4種校長会長インタビュー第2回 学ぶ喜び実感させる取組を 北海道中学校長会 鎌田浩志会長 
(関係団体 2020-07-03付)

道中学校長会鎌田浩志
道中学校長会・鎌田浩志会長

―会長としての抱負

多くの中学校長がいる中で、70年を越える歴史を刻んできた道中学校長会の会長の任という大役を仰せつかることは、大変光栄なことであると同時に、職責の重さを強く感じ、身の引き締まる思いである。副会長をはじめ、運営委員・理事・幹事、そして何よりも全道20地区の校長会、569人の会員の支援と協力をいただきながら、本会の歴史と伝統を引き継ぎ、諸課題に対し全力で取り組んでいきたい。

 本会の目的は「中学校長の職能向上と北海道中学校教育の振興」であり、その至高な目的を達成するためには、全道20地区の校長会相互が緊密な協調を保つことが重要である。

 組織改革が行われてから4年目を迎える。長きにわたって、先達が脈々と積み上げてきた思いをしっかりとつなぎ、札幌市を含めて全道各地区の校長先生方との強い連携と連動で「オール北海道」「チーム北海道」と強固なる姿として活動を推進させていきたい。

 今、新型コロナウイルス感染症の猛威という、これまで誰もが経験したことない目の前の大きな課題に直面している状況下だからこそ、本年度のキャッチフレーズとして「叡智を結集し羽撃く 道中」を掲げた。新たな組織体制で臨む道中の今後の道を拓き、活動を前進させることができるよう、支援と協力をあらためてお願いする。

 我々校長は、校長会の使命である教育の質の向上を目指し、専門家集団としてのリーダーシップを発揮しながら授業の質を高め、学校力の向上のために全力を注がなければならない。これまでの各地区、各学校での実践の成果を十分踏まえ、地域や保護者と共有・連携・協働しながら、生徒たちに学ぶ喜びをさらに実感させられるよう、粘り強く着実な取組を今後も進めることが重要である。

 全道の公立中学校長によって構成される本会の目的を達成するため、全力で責務を果たす所存である。

―抱える課題と対策

 年々、道中の会員数は微減ではあるが減少傾向をたどっている。少子高齢化と人口減少社会は、今後ますます深刻化することが予想され、小・中一校ずつの市町村の増加や、小中一貫校・義務教育学校が増加傾向にある。今後、コミュニティ・スクール化も踏まえると、地区の教育課題に小・中学校が連携から一歩進めて連動して取り組む体制がより一層重要となる。

 本会も新たな組織改編以来、業務の効率化や経費の縮減に努めてきた。今後も各地区中学校長会の連合体「チーム道中」として様々な思いを共有し、全会員が主体意識をもって取り組む組織として醸成を図っていかなければならない。

 本年度から全日本中学校長会で使用しているウェブ会議システムを全日中の一地区として北海道の理事研修会等に使用できる規定が整備された。GIGAスクール構想の整備の加速化が進む中、道中としても今後の備えとしてICT環境を整えていくことが必要である。

つぎに、学校における働き方改革について。

 教職員の時間外勤務等にかかる実態調査結果から、一定程度の進展はあるものの、北海道アクション・プランの目標が達成されている状況にはない。

 勤務時間の上限に関するガイドラインが指針へ格上げされ、在校等時間の縮減の実効性の強化や次年度から1年単位の変形労働時間制の適用が開始可能となるなど、これまで以上に各学校での共通理解や意識改革、関係機関との密接な連携が必要となる。道中としても、推進指定校等との情報共有を図り取り組んでいく。

―本年度の重点

 本年度の活動の重点は、全日中教育ビジョンの内容を踏まえ、校長としての主体性と指導性をもち、会員相互の連携のもと北海道の中学校教育を推進し、道民の負託に応えるべく、つぎの5点を掲げた。

▽校長会組織の一体化に取り組みながら、活動の充実に努める

▽教育課題の解決を図り、学校経営の改善に努める

▽教育課程の整備と充実、特色ある学校づくり、確かな学力の定着と伸長、体力の向上に努める

▽円滑な教育活動推進のための教育諸条件の整備・充実に努める

▽教職員の服務規律の徹底、教員の職責に見合った待遇改善に努める

 本年度は会同による総会・研修会が実施できなかったため、書面表決書によって確認された。特に、全日中の宣言・決議に新型コロナウイルス感染症に関する文言が急きょ追加されたことから、①新型コロナウイルス感染拡大防止と今後の対応②新学習指導要領全面実施への移行措置最終年度の取組③学校における働き方改革への取組―に関連する課題について力点を置き、北海道の中学校長会が一体となって新しい時代に求められる学校づくりに向けてこれまで以上に全道各地の状況を把握し、連携を密にした組織運営に努める決意を新たにした。

 また、本年度から「新たな時代を切り拓き、よりよい社会を創り出していく日本人を育てる中学校教育」を研究主題として、4ヵ年継続研究がスタートする。

 9月25・26日には、第62回道中学校長会研究大会函館大会の場で各地区での実践研究の成果が発表され討議される予定であったが、中止せざるを得ない状況となった。我々の職能向上に資する研究の歩みを止めないためにも、今回発表予定の内容を成果として還流し、つぎへつなげる準備を進めている。

―新型コロナウイルスへの対応

 5月20日、全日中で初の試みでテレビ会議システムを使用しての理事会を行い、各都道府県の新型コロナウイルスに関する現状と課題が交流された。

 一言で表現するなら「千差万別」。いまだに終息がみえないことからも、長期間にわたって新型コロナウイルス感染症とともに生きていかなければならないという認識に立って、教育活動を進めなければならない。

 今回、道小学校長会と共通の内容で各地区校長会への調査活動を行った。その中から、コロナ関連に特化した内容で8月にテレビ会議システムを利用して全道14管内を結び、短時間ではあるが、道教委・道小・道中・道公教の四者での意見交換会を行う予定となっている。刻々と変化している状況ではあるが、新型コロナウイルス感染症に起因する課題解決を図っていきたい。

 中学校は来年度から新学習指導要領が全面実施となる。移行措置最終年度となる本年度の学習事項の確実な履修に向け、各自治体、各学校で鋭意取り組んでいる。学校の新しい生活様式の中で、主体的・対話的で深い学びの視点からの学習過程の改善をどう図るか、行事等の在り方など、検討も必要である。

 また、再度の臨時休業措置に備えておく必要がある。現在、各自治体においてGIGAスクール構想への整備が急ピッチで進められている。各学校ではその活用も含めて、生徒の学びを保障するために対応策を講じ、準備しておかなければならない。

 部活動については、中体連夏季大会が中止となったことを受け、その後の対応については、道教委、道中体連と連携を図り、同一歩調での対応を取っている。また、来春の高校入試の実施についても具体的な対応策が早期に示されるよう働きかけていく。

 我々に課せられている教育課題はまだまだ数多くある。道中学校教育の振興のために、これまで積み重ねてきた成果を糧に、保護者・地域の理解・協力を得ながら、教育関係機関・団体と協働し、「チーム北海道」の一員として叡智を結集し、着実に一歩一歩前進したいと考えている。

 引き続き、会員各位・関係各位の理解と支援をお願いしたい。

 かまだ・ひろゆき

 昭和58年道教育大札幌分校卒。北檜山町立北檜山中を振り出しに、長沼町立中央長沼中、南幌町立南幌小に勤務。平成11年由仁町立川端小教頭、14年岩見沢市立北真小教頭、17年岩見沢市立北村小教頭、19年芦別市立芦別中教頭、22年滝川市立明苑中教頭、24年芦別市立芦別中校長、28年新十津川町立新十津川中校長、30年岩見沢市立北村中校長。

 昭和35年6月23日生まれ、60歳。利尻町出身。

(関係団体 2020-07-03付)

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