オホーツク運動プログラム 12校の事例(道・道教委 2020-04-03付)
【網走発】オホーツク教育局が作成した『オホーツク運動プログラム取組事例集』では、短学活や休み時間での活用、体育・保健体育授業での活用などの5項目で、計12校の取組事例を紹介している。
取組事例の概要はつぎのとおり。
◆短学活や休み時間での活用
【児童会の計画や運営による集会等の事例=北見市立相内小学校】
▼取組の目的および概要
児童会の保健体育委員会の計画および運営によって、オホーツク運動プログラムを活用した体力向上に学校全体で取り組んだ。
▼取組を進める上での工夫
保健体育委員会が中心となり、全校児童が自己目標を設定して「じっくりプログラム」の「ぴょんぴょん縄跳び」に取り組む集会を行った。
また、できた技や回数に応じて色を塗るカードを作成することによって、児童が達成感を味わいながら、主体的に取り組むことができるようにした。
▼取組の様子や取組後の児童の変容
児童が主体的に取り組むよう工夫したことによって、運動に消極的だった児童が中休みに、自主的に縄跳びに取り組む姿がみられるようになった。
【養護教諭による環境整備の事例=紋別市立渚滑中学校】
▼取組の目的および概要
普段、運動をする習慣がなく、運動を苦手とする生徒が気軽に体を動かし、運動の楽しさを実感できるよう、養護教諭が校内の環境を整備した。
▼取組を進める上での工夫
養護教諭の協力のもと、廊下にオホーツク運動プログラムの各種目が記載されたカプセルを入れた「からだを動かすガチャ」を設置した。
生徒は1日1~2回ガチャを回し、出てきた運動内容に取り組むことができるようにした。
▼取組の様子や取組後の生徒の変容
からだを動かすガチャから出てきた運動を、養護教諭等の教職員と一緒に取り組んだことによって、運動が苦手だった生徒が運動への意欲を高めるとともに、運動習慣形成にかかるコミュニケーションを深められるようになった。
◆体育・保健体育科授業での活用
【業務推進シートの活用によって、学校全体で授業改善を図った事例=遠軽町立丸瀬布小学校】
▼取組の目的および概要
新体力テストの結果等から明らかとなった課題の解決に向け、学校全体で授業改善を進めるため、業務推進シートを活用し、オホーツク運動プログラムを体育科の授業等に取り入れた。
▼取組を進める上での工夫
オホーツク運動プログラムを位置付けた体育科の授業を計画する際、業務推進シートを活用し、各課題の解決に向けて、「いつ、だれが、何をするか」等の具体的な方策を立て、全教職員で取組内容の共有を図った。
▼取組の様子や取組後の児童の変容
業務推進シートに基づいた組織的な取組を行ったことによって、柔軟性や走力など、同校で課題となっていた体力等の向上がみられた。
【体幹を鍛え、「走・跳の運動(遊び)」の充実につなげた事例=滝上町立滝上小学校】
▼取組の目的および概要
児童のさらなる体力向上に向けて、体幹を鍛えることを目的に体育科の授業において、オホーツク運動プログラムの「しっかりプログラム」を授業の導入に取り入れた。
▼取組を進める上での工夫
特に低学年では、スムーズに体を動かすことが苦手な児童も多いことから、しっかりプログラムの内容を教員が発達の段階に合わせてアレンジし、飽きずに継続的に取り組めるよう工夫を図った。
▼取組の様子や取組後の児童の変容
しっかりプログラムで体幹を鍛えたことによって、「走・跳の運動(遊び)」において、体を巧みに操作しながら走ったり、跳んだりする姿が多くみられるようになった。
【冬季の保健体育科授業の充実につなげた事例=斜里町立斜里中学校】
▼取組の目的および概要
スケート競技やバドミントン等、冬季の保健体育科の授業において、体をほぐすことやけがの防止を目的として、オホーツク運動プログラムを準備運動に取り入れた。
▼取組を進める上での工夫
生徒が目的意識をもって運動に取り組めるように、体のどの部位を重点的に伸ばすストレッチであるかを丁寧に説明しながら、準備運動に取り組ませた。
▼取組の様子や取組後の生徒の変容
準備運動にオホーツク運動プログラムを活用したストレッチを取り入れたことによって、気温が低い中でも生徒は、徐々に体温を上げることができ、けがをすることなく、円滑に主運動に移行することができるようになった。
【柔軟性の向上につなげた事例=佐呂間町立佐呂間中学校】
▼取組の目的および概要
保健体育科の授業で新体力テストの結果および分析から明らかとなった柔軟性の改善を目的として、オホーツク運動プログラムを準備運動に取り入れた。
▼取組を進める上での工夫
教科担任が、生徒に対して「なぜこの運動を行うのか」というねらいを明確に示すとともに、ポスターに示されている「Point」に注意しながら各ストレッチを行った。
▼取組の様子や取組後の生徒の変容
教科担任と生徒が運動のねらいを共有し、必要感をもって各プログラムに取り組んだことによって、毎時間の保健体育科の授業において、けがの防止を意識しながら、運動パフォーマンスを高めることができた。
◆部活動での活用
【陸上部で活用した事例=網走市立第四中学校】
▼取組の目的および概要
各種陸上競技の技術向上を目的として、準備運動の際に、8種類のストレッチの中から、その日の活動内容に合わせた「のびのびプログラム」に取り組んだ。
▼取組を進める上での工夫
陸上競技では、太もも後ろの筋肉のストレッチが重要であることから、顧問教諭が、持ち上げていない方の足を曲げて腰が痛くならないように調整する等のポイントを踏まえた動きのモデルを見せる工夫を行った。
▼取組の様子や取組後の生徒の変容
部活動の準備運動にのびのびプログラムを継続的に取り入れたことによって、多くの生徒の柔軟性が向上した。
【サッカー部で活用した事例=興部町立興部中学校】
▼取組の目的および概要
各関節の可動域を広げ、体幹を鍛えることを目的として、準備運動の際に、「しっかりプログラム」の4種類のエクササイズに取り組んだ。
▼取組を進める上での工夫
サッカーには、足でボールを扱うという特性があり、特に片足で体を支える能力が重要であることから、背すじをピンと伸ばし、腰を傾けずに行う体幹を鍛えるエクササイズを重点的に行った。
▼取組の様子や取組後の生徒の変容
競技の特性を重視したプログラムに取り組んだことによって、シュートをする際のキック力が向上したり、ゲームにおいて1対1で体をぶつけ合うときに体勢が崩れにくくなったりするなど、体幹が強くなった生徒が多くみられた。
◆長期休業中や各家庭での活用
【冬季学習支援会で活用した事例=北見市立上常呂小学校】
▼取組の目的および概要
冬季休業中に実施した学習支援会の「運動遊び」の時間において、冬季の運動量増加や家庭での運動習慣形成につなげることを目的としてオホーツク運動プログラムに取り組んだ。
▼取組を進める上での工夫
児童が肩甲骨周りをほぐすことの気持ちよさを実感できるよう、「じっくりプログラム」のゆらゆら腕振りを行った。また、楽しみながら持久力を高めることができるように全員で、ぴょんぴょん縄跳びを行った。
▼取組の様子や取組後の児童の変容
冬季休業中に継続した運動を行ったことによって、家でもじっくりプログラムに取り組む児童がみられた。また、休み時間に縄跳びをするなど、児童の冬季の運動量増加につながった。
【家庭での運動習慣形成につなげた事例=北見市立光西中学校】
▼取組の目的および概要
各種調査結果から、部活動以外の運動習慣がなく、スクリーンタイムの長い生徒が多数いることが明らかとなったことから、生徒の運動習慣形成を目的として、オホーツク運動プログラムに取り組んだ。
▼取組を進める上での工夫
のびのびプログラムを授業の導入に継続的に取り入れるとともに、長期休業中の計画表にプログラム実施の有無を記入する欄を設けることによって、生徒が長期休業中に家庭でも実践できるよう工夫した。
▼取組の様子や取組後の生徒の変容
のびのびプログラムを長期休業中に取り入れるよう仕掛けをしたことによって、家庭でも体を動かす生徒が増えるなど、部活動以外の運動習慣の形成につながった。
◆準備運動特選13を活用した取組
【児童が主体となって取組を推進した事例=斜里町立朝日小学校】
▼取組の目的および概要
管内どさん子元気アップチャレンジと自校の体力向上プランを連動させ、児童会等が中心となって体力向上の取組を推進した。とりわけ、準備運動特選13を活用し、学校全体で体力向上にかかる組織的な取組を行った。
▼取組を進める上での工夫
全校朝会において、オホーツク運動プログラムについて説明を行ったあと、準備運動特選13をもとに、第6学年の学級委員主催による朝日ウォームアッププロジェクトや、児童会体育委員会主催によるボールの投げ方教室などを実施した。
▼取組の様子や取組後の児童の変容
児童が主体となった取組を行ったことによって、楽しみながら苦手を克服しようとする意識および態度の高まりがみられた。
【器械運動の授業に取り入れた事例=遠軽町立遠軽中学校】
▼取組の目的および概要
器械運動(マット運動および跳び箱運動)では、自分の体を支えられることが重要な要素であることから、その能力を身に付けることを目的として、準備運動特選13に取り組んだ。
▼取組を進める上での工夫
抱え飛び込み跳びを苦手としている場合には、⑩うさぎとびを行い、倒立を苦手としている場合には、⑫かえる倒立のあとに⑬壁のぼり倒立を行うなど、「動きの工夫」を参考にしながら、それぞれ授業の導入に取り入れた。
▼取組の様子や取組後の生徒の変容
すぐに技に入るのではなく、準備運動において準備運動特選13を取り入れたことによって、スモールステップで取り組むことができ、運動が苦手な生徒もスムーズに器械運動に取り組む姿がみられた。
(道・道教委 2020-04-03付)
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