北教組が給特法改正受け声明 超勤実態の固定化批判 定数増で授業時数削減を
(関係団体 2019-12-13付)

 北教組(信岡聡中央執行委員長)は5日、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(給特法改正案)可決・成立に対する声明を発表した。1年単位の変形労働時間制の導入が現状の超勤実態を固定化・助長しかねないとし、「断じて容認できない」と強調。給特法の廃止・見直し、教職員定数増による授業時数削減など、抜本的な超勤解消策を求めるとした。声明の概要はつぎのとおり。

 政府・与党は12月4日、第200回臨時国会参議院本会議において、多くの課題が日政連議員などから指摘される中、国会会期末が迫っていることを理由に給特法改正案を与党・日本維新の会による賛成多数で可決・成立させた。

 給特法改正案は、超勤時間を「月45時間、年360時間以内」と定めた上限ガイドラインを指針化するとともに、都道府県ごとに条例によって教育職員に1年単位の変形労働時間制を適用可能とするものである。

 文部科学省は、上限ガイドラインの順守を前提に、課業中の一部の勤務時間を延長(例示では週3時間13週で計39時間延長)し、その分で長期休業期間中に休日のまとめ取り(5日)を可能として教職員の勤務実態を改善するとしている。

 しかし、これらはいずれも何ら超勤を削減するものではなく、むしろ、現状の超勤実態を追認し、固定化・助長しかねないもので、断じて容認できるものではない。この間の国会における日政連・北政連議員などの追及によって、衆参両院において「1年単位の変形労働時間制の導入が、(中略)長期休業期間中等に休日を与えることを目的としている」など多くの附帯決議を付けさせたが、そもそも抜本的な超勤解消につながるものではない。

 政府・文科省は、1年単位の変形労働時間制導入の大前提は上限ガイドラインの順守としているが、これまでの審議において、月45時間、年360時間以内とするための具体的な業務削減策は何ら示されていない。

 文科省は、スクールサポートスタッフの配置などによって、年間360時間の在校時間の縮減が可能としたが、週27時間の授業を担当するなど、所定の勤務時間のほとんどが子どもと接する時間となっている小学校教員にとって、授業時数が削減されない限り改善は見込めない。

 また、部活動指導員など外部人材の活用によって、年間160時間の在校時間の縮減が可能としたが、中学校において部活動指導員が配置されている学校が依然として2割程度にとどまっている地域も多く、学校に1人の配置では効果は期待できない。

 文科省の想定は、現場実態と著しくかい離した机上の空論と言わざるを得ず、現状、月45時間、年360時間以内が順守されるとは到底考えられないことから、1年単位の変形労働時間制導入はその前提を欠いている。また、仮に夏休みのまとめ取りが可能となったにしても、超勤の回復は直近に行わなければ過労死や健康被害を防ぐことができないのは明らかである。

 北教組は、独自要請も含め日政連・北政連議員らと連携し国会対策を強化してきた。給特法改正案にかかわる日政連議員等の追及に対して文科省は、勤務時間は勤務条件であり地公法55条に規定される交渉・協定の対象であることは認め、「導入に当たっては各地方公共団体において、職員団体との交渉を踏まえつつ検討されるもの」「校長がそれぞれの教師と対話をし、その事情などをよく酌み取ることが求められる」などとしたものの、各級段階での交渉が必須であるとまでは明言しなかった。

 また、この間の追及によって、所定の勤務時間外に明示・黙示にかかわらず校長の指揮・命令下で行った業務は「校務であるが、地公法(労基法)上の労働時間に当たらない」とする文科省の不当答弁など、給特法の矛盾と、矛盾をそのままに今回の改正を行うことの不合理が一層明らかになり、参院において「3年後をめどに教育職員の勤務実態調査を行った上で、本法その他の関連法令の規定について抜本的な見直しに向けた検討を加え、その結果に基づき所定の措置を講ずる」との附帯決議を付けさせた。

 北教組は、道教委交渉を強化し、2020年の上限ガイドラインの指針化、2021年の1年単位の変形労働時間制導入の一方的な条例化を許さず、超勤排除に向け大幅な業務削減を求めるとともに、「原則時間外勤務は命じない」「命ずる場合は限定させる」ことを順守させ、やむを得ず行った超勤に対しては直近に実質的な回復を措置させるよう全力で取り組んでいく。

 また、長時間労働是正キャンペーンによって世論喚起を進め、引き続き「タダで働かせ放題」を容認する給特法の廃止・抜本的見直しを求めるとともに、部活動の社会教育への移行をはじめとした大幅な業務削減、教職員定数増などによる教員一人当たりの持ち授業時数の削減など、抜本的な超勤解消策を求め運動を強力に進めていく。

(関係団体 2019-12-13付)

その他の記事( 関係団体)

道教組・道高教組緊急シンポ 自分事ととらえ主張を 変形労働時間制の問題点

変形労働時間制シンポ  道教組(川村安浩執行委員長)と道高教組(尾張聡中央執行委員長)は14日、札幌市内の道高校教職員センターで緊急シンポジウム「1年単位の変形労働時間制の問題点を考える」を開いた。神奈川過労死等...

(2019-12-18)  全て読む

オホーツク教委協が教育委員大会 ICTで魅力ある学校 業務改善の重要性学ぶ 新保氏講演

オホ教委協教育委員大会  【網走発】オホーツク管内教育委員会協議会(河原英男会長)は9日、網走セントラルホテルで令和元年度管内市町村教育委員大会を開いた。管内18市町村教委の教育長や委員など約80人が参加。特定非営...

(2019-12-18)  全て読む

札幌市学校保健会が研究大会 健康に過ごす方策発表 教職員など約80人参加

札幌市学校保健会研究大会  札幌市学校保健会(松家治道会長)は7日、ホテルライフォート札幌で第35回研究大会を開いた。幼稚園や小・中学校、高校の教職員、学校保健関係者など約80人が参加。児童生徒が健康に過ごすための方...

(2019-12-18)  全て読む

十勝建設産業を考える会が説明会 建設産業への理解深め 帯広工業高生徒40人が参加

十勝建設産業未来考える会説明会  【帯広発】帯広工業高校(稲津誠校長)で12日、十勝建設産業の未来を考える会主催の建設産業の仕事・役割に関する説明会が開かれた。環境土木科2年生40人が参加。施工業者、建設コンサルタント、発...

(2019-12-18)  全て読む

札幌市学校図書館協議会が研究大会 多様な視点意識する授業 屯田北中が1年国語公開

 札幌市学校図書館協議会(冨田明好会長)は12日、市立屯田北中学校(小澤保範校長)で第42回研究大会を開いた。約50人が参加。公開授業や研究討議、実践報告を通して学校図書館の運営について研究...

(2019-12-17)  全て読む

札幌市立高・特校長会が交流会 リーダーの資質向上へ 「革新」テーマに各生徒会

札幌市立高校生徒会リーダー交流会  札幌市立高校・特別支援学校長会(林恵子会長)は9日、市内ちえりあで市立高校生徒会リーダー交流会を開いた。各校の生徒会に所属する生徒約100人が参加。全体テーマ「革新~今こそ、過去を糧に成長...

(2019-12-13)  全て読む

道高教組と道教組が道教委に 1年単位の変形労働反対 答弁撤回など2点要求

 道高教組(尾張聡中央執行委員長)と道教組(川村安浩執行委員長)は9日、道教委の佐藤嘉大教育長に対し、公立学校教員に1年単位の変形労働時間制を導入しないよう求める緊急要求書を提出した。要求書...

(2019-12-13)  全て読む

「ほっかいどう学」かでる講座 志あるリーダー育成を 北大の松井名誉教授講演

かでる講座志ある若者を育てるには  道生涯学習協会(宇田川洋会長)は10日、札幌市内のかでる2・7で令和元年度最終回となる第10回「ほっかいどう学」かでる講座を開いた。北海道大学の松井博和名誉教授が「志ある若者を育てるには」...

(2019-12-12)  全て読む

公立学校事務職員協会が評議員研 田島会長 職場語れる環境を 来年の研究大会内容等協議

公立事務職員協会評議員研  道公立学校事務職員協会(田島敏明会長)は6日、札幌南高校百周年記念館で本年度第2回評議員研究協議会を開いた。評議員や理事など38人が出席し、来年8月に札幌市で開く第73回研究大会の内容など...

(2019-12-12)  全て読む

札小英研が山の手小で研究大会 英語を通じ世界を広げ 6年公開授業 自身高めスピーチを

札小英研大5回研究大会授業公開  札幌小学校英語活動研究会(=札小英研、会長・類家斉札幌市立山の手小校長)は4日、市立山の手小学校で第5回研究大会を開いた。約180人が参加。公開授業や講演を通じ、言語活動で世界を広げようと...

(2019-12-10)  全て読む