道高教組、道教組等が緊急要望 長期的視野で条件整備を 各校の運用尊重した支援要請
(コロナウイルス関連 2020-05-22付)

 道高教組(尾張聡中央執行委員長)、道教組(川村安浩執行委員長)などで構成するゆきとどいた教育をすすめる北海道連絡会は19日、鈴木直道知事、道教委の小玉俊宏教育長に対して、新型コロナウイルス感染症による再度の一斉臨時休校に関する学校再開に向けた緊急要望書を提出した。長期的な視野で、児童生徒の命と健康・安全を確保するため必要な条件整備を行うことや、教育課程の編成・実施において、各学校の弾力的な運用を尊重し、取組を最大限支援することなどを求めた。

 内容はつぎのとおり。

▼コロナ感染が長期間にわたるという懇談会提言を踏まえ、場当たり的対応に終始せず、長期的な視野ですべての児童生徒の命と健康・安全を確保するため必要な条件整備を行うこと

▽「新型コロナウイルス感染症対策としての学校の臨時休業にかかる学校運営上の工夫について(通知)」が示す座席配置に準じ、教室内での過密な状況を解消して感染リスクを下げるため、20人学級が可能となるよう条件整備を行うこと。その際、必要となる教職員の増員配置を国に強く要請するとともに、道独自でも緊急の増員配置を行うこと

▽学習支援員やスクール・サポート・スタッフの配置などの条件整備を行うとともに、現在配置されている加配教員を柔軟に活用できるようにすること

▽子どもたちと教職員がつながることができるよう、学校、家庭ともにネットワーク環境整備について国の予算措置を待たずに速やかに行うこと

▽保健室での対応増加に備え、すべての学校に養護教諭を複数配置するなど、人的・財政的支援を緊急に行うこと

▽感染が疑われる児童生徒が待機隔離する場所を確実に確保し、保健室が感染する場にならないようにすること

▽心のケアなども含め、子どもたちや保護者が相談できるよう、相談体制を確立すること。そのために必要なスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを大幅に増員すること

▽コロナ感染症の集団感染を防ぐため、定期健康診断実施に当たり、現場に混乱を来さないよう、医師会の見解をもとに、実施条件や具体的な対応を示すこと

▽学校でのフッ化物洗口等の実施は感染リスクを高めることから、実施しないこと。市町村教委に対しても、フッ化物先口の感染リスクについて周知すること

▽学校給食の再開に当たっては、子どもたちの命と健康・安全を保障するために必要な体制を整えること。懇談会提言が推奨する弁当方式が可能となるよう、食具の整備、職員の増員等の予算措置を行うこと

▽高校の通学スクール便やスクールバスについて、可能な限り座席を離すなど、スペースを十分確保するため、バス会社への増便要請、借り上げバスの増車、市町村への支援を行うこと

▽各学校で適切な対応ができるよう、必要な情報提供や支援を迅速に行うこと

▽地域別検討協議会も開催されておらず、学校現場では、新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う対応に全力を挙げなくてはならないことから、2020年度に示される高校・特別支援学校配置計画の一時凍結をすること

▼長期間の臨時休校に伴い、2020年度の教育課程の編成・実施において、地域や子どもの実態を踏まえ、各学校の弾力的な運用を尊重し、その取組を最大限支援すること

▽長期間の臨時休校に伴い、機械的に授業時数を確保することを優先せず、文部科学省通知で示された学校の授業における学習活動の重点化については、各学校の実態を踏まえた判断に任せること

▽学校での指導の充実のために実施する授業コマ数の増加、長期休業期間の短縮、土曜日の活用については、子どもたちの負担や教職員の勤務が過重とならないようにすること

▽文科省通知によると、次学年または次々学年に移して教育課程を編成など、次年度以降を見通した教育課程編成が示されているが、問題を先送りするのみで、次年度以降に大きなしわ寄せが生じる。新学習指導要領の一部を実施しないことを可とするなど、学習保障の方向性について見直しするよう文科省に要請すること

▽補充のための授業等の資料、ICTの活用等については、特定の教材や指導方法を各学校へ押し付けないこと

▼教職員の勤務や感染防止対策について、つぎの対応を行うこと

▽長時間の業務は疲労の蓄積(易感染性)につながることから、業務の適正化を行うため、業務の大幅な削減や教職員の増員配置を行うこと

▽妊娠中の教職員や重症化しやすい基礎疾患をもつ教職員、通勤時に公共交通機関を利用する教職員が在宅勤務を行えるよう、教職員の加配など必要な条件整備を進めること

▽臨時休校や分散登校などが生じた場合、非常勤職員の労働条件に不利益が生じないようにすることについて、あらためて周知徹底すること

▽新型コロナウイルス感染症対策を優先させるため、当面の間、研修の実施を見送ること。少なくとも、教職員の感染拡大防止の観点から、集合形式の研修を実施しないとともに、オンデマンド形式や遠隔研修の実施に伴い、課題提出などの新たな業務を発生させないこと

▽学校力向上や学力・体力向上などの様々な学校指定、地域指定の事業について、新型コロナウイルス感染症対策を優先させるため、当面の間、実施を見送ること。また、指導監や指導主事訪問を強制しないこと

▽教員免許更新制に実施を一時凍結するよう、国に求めること

▼新型コロナウイルス感染拡大に伴い、収入が激変した世帯の子どもたちの、教育を受ける権利を保障すること

▽新型コロナ感染対策によって、収入が激減している世帯に対して、就学支援・奨学給付金等の必要な援助を行うとともに制度や申請方法などを周知徹底すること。また、今後の経済状況の悪化に備え、就学援助の申請時期を延期するなどの手立てを取ること

▽準要保護世帯の所得基準を引き上げ、収入が激変した世帯が教育費負担で困窮することがないようにすること

▽家族が感染した家庭への支援について、自治体の責任として実施すること。

▽就学援助世帯については、給食がない分、食費の負担が増すことから、生活費の支援を実施すること

▼休校長期化を想定し、大学進学や就職等、進路保障に関して、本年度の卒業生に不利益が生じないよう必要な措置を講じること

▽中学校の臨時休業による授業の遅れを考慮し、公立高校入試の出題範囲を大幅に見直すこと。また、学校設定問題を課さないこと

▽高校入試について、新型コロナウイルス感染症に罹患、または、その疑いのある受験生に対し、不利益とならないよう最大限配慮すること

▼学童保育の運営に必要な指導員の増員など、市町村の環境整備を支援すること。また、対応時間の延長を実施できるよう支援すること

▼部活動の再開に当たっては、児童生徒の命と健康・安全の確保、学習保障、また、教職員が感染防止対策に集中できるような観点を貫き、慎重に判断するよう関係団体に周知徹底すること

▼新たに始まる出退勤管理システムは、新型コロナウイルスの感染拡大対策を優先し、運用を凍結すること。また、試行的に実施する場合でも集計の報告などは強要せず、教職員に負担をかけないようにすること

▼1年単位の変形労働時間制の導入にかかわり、職員から意見を聞くなど、制度の議論は感染終息まで行わないこと

(コロナウイルス関連 2020-05-22付)

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