札幌市教委　夜間中学在り方検討会議　“形式的卒業者”支援を　年度内に基本計画策定へ

（市町村 2020-07-31付）

公立夜間中学の開設に対する思いなどを交わした

　札幌市教委は３０日、市内のＳＴＶ北２条ビルで第４回札幌市における公立夜間中学の在り方検討会議（最終会議）を開いた。これまでの会議の内容を踏まえ、各委員が公立夜間中学の開設に対する期待や思いなどを表明。不登校などを理由に学習しないで卒業した“形式的卒業者”を支援し、再びしっかり学ぶことができるような学校を期待する声が上がった。今後、来年１月ころを目途に募集するパブリックコメントを経て、年度内に公立夜間中学の設置にかかる基本計画を策定・公表していく予定だ。

　市教委は、令和４年４月を目途に公立夜間中学の開設に向けた準備を推進。市として、本年度内に公立夜間中学の設置にかかる基本計画を策定することとしている。

　これまで公立夜間中学で配慮すべき事項などを検討するに当たり、委員長の引地秀美道教育大学札幌校特任教授をはじめとする委員８人で構成する検討会議を計３回開催。最終となる第４回会議には、委員全員が出席した。

　議事では、事務局がこれまでの会議で挙がった意見について説明。公立夜間中学の設置に当たり、教員養成も重要であるとの観点から教員研修を適切に行うとともに、大学など、外部の機関とも連携しながら教員の養成を進める必要性を指摘する声が上がったことを報告した。

　ＩＣＴの活用に当たっては、効果的・効率的な学びの実現だけでなく、情報リテラシーを習得する必要性を求める声があったことを紹介。

　就学支援については、通学圏が広くなることが予想されることから、交通費が通学費の障害とならないような措置、通学への困難さのある人が通う可能性もあることから、通学費を援助する必要性を訴える声などが上がったことを振り返った。

　このあと、これまでの検討会議の総括として、各委員が公立夜間中学の開設に対する期待や思いなどを表明。「高齢者、障がい者、外国籍の市民のほか、今後増えることが予想される、不登校などで学習しないで卒業した“形式的卒業者”にとっても再びしっかり学ぶことができるような公立夜間中学校となってほしい」「開設した際には、本道における公立夜間中学のセンター的な役割を担っていくことになるので、今後、全道の学び直しの機会を求める人のニーズに応えていけるような素地をつくっていくことが必要」などの声が上がった。

　今後は、来年１月ころ、市民に対して公立夜間中学の設置にかかる基本計画に関するパブリックコメントを募集。寄せられた意見を精査し、３月を目途に基本計画を策定・公表していく。

(市町村 2020-07-31付)