高校道徳教育推進事業 道教委 人格、多様性の尊重を 紋別高で道東圏研究協議会(道・道教委 2019-12-03付)
養護教諭による授業などを公開した
【網走発】文部科学省委託「道徳教育の抜本的改善・充実にかかる支援事業」の一環として道教委が本年度始めた道高校道徳教育推進事業の道東圏域推進校研究協議会が11月28日、紋別高校(合浦英則校長)で開かれた。身に付けさせたい9つの道徳的価値を明確化した研究授業4授業を公開。うち、2年ホームルームは、道徳的価値に「コミュニケーション能力」を設定し、人格や多様性の尊重について考える授業を展開した。
事業は、新学習指導要領の趣旨や内容を踏まえ、生徒が人間としての在り方や生き方についての考えを深め、自尊感情や規範意識を育むとともに、現代社会の課題に主体的に対応できる資質・能力を身に付けることができるようにすることが目的。
道東圏域の推進校に指定された紋別高は推進委員会を立ち上げるなど、道徳教育推進教師を中心とした体制を構築して研究を進めてきた。小・中学校道徳の内容項目を参考にし、学校教育目標や育てたい生徒像をもとに育てたい9つの道徳的価値を設定。学校行事や各教科ごとに身に付けさせたい道徳的価値を明確化した単元配列表を作成し、教育活動全体で道徳教育を推進している。
25人が参加した研究協議会では、研究授業として、ホームルーム、外国語の各1コマ、公民2コマの4授業を公開した。
うち、2年D組(生徒数38人)ホームルームは、小・中学校道徳の内容項目B「主として人とのかかわりに関すること」に関連し、育てたい道徳的価値を「コミュニケーション能力」と設定。江口未玖養護教諭が多様な性をテーマに人格や多様性の尊重について考えさせる授業を展開した。
本時の目標は「いろいろな性があることを知り、その違いや特性を肯定的に理解し尊重できるようになる」「多様な性を認め合い、自分らしく生きていくことの尊さに気付くことができるようになる」と設定。
江口養護教諭は導入で、学校や普段の生活の中で男女別になっているものについて問いかけ、制服や部活動など身近な場面で男女が区別されているものが多いことに着目させた。
その上で、「からだの性」「こころの性」「性的指向」「性別表現」の性の4つの要素、LGBT(Q)やセクシュアルマイノリティなどについて説明し、多様な性について理解させた。
それを踏まえ、平成27年に起きた一橋大学アウティング事件を例に出し、「もし親しい友人からセクシュアルマイノリティであることを打ち明けられたら、どう応え、どう接していきたいか」と発問。グループワークで生徒それぞれの意見を交換させた。
セクシュアルマイノリティの当事者や家族、友人へのインタビュー動画を流し、一人ひとりの違いを互いに受け入れていくことの大切さに気付かせた。
授業後の研究協議では、研究授業に関する質疑応答や研究報告を行ったほか、協力校・弟子屈高校の小岩尚文教諭が同校の取組を説明した。
また、文科省初等中等教育局の飯塚秀彦教科調査官が「新学習指導要領を踏まえた高校における道徳教育の充実・改善」と題して講演した。
(道・道教委 2019-12-03付)
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