4種校長会長インタビュー 第3回 北海道高等学校長協会 廣田定憲会長 共に支える体制で課題解決
(関係団体 2020-07-06付)

道高校長協会廣田会長
道高校長協会・廣田定憲会長

―会長としての抱負

 本年度、新たに道高校長協会会長に就任した。教育改革の大きなうねりの中、そして、新型コロナウイルス感染症対応という未曾有の事態に直面する中、現場を預かる校長の代表として、様々な課題に対して全道の校長先生方からの情報や知恵、勇気をいただきながら、本道の高校生の輝く未来を創造するために、誠心誠意、力を尽くす所存である。

 5月の総会では、「支える」「備える」「攻める」の「3つのS」をキーワードに所信を述べた。学校経営上の課題は、多様化・複雑化・困難化が増している。一校を預かる校長として、厳しい対応・判断を迫られることは、どこの学校でも起こり得る。不祥事対応、保護者対応、生徒対応等での各校長の困り感を共有し、共に支える体制をつくり、解決の糸口を探っていきたい。

 本年度、本協会は公立・私立合わせて283校の校長を会員としてスタートを切った。283校は1校として同じ学校はない。283とおりの学校経営があり、教育実践がある。

 全道の校長先生方がそれぞれの学校経営や教育実践を情報交換することで、自分の学校経営や学校改革のヒントがみつかると考える。全道の校長先生方のネットワークを強固なものにして、本道高校における学校経営力を高めていきたい。

 新型コロナウイルスへの対応はもとより、国や道の教育改革の動きは加速度を増しており、様々な教育施策が現場に降りてくる。私たち校長に、やらないという選択肢はない。どのような形が生徒、教職員のためになるのかを考え、自校の教育活動に落としていくことが必要である。

 そのためにも、各学校での実践の中で生じた、現状に基づいた率直な意見をまとめ上げ、道教委をはじめとした関係機関に対して、本協会としての建設的な意見、創造的な提案をしていきたい。

 コロナ禍の中、各校の生徒たちは、現実を受け止め、前を向き、必死にこの難局を乗り越えようとしている。大変厳しい時期での就任となったが、全道の校長先生方の力添えをいただきながら、これからも押し寄せてくるであろう難題に立ち向かい、この任を全うしたい。

―課題と対策

 1つ目は、教育の情報化への対応。

 国のGIGAスクール構想によって、本年度中にすべての公立高校に高速大容量の通信ネットワーク環境が整備される。今回の休業措置を受けて、公立・私立問わずウェブ会議サービスを活用し、個別面談やホームルーム、オンライン授業の取組を進めている学校がある。

 本協会の強みは道立、市町村立、私立すべての北海道の高校が加盟しているところにある。

 今後、新型コロナウイルスへの対応としてもたされた先進的な取組を設置者にかかわらず共有し、研修を深め、教科指導をはじめとした教育の情報化への対応を、スピード感をもって進めていくことが必要である。

 2つ目は、教頭の確保。

 本協会として、機会あるごとに教頭未配置校は絶対つくらないことを最優先事項として、道教委に要望してきた。本年度、退職された校長など役付き再任用教頭が14人配置され、教頭登録残もごくわずかの人数と聞いている。

 教頭確保については、まさに危機的状況であると認識している。教頭希望者が少ない要因については、本協会主催の人事打ち合わせ会議において道教委と意見交換を行ったが、共通の認識をもってこの課題に立ち向かうためにも、今後も継続的に道教委と協議していく必要がある。

 3つ目は、服務規律の保持と不祥事の根絶。

 5月下旬、道立学校に勤務する副校長が傷害容疑で逮捕される事案が発生した。新型コロナウイルス感染拡大防止や学校再開後の学びの保障に向け、教職員が一丸となって様々な取組を進めている中、信頼される学校づくりの要として、教職員に範を示すべき立場にある管理職員がこのような不祥事を起こしたことは、極めて遺憾である。

 翌日、会長名で全道の校長先生方へ不祥事根絶に向けた緊急メッセージを発出した。また、4月に本協会調査研究部が作成した『不祥事防止研修資料』を各会員に送付した。

 これらを活用し、服務規律の保持と不祥事の根絶に向け、教職員一人ひとりの意識の啓発・向上に努めていきたい。

―新型コロナウイルス感染症への対応

 生徒・教職員の命と健康を守ることを最優先に学校経営を推進する必要がある。新型コロナウイルス感染症に対する教育活動への対応は刻々と情勢が動いており、感染状況や判断時期によって最善の方策が変わっていかざるを得ない。

 感染症に対する各教育活動のガイドラインは、国の方針を受け、学校設置者が責任をもって明確に示していただきたい。本協会としても、会員校長の意見を集約して、協会組織として建設的な意見を述べていきたい。

 通知でカバーできない部分については、生徒の安心・安全を確保する観点から、各支部長がリーダーシップを発揮して、本協会としての「申し合わせ事項」を作成し、地域内で歩調を合わせる動きをとっている。

 各校長においては、教職員が動きやすいよう迅速に判断し、明確に方向性を打ち出すことが大切である。そのために、各支部内で、感染防止策、授業補充、見学旅行の取扱いなど、情報共有・意見交換を活発に行っている。

―本年度の重点

 1つ目は、協会の活動方針について。

 本年度の活動方針は、昨年に引き続き、主題を「北海道の新たな時代を切り拓く高等学校教育の創造」、副題を「新高等学校学習指導要領が目指す教育の実現」とした。「教育課題」「経営課題」「協会運営」について、それぞれ4項目、計12項目を、一部文言修正して重点目標とした。

 広域にわたる本道高校教育において、支部長の果たす役割は大きい。重点目標達成のため、支部長の校長先生方との意思疎通、情報共有を今まで以上に密に図っていきたい。

 2つ目は、文教施策要望について。

 文教施策要望は具体的なものとし、内容の精査を一層進めた結果、5年前と比較して、要望事項・重点事項は約55%減となっている。より実効的な要望とするため、本年度も素案の段階で道教委関係課と事前協議を行った。

 支部長研・理事研での協議、教頭・副校長会および事務長会との協議、道教委関係課との最終調整を経て、要望書として取りまとめる予定である。8月下旬に道教委関係各課と懇談会を予定している。

 3つ目は、調査研究活動の充実について。

 本協会では、各学校の学校経営に資するため、調査研究部において調査・研究を進め、研修の充実を図っている。本年度は、教育課程、管理運営、生徒指導、進路指導の4委員会および進路指導委員会の中に高大接続小委員会を設けている。

 各委員会において、道教委各担当課の指導主事に助言をいただきながら年末までに報告書をまとめ、1月の後期研究協議会で報告する予定である。

 ひろた・さだのり

 昭和59年北海道大卒。平成16年奥尻高教頭、18年美瑛高教頭、21年札幌東高副校長、24年知内高校長、26年静内高校長、28年北広島西高校長、29年札幌北陵高校長を経て、31年から札幌南高校長。

 昭和36年7月30日生まれ、58歳。虻田町(現・洞爺湖町)出身。

(関係団体 2020-07-06付)

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