東川町研究開発学校 3年次報告書④(市町村 2020-03-23付)
【地域人材を有効活用町立日本語学校留学生など】
◆幼・小・中・高における国際教育や英語教育の接続の在り方
▼幼・小の連携
幼稚園で学習した内容を小学校1学年の最初の単元に組み入れることで、小学校で実施するGlobeを円滑に進めることができると考えた。
小学校4校から全員が東川中学校へ入学することを踏まえ、各小学校における統一したClassroom Englishの指導の充実を図ったことで、校種が変わってもスムーズにコミュニケーションを図ることができると考えた。
また、幼稚園の年長クラスと小学校1学年との間で毎年交流を行っている。本年度は、自己紹介を英語で伝え合ったり、英語で話された色を当てたりしながら、楽しむことができた。
幼稚園のカリキュラムを事前に把握することで、互いに無理のない英語を通してコミュニケーションを図ることができた。
▼小・高の連携
前年度も小・高との交流を図った。6学年Globeにおいて、相手により伝わる英語表現の方法を学ぶ際、自分だけでは気付けなかったことが、高校生のアドバイスによって効果的な表現について気付くことができた。
また、高校生にも小学生に伝えるために言葉を選び、相手にとって必要なことを考えながら活動する態度がみられた。
本年度は2度の交流を実施した。
11月に実施した授業では、高校生が動物を取り巻く環境の悪化について簡単な英語で小学生に発表した。高校生は、小学生でも分かるような英語表現を考えたり、非言語コミュニケーションを駆使したりすることで、伝える工夫をした。小学生は、高校生の英語から内容を聞き取り、環境問題について考える契機となった。
2月に行った交流では、高校生に中学校生活で行ってきたことや将来の夢をスピーチしてもらい、6年生の将来の夢についてのスピーチのモデルとした。また、中学校生活について日本語で質問し、中学校への不安を解消した。
授業後、6年生の「中学校が楽しみになった」という感想が多くみられた。急な休校で中止となったが、その後、6年生のスピーチを高校生に聞かせ、アドバイスや簡単な質問をしてもらうことで習得した英語の活用を図ろうと考えた。
▼小・中の連携
コミュニケーション要素にかかわり、Globeカリキュラムの「新出表現&くりかえし表現」を洗い出し、一覧表にまとめた。
例えば、I likeの表現はたくさんあり、資料をみると系統性が分かる。I canは2年生で出てきているが、3、4年生で使われていない。3年、4年、5年でも自己紹介のときにも使うように勧めると、繰り返し表現できる。
これらはカリキュラムに反映すべきだと考え、単元ごとに言語材料として記載した。
中学校においてはGlobeカリキュラムの「基本文と語句」を表にまとめた。このことから、小学校Globeにおける英語表現のほとんどが、中学校1年生に集中したことが分かった。
そこで、小学校カリキュラム同様、本年度から単元ごとに記載した。
▼中・高の連携
小学校・中学校・高校において、新教科Globeでは、外国語を活用した授業の位置付けが多くなることから、他の教科・領域との関連を図った教育課程の編成が重要である。特に、中学校・高校では、国際社会や文化の相違、国際的な問題・課題について理解を深め、Globeの取組を他教科・他領域との連携を図りながら、進めていく必要があると考えた。
そこで、各教科・他領域において、ローカル、コミュニケーション、グローバル要素における資質・能力を意識することで、国際社会や文化の相違、国際的な問題・課題について知る・理解する・考えることができるよう、Globe別葉として一覧表を作成した。
▼外国語に慣れ親しみ、異文化理解を深めるための地域人材の有効的な活用の在り方
本町には、JETプログラム(The Japan Exchange and Teacher Program)スタッフ19人や日本語学校留学生など、豊富な外部人材がいる。
5人のALT(外国語指導助手)による外国語活動や外国語の授業、3人のSEA(スポーツ国際交流員)による体育や少年団活動および部活動(クロスカントリー、野球、バレーボール)、11人のCIR(国際交流員)によるイベント参加や国際交流活動、さらに、留学生との交流などができる環境にある。
▽地域の人材~東川町や日本のよさを知る(または、再確認できる)
小学校4学年では、日本の遊びについて地域人材を活用した。けん玉、こま、あやとりなど、昔から日本でなじみのある遊びを地域の人に教えてもらうことで、日本の遊びのよさを体感することができた。
外国人留学生との交流では、日本の遊びを既習の英語やジェスチャーを使って教えることにつながり、日本と外国との遊びの相違点や共通点などを、活動を通して知るとともに、英語を使ってコミュニケーションを図ることにつながった。
中学校では、町社会福祉協議会から外部講師を招き、福祉についての取組などを交えて講話してもらった。中で、生徒は「もっと社協事業を知りたい」「ユニバーサルデザインを調べたい」などの感想をもった。
さらに、体験学習を行うことで、介護をする上で配慮することはどのような点なのか理解することができた。
▽日本語学校の留学生~英語(簡単な日常会話)や日本語による異文化交流
町内には日本で初の町立日本語学校があり、様々な国の人々と接する機会が多く、児童生徒にとって外国が身近に感じられる環境である。
中学校1学年は「日本文化を伝えよう~世界から見た日本」というテーマのもと、中学生と留学生が日本文化について意見交流した。交流後も、互いの国の文化の違いを話したり、日本や東川のよいところを聞いたりした。
互いに考えを理解しようとする姿勢がみられ、国際交流を図ることができた。
日本語を学びに本町に来ている日本語学校の留学生にとっては、できるだけ多くの人たちと話す機会が必要であり、Globeにとっても、世界の食べ物や生活の様子などを直接聞くことができるので、子どもたちや留学生にとって外国を身近に感じることができる貴重な活動となった。
このように、日本語学校の留学生との交流は、互いに価値のある取組として実施することができた。
▼JETプログラムスタッフの有効活用
Globeの授業には必ずALTが入り、英語の例示、チャンツなど主に発音の指導を行うほか、異文化交流の際に有効活用することができた。
小学校5学年では、東川の祭りを紹介する際に、自分たちで調べ、英語で作成した東川のお祭りポスターをALT・SEA・CIRに英語で伝えることができた。
学習した英語を使ってあいさつし、簡単な質問もできた。
さらに、母国の祭りも紹介してもらい、自分たちの住んでいる地域の祭りとの共通点や相違点の比較を通して、互いのよさに気付くことができた。
また、中学校第2学年では、「ユニバーサルデザイン商品について、そのよさと自分の考えを英語で発表しよう」という目標のもと、英語での発表に挑戦する際に、外国の福祉についてALTやCIRに紹介してもらい、日本と外国の福祉について考える機会をもつことができた。
最後に、様々な人が支え合う社会を実現するため、「自分と違う状況の人の立場に立って、物事を考える」などの感想がみられた。
共に生きていく社会の実現について真剣に考えることができ、今後、学んだことを生活に生かしていくきっかけとなった。
▼その他
町では、グローバル要素にかかわり、小学校、中学校、高校で、様々な国の人々との交流を行っている。
本年度は、中学校でフィンランドやタイの人々と、高校でロシアやタイの人々と交流。文化の違いを理解したり、それぞれの国で抱えている諸問題にふれたりすることができた。
▽アメリカマディソン大学との交流
小学校では、5・6年生を対象に自己紹介をしたり、自分の生活やアメリカの生活を紹介し合ったりするなどの交流を行った。
中学校では、学校のインターナショナルクラブと、来校したマディソン大学の教師・生徒と交流した。
▽フィンランドとの交流
中学校では、1年ごとに生徒5人と引率教諭1人がフィンランドに短期研修(中学校での学習体験)を行っているほか、フィンランドの中学生と引率教諭が来町してホームステイをして、中学校で日本文化を体験する学習を進めている。
小学校では、美術や書道、日本の昔の遊び(けん玉、駒、竹とんぼなど)の体験活動や、Globeの授業で交流活動を行った。
▽ラトビアとの交流
姉妹都市交流で毎年来町しているラトビアの高校生との交流は、6月にインターナショナルクラブの活動の中で行った。
事前に、ラトビアの地理や歴史などについて学習。当日はラトビアの高校生と3~4人のチームをつくり、学校周辺で協力し合ってオリエンテーリングを行った。言葉が通じなくても、ジェスチャーなどを使いながら協力し合って課題を解決できた。
▽タイとの交流
タイとの交流は毎年3月に30人ほどの一団が来校し、全校生徒の前で踊りや歌など、タイの文化の一端を紹介してもらい、日本の歌や吹奏楽部の演奏を聞いてもらうなどの交流を行っている。本年度は10月に高校生が来町し、インターナショナルクラブの生徒と交流した。
2~3人のペアやグループをつくり、タイ語や日本語(カタカナ)で互いの名札を作成して自己紹介。日本語の発音と似ているタイ語の意味当てクイズや、事前に準備していた質問に対して直接答えるなどの交流も行った。ローマ字を使わない外国語の文字に興味をもつ生徒が多かった。
▽ロシアとの交流
ロシアの高校生、引率の教頭が来校し、インターナショナルクラブの生徒と3月に交流した。日本の中学校とロシアの高校の様子を互いに交流した。
日本の文化紹介ということで、漢字を使ったゲームなどで交流。また、ロシアの人たちに木のスプーンを使ったパフォーマンスを教わった。
小学校では、日本の文化にふれる体験として、毛筆の授業を児童と行った。
8月にはロシア・アニワ市のビデオコンテストに東川を紹介するビデオを送り、特別賞を受賞した。
(市町村 2020-03-23付)
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