員等応募・任用システムの取組を行っている。

 最近では、潜在的な教員免許所有者の掘り起こしとして、教職について興味や意欲をもっていただけるよう、教育ほっかいどう家庭版『ほっとネット』などで周知を図るとともに、時間講師の積極的な任用、他の学校種の免許所有者に対する臨時免許の発行による対応を行っている。

 今後、国における定年の引き上げに向けた検討状況を注視するとともに、一部条件はあるが、本年1月、更新講習を受講・修了していない人(未更新者)に対して、臨時免許状の授与が可能であることを国が明らかにしたことから、こうした制度を活用し引き続き人材の確保に努めていく。

▼特別支援教育の振興充実

(1)特別支援教育の施設充実および特別支援教育推進のための体制整備―重点 特別支援学校の配置に当たっては、可能な限り身近な場所で、障がいの種別などに応じた専門性の高い教育を受ける機会を確保する観点に立ち、児童生徒等の障がいの状況や本人・保護者のニーズを把握しながら必要な受入体制を整備することとしているが、効果的に学習や集団活動などを行うためには、同学年で複数の児童生徒が在籍していることが望ましいことから、近隣の特別支援学校の配置状況などを踏まえつつ、各障がいごとの児童生徒等の在籍状況や、今後の児童生徒数の推移などを十分考慮しながら、検討していきたい。

 また、スクールバスの運行に当たっては、障がいのある児童生徒が長時間にわたって乗車することや、冬季における安全運行を確保することなど、児童生徒等の健康や安全にも配慮する必要がある。

 このため、自宅が学校から遠隔地にある場合は、スクールバスの運行ができず寄宿舎利用となるケースもあるが、可能な限り、児童生徒等や保護者の負担に配慮するよう、努めていきたい。

 特別支援教育就学奨励費については、障がいのある児童生徒等の保護者の経済的な負担の軽減を図るため、制度の充実を国に要望しており、引き続き実現に向け要望していきたい。

 特別な教育的支援を必要とする児童生徒等の実態把握や支援に当たっては、各教育局の専門家チームによる巡回相談を継続して実施するとともに、特別支援学校の教員を小・中学校などに派遣し助言や研修支援を行う特別支援教育パートナー・ティーチャー派遣事業などによって対応していきたい。

(2)特別支援教育推進のための教員の加配措置―重点

 特別支援学級の教員配置については、学級数に応じて配置しているが、肢体不自由、自閉症・情緒障害、知的障害学級で児童生徒数が7人以上の場合などに道独自の措置として1人加算するほか、通級指導を行う学校への加配措置を行うなど、教職員配置の充実に努めている。

 今後とも、障がいのある児童生徒一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導、支援を適切に行うことができるよう、定数措置の一層の拡充について、引き続き国に要望していきたい。

(3)特別支援学級担当教諭の加配―重点

 特別支援学級の教員配置については、学級数に応じて配置しているが、肢体不自由、自閉症・情緒障害、知的障害学級で児童生徒数が7人以上の場合などに道独自の措置として1人加算するほか、通級指導を行う学校への加配措置を行うなど、教職員配置の充実に努めている。

 今後とも、障がいのある児童生徒一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導、支援を適切に行うことができるよう、定数措置の一層の拡充について、引き続き国に要望していきたい。

(4)専門的知識を有する特別支援学級担当教諭の採用・育成の促進

 道教委では、教員を目指す学生などに対し、特別支援学校教諭の免許状取得の動機付けと、免許所有者の採用促進を図るために、27年度選考検査(26年度実施)から、特別支援学校教諭免許状所有者に限り、小学校と特別支援学校小学部、中学校と特別支援学校中学部、高校と特別支援学校高等部の併願制度を設けた。今後とも、特別支援学校教諭の免許状取得の促進と、免許状所有者の採用に努めていきたい。

 また、道教委では、特別支援学級および通級指導教室を担当する教員の専門性向上を図るため、全14管内において特別支援教育基本セミナーや特別支援教育充実セミナーを開催しているほか、道立特別支援教育センターにおいて自立活動研修講座、教科等指導力向上研修講座を実施している。

 さらに、教員向けの指導資料として、これまで作成した『“特別支援学級を支えるために”特別支援学級に関するQ&A』『“特別支援学級を支えるために”実践事例編』『“特別支援学級を支えるために”~教材活用事例集』の活用について、あらためてすべての小・中学校などに周知するなど、特別支援学級を担当する教員の指導力向上に努めている。

 今後も、研修機会の拡充や内容の充実、必要な予算の確保に努め、特別支援教育を担当する教員の専門性向上を図っていきたい。

(5)特別支援学校教諭免許状取得講習の拡大

 特別支援学校や特別支援学級に在籍している児童生徒に、一人ひとりの障がいの特性に応じた指導を行うためには、教員の専門性の向上を図ることが必要であり、専門の免許状を所有することが望ましい。

 このため道教委では、特別支援学校教諭免許状取得にかかる免許法認定講習について、26年度からは札幌、釧路、函館、名寄の4会場での開催とし、受講定員を拡充するとともに27年度からは視覚障害者領域と聴覚障害者領域の受講定員の拡充や領域の追加取得のための講習の実施など、その工夫と充実を図っている。

 今後とも、認定講習の開催地や開催方法などについて、道教育大学などと協議しながら検討を行い、免許状の取得を一層促進するよう努めていきたい。

(6)通級指導担当教員等の適正配置および配置基準の緩和―重点

 通級指導に関しては、国において29年度から10年間、加配定数の大部分を基礎定数として安定的に配置することと併せて、教員の増員を図ることが示された。

 道教委としては、加配定数における国の方針を最大限生かし、通級指導の充実に努めるとともに、定数措置のさらなる拡充について、引き続き国に要望していきたい。

(7)通級指導担当教員の巡回指導の実施

 通級による指導の実施においては、通級による指導を担当する教員が本務校以外の学校で指導(いわゆる巡回指導)を行うことは制度上可能であり、道教委では各教委に対して、教員に複数校を兼務する発令を行うなど身分上の取扱いの明確化や、国における加配定数の基礎定数化、各学校における通級による指導を希望する児童生徒の状況などを踏まえた通級指導教室の配置の在り方などについて、周知している。

 なお、巡回による指導の実施に必要な旅費等の措置については、必要な予算の確保に努めていきたい。

(8)教育上特別な支援を必要とする幼児が就園する公立幼稚園への国庫補助

 特別な支援を必要とする幼児にかかわる幼稚園教育の充実を図っていくために、私立幼稚園と同様の措置が図られるよう、施策の推進について、引き続き国に要望していきたい。

(9)市町村配置の支援員や補助員等にかかる財政措置の拡充―重点

 道教委が実施している通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒等に関する調査によると、支援を必要とする児童生徒等の割合は増加傾向にある。

 各市町村では、財政事情や人材確保などの課題がある中、特別支援教育支援員を独自に配置するなど、支援を必要とする児童生徒等の教育的ニーズに答えるため、様々な取組を行っているものと承知している。

 このため、道教委としては、各学校や地域の実情に応じて特別支援教育支援員の配置ができるよう、支援員配置にかかる財源措置の一層の拡充について、国に要望しており、引き続き強く要望していきたい。

(10)高校へ通学する生徒に対する支援員の配置

 道教委では、特別支援教育支援員の配置にかかる国の地方財政措置を活用して、高校における特別支援教育支援員配置事業を実施している。

 発達障がいを含む障がいのある教育上特別な支援を必要とする生徒が在籍する道立高校のうち、当該校の対象生徒の人数や支援の内容、教員の配置数などを考慮し、きめ細かな個別の支援を行うことが難しい状況にある学校を指定して、特別支援教育支援員を配置している。

 今後とも、高校への特別支援教育支援員の配置の一層の充実を図るために必要な財源措置について、引き続き国に要望していきたいと考えている。

(11)特別支援学校が行う連携協力に必要な旅費等の措置

 道教委では、小・中学校などに対して、特別な教育的支援を必要とする児童生徒等への学習指導の進め方や個別の指導計画の作成などについて継続的に支援を行うため、特別支援学校の教員を小・中学校などに派遣する特別支援教育パートナー・ティーチャー派遣事業を実施しており、当該事業に要する旅費を措置しているほか、特別支援学校教員による小・中学校などへの助言や研修支援を行うための旅費などについても措置しており、今後においても、必要な予算の確保に努めていきたい。

(12)特別支援学校高等部における受け入れ体制整備

 道教委では、道内において特別支援学校高等部への進学希望者が増加している状況に対応するため、20年度以降、オホーツクを除く5圏域で高等支援学校を12校、道央圏で義務校併設の高等部を2校整備するなど、進学希望者に見合った定員の確保を図ってきているが、広域分散型の本道の地域性から、すべての生徒が自宅から通学できる状況にはなっていない現状にある。

 道教委としては、特別支援学校の配置に当たっては、引き続き、可能な限り身近な場所で、障がいの種別などに応じた専門性の高い教育を受ける機会を確保する観点に立ち、児童生徒の障がいの状況や本人・保護者のニーズを把握しながら、進学希望者数に応じた定員の確保など、必要な受入体制の整備に努めていきたい。

(13)医療的ケアを必要とする児童生徒の特別支援学校への受け入れ体制整備

 道教委では、これまで、医療的ケアを必要とする児童生徒等が在籍する学校に看護師配置を進めてきており、令和元年度は医療的ケアを必要とする児童生徒等が在籍する26校の特別支援学校すべてに看護師を配置している。

 また、併せて、医療的ケア実施校に勤務する看護師や教員を対象とした研修会を実施するなどして、体制整備の充実を図っている。

 今後とも、医療的ケアを必要とする児童生徒等の在籍状況や保護者のニーズなどを踏まえながら、看護師の配置をはじめ、学校における医療的ケアの充実を図っていきたい。

 さらに、特別支援学校における児童生徒の受け入れに当たっては、障がいの特性や程度に応じて必要となる空調やエレベーターなどの学校施設・設備の整備を行ってきた。

 今後も適切な教育環境の確保のため、整備の検討を進めていきたい。

(道・道教委 2019-12-06付)

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 道教委は3日付で、各教育局長、道立学校長、市町村教委教育長に対し、通知「教員免許更新制における申請期限の到来およびその他の留意事項について」を発出した。教員免許の更新が必要な教員などに、申...

(2019-12-06)  全て読む

民俗芸能伝承フォーラム渡島会場 連帯感が地域づくりに ふくしまの会・懸田理事長講演

民俗芸能伝承フォーラム渡島  【函館発】道教委は11月30日、函館アリーナでほっかいどう民俗芸能伝承フォーラム渡島会場を開いた。教育関係者や地域住民など約70人が参加。講演やパネルディスカッションのほか、各地の保存会に...

(2019-12-05)  全て読む

ネット犯罪被害防止で通知―道教委 各中学校で啓発活動を SNS被害の増加踏まえ

 道教委は11月28日付で、通知「児童生徒のネット犯罪被害防止に向けた取組について」を各教育局長、道立中等教育学校長、市町村教委教育長に発出した。SNSなどによる被害児童生徒数の増加を踏まえ...

(2019-12-04)  全て読む

高校道徳教育推進事業 道教委 人格、多様性の尊重を 紋別高で道東圏研究協議会

高校道徳教育推進事業道東圏研究協議会  【網走発】文部科学省委託「道徳教育の抜本的改善・充実にかかる支援事業」の一環として道教委が本年度始めた道高校道徳教育推進事業の道東圏域推進校研究協議会が11月28日、紋別高校(合浦英則校長...

(2019-12-03)  全て読む

新時代対応の高校改革 道教委 魅力化実現へ校長公募 来年度から 近く各校に通知

 道教委の佐藤嘉大教育長は、新時代に対応した高校改革のため、道立高校の校長を公募する考えを示した。魅力ある高校づくりのためにリーダーシップやマネジメント能力を備え、積極的に学校経営に取り組む...

(2019-12-03)  全て読む

新規学卒就職者の離職 高・短大卒で率上昇 事業所規模大きいほど低下 道労働局

新規学卒者離職率  道労働局は、道内における新規学卒就職者の離職状況を公表した。平成28年3月卒業者が3年以内に離職する割合は、高卒が45・5%、短大卒が41・7%と前年度調査から上昇。大卒は35・9%と、依...

(2019-12-02)  全て読む