新型コロナで全連小が文科省へ要望 学校再開指針など5事項 2波、3波に備え特例措置を(コロナウイルス関連 2020-05-21付)
全国連合小学校長会(喜名朝博会長)は14日、文部科学省に「新型コロナウイルス感染防止のための新しい行動様式に対応した諸条件の整備・子どもたちの学力保障のための教育課程の特例措置等にかかわる要望」を提出した。新型コロナウイルスの第2・第3波に備え、本年度の教育課程に関する特例措置などによって子ども、教職員が安心して学校生活が送れるよう、学校再開のための指針等の策定、学校再開後の安全確保のための環境整備など5事項を要望している。
概要はつぎのとおり。
新型コロナウイルス感染症の拡大防止への対応として、全国の多くの自治体で学校休業期間が延長された。このような状況の中、子どもたちの学習保障、心身のケア、感染防止のための新しい生活様式に対応した学校再開後の教育の在り方など、学校現場は課題が山積している。
第2波、第3波が想定される中、児童および教職員の健康・安全を前提にとした学校再開後の学校運営がスムーズに進行するよう、また、本年度の教育課程にかかわる特例措置等によって子どもたちや教職員が安心して学校生活が送れるようにするため、全国連合小学校長会としてつぎの事項の実現を強く要望する。
▼学校再開のための指針等の策定について
学校の最優先事項は、児童および教職員の生命と安全を守ることである。学力保障のためだけに早期に学校を再開しようとする動きもあるが、これは本末転倒である。一方でリスクをゼロにすることは難しく、そのリスクを最小限にとどめるための学校再開の指針や判断基準を早急に策定されたい。
▼学校再開後の安全確保のための環境整備について
学校再開に当たっては、マスクの着用や検温、手洗い、消毒、換気等が必須となる。その統一的なルールを策定するとともに、物品の確保および供給に努められたい。
また、新しい生活様式に基づく行動変容が必要であり、職員室の分割化や隔離室の設置など、学校環境整備についての指針および予算措置を講じられたい。
さらに、常に児童とともにある教職員全員のPCR検査や抗体検査を進められたい。
▼感染者発生時の対応マニュアルの策定について
自覚症状のない児童から他の児童や教職員に感染した事例が報告されており、どんなに感染予防を行っても感染リスクはゼロにならない。常に感染リスクを負う中で、児童や教職員が感染した場合の対応マニュアルおよび学校再開プログラムを策定されたい。
▼学習指導要領の取扱いに関する特例措置の施行について
臨時休業によって、教育課程の完全実施が不可能となる中、教科書が終わらないという教職員の悲痛な叫びがある。児童や保護者、特に卒業を控える6年生の不安は計り知れず、学校再開後も感染リスクを回避した授業形態となることから、さらに不安が増大することとなる。
このような中、夏季休業の短縮や7時間授業の設定等によって、いたずらに授業時数のみを確保しようとする動きもあり、児童および教職員の安全確保という理念とはかい離している。この状況にあって必要なのは、実施困難な内容の削除および圧縮化、次学年への先送りなどの具体的方策である。
学習指導要領の特例措置として、早急に施行されたい。
▼ICT等を活用した授業のための環境整備の促進について
緊急経済対策の一環として、ICT活用のための予算措置が講じられ、自治体による取組が始まっている。しかし、その進ちょく状況については自治体間格差が大きく、家庭のインターネット環境も様々である。学校再開後も家庭学習に負うところは大きく、新型コロナウイルス感染拡大の第2波、第3波が予想されることから、オンライン授業環境の確立が必須である。
そこで、ICT活用のためのさらなる支援とともに、学校を核とした広域高速ネットワークの構築、それを補完するためのテレビ放送を活用したテレビ学校の創設を促進されたい。
(コロナウイルス関連 2020-05-21付)
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