道教委 道小・道中・道公教要望への回答 〈下〉 若手教員にメンター研修 小学校教員の英語力・指導力向上(関係団体 2020-08-12付)
道小学校長会(神谷敦会長)、道中学校長会(鎌田浩志会長)、道公立学校教頭会(西村貴史会長)の『北海道文教施策・予算策定に関する要望書』に対する道教委の回答はつぎのとおり。
【教職員の資質の向上を図る研修の促進と内容の充実、強化】
▼教職員の識見と研修意欲を高めるための配慮
▽各種研修事業の趣旨を生かした運営の工夫と早期の日程提示
〈回答〉
各種の研修については、本年3月に改定した令和2年度(2020年度)道教職員研修計画に基づき実施することとしている。
本研修計画には、基本研修、教育課題研修、専門研修について、その目的や内容、会場や時期を掲載しており、道教委では、本研修計画に基づき各種の研修を運営している。
研修日程の詳細については、早期周知できるよう努める。
▽教員免許更新時講習ならびに現職研修との整合性の確保など柔軟な対応
〈回答〉
中堅教諭等資質向上研修については、平成30年度から、一部の内容をオンデマンド研修で実施することによって、集合形式の研修時間の短縮を図っている。
免許状更新講習については、中堅教諭等資質向上研修と免許状更新講習が重なる教員の負担軽減のため、中堅教諭等資質向上研修を受講する教員のうち、希望する教員については本研修の受講によって、免許状更新講習(選択必修領域6時間分)を履修できるようにし、弾力的な運用に努めている。
▽後補充の非常勤講師の確保など、教職員の研修促進と指導力向上制度の効果的な運用
〈回答〉
児童生徒に対する指導が不適切である教員を対象に、教員個々の課題・実態に即した研修等を実施するなど、制度の効果的な運用に努める。
また、24年度から近隣の地域や学校が合同で行う地域連携研修を実施しており、移動時間を短縮し、一部の地域では、平日の午後からでも参加できるよう工夫している。
校内・地域教職員研修促進費については、これまでも厳しい道財政の中、予算を確保してきており、引き続き予算の確保に努める。
今後とも、適切な執行に努めるとともに、本事業の趣旨が十分生かされるよう配慮願う。
▽若手教員の実践力向上を図るため、より一層の施策の充実
〈回答〉
教職員の研修については、本年3月に改定した2年度道教職員研修計画に基づき、体系的に実施する。
特に、若手教員については、メンター方式の校内研修の一層の普及を本年度の重点的な取組の一つとして位置付け、初任段階教員研修から校長経験者研修に至る各基本研修において、先輩教職員から若手教職員へ知識・技能を伝承するメンター方式について理解を深める研修を実施する。
各学校においては、メンター研修をはじめ、OJT等を通じて若手教員の資質・能力の向上が図られるよう、校内研修の充実に取り組むよう願う。
▽経験の浅い期限付教諭の基本的研修(初任段階で実施している教科指導、学級経営服務規律等)の実施
〈回答〉
25年度から、初任者研修において、校務に支障のない範囲で長期休業期間中の研修への参加を考慮するなど改善を図っており、2年度の初任段階教員研修においても同様に取り扱うこととしている。
▽教員免許更新制の円滑な運用にかかる諸条件の整備
〈回答〉
これまで、道教育大学の学内会議に参加するなど、本道の実情に即した講習の開設が円滑に進められるよう連携に努めてきた。
また、道内で実施される更新講習について、国公私立学校や市町村教委に対し、周知や情報提供を行うなど、教員免許更新制の円滑な実施に努めている。
なお、教員免許更新制度の円滑な運用のために、29年度から行っている保有者情報整備(所有免許状調査)による教員免許情報の集約と情報提供、および教員免許制度の周知についても、引き続き取り組んでいく。
併せて、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた教員免許更新制にかかる手続等の留意事項を周知し、対象となり得る現職教員の延期または延長にかかる申請が相当な時間的余裕をもって行われるよう促すなど、当該教員に不利益が生じることのないよう努めていく。
▽教員が学校に勤務しながら特別支援教育等にかかわる免許を取得できるシステムの構築と免許認定講習会等の地方開催のより一層の推進
〈回答〉
特別支援学校教諭免許状の取得のため、夏期休業中に免許法認定講習を実施してきた。
開催地については、26年度から知的障がい者等の領域の課程を札幌市、函館市、名寄市および釧路市の4会場とし、定員を拡充した。
本年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響によって、夏期休業期間内の開催が不可能となったが、年度内における開催の可否について、引き続き指導大学と調整を続けていく。
併せて、放送大学等通信教育の活用についても、周知に努めていく。
▼小学校における外国語活動および外国語科、ならびにプログラミング教育の教員研修の充実
〈回答〉
小学校における外国語活動および外国語科については、直接児童の指導に携わる小学校教員の英語力や指導力の向上を図ることが重要と考えており、26年度から、国が実施する英語教育推進リーダー中央研修に教員を派遣し、その教員が英語教育推進リーダーとなり、道内すべての小学校の中核教員に対して研修を行うグローバル化に対応した英語教育指導力向上研修を計画的に実施し、元年度末までに、道内すべての英語教育の中核となる小学校教員が受講している。
また、アルバータ州立大学の教授を招へいし、オールイングリッシュによる講義や演習を通じて外国語教育の授業づくりなどについて理解を深める研修を継続して実施している。
これらの取組に加えて、道立教育研究所と教育局を遠隔システムで接続し研修を行うミニ道研において、小学校外国語活動にかかる内容も設定しており、こうした取組を通じて、小学校教員の英語力や指導力の向上を図る。
各学校においては、これらの研修を有効に活用していただくようお願いする。
プログラミング教育にかかる教員研修については、2年度プログラミング教育事業を実施しており、すべての管内に研究実践校を指定し、管内規模の公開授業、研究協議を実施する予定であり、研究実践校のプログラミング担当教員が各管内における指導的な役割を担って、地域の各学校の校内研修を支援するなど、小学校教員のプログラミング教育における指導力の向上を図る。
また、道立教育研究所においても、小学校のプログラミング教育実践研修や管内研修センター等連携研修講座「小・中学校におけるプログラミング教育」を実施することとしている。
各学校においては、これらの研修や取組を有効に活用していただくよう願う。
【意欲をもって職務に専念できるよう、教職員の地位および待遇の改善】
▼校長定年延長の早期実現
▽65歳までの校長の力を利用する制度の構築
▽雇用と年金の切れ目のない接続への措置
〈回答〉
28年4月からの雇用と年金の接続の在り方については、国における検討の結果、引き続き、再任用制度によって対応することが適当とされた。
一方、30年6月には、公務員の定年を段階的に引き上げる方向で検討する旨が閣議決定され、同年8月には、人事院勧告において、国家公務員の定年延長についての意見の申し出がなされ、本年3月に関連法案が通常国会へ提出された。
道においても、こうした国の動向を踏まえ、今後、増加が見込まれる無年金期間における再任用職員の勤務形態について検討する。
なお、管理職の退職者を再任用する職については、教員のモチベーションの低下などデメリットも考慮しながら検討し、30年4月から役付再任用を導入し、本年度、小・中学校では校長1人、教頭2人、道立学校では校長4人、教頭17人を配置するとともに、このうち、道立高校においては庁内公募で、校長1人を再任用によって配置した。
▼校長採用、教頭昇任の意欲を喚起するための精査(職場環境、勤務実態、広域人事、公宅等処遇)を踏まえた条件整備
〈回答〉
管理職候補者の育成については、今後とも市町村教委や校長会などとも連携を密にしながら、資質向上のための各種研修会への積極的な参加を促すなどして、有為な人材の発掘・育成に努めるとともに、幅広く優れた資質・能力を有する人材を確保することができるよう、管理職候補者選考実施要綱などについて引き続き必要な見直しを進める。
▼候補者の育成と人材確保に向けた取組とともに、職責に見合った管理職手当支給基準の改善
〈回答〉
優秀で学校運営への意識の高い人材を幅広く登用できるよう、30年度に教頭昇任候補者選考の資格要件を緩和するとともに、教諭の受検者については筆記選考を免除。元年度には教頭・主幹教諭にふさわしい人がより早く受検可能となるよう資格要件を改正。今後も、次期教頭昇任候補者として期待される主幹教諭の配置拡大等に努める。
本年3月に改定した2年度道教職員研修計画では、初任段階、中堅段階、ベテラン段階の教員および管理職の段階といったキャリアステージに応じて研修内容の体系化を図っている。
候補者の育成については、本研修計画に基づき、計画的に実施し、教員育成指標に示された資質・能力が育成できるよう努める。
管理職手当については、国における義務教育費国庫負担金の算定基準の改正内容および他府県の状況等を踏まえ、検討していく。
▼教職員給与等の改善
▽事務職員・学校栄養職員の給与改善
〈回答〉
給与の格付等については、これまで一般行政職員との均衡を考慮しながら見直しを行ってきており、今後も同様の観点によって対処していく。
▽人事委員会給与勧告の尊重および寒冷地手当の実態に見合った支給
〈回答〉
教職員の給与については、今後とも人事委員会勧告を尊重することを基本としながら対処していく。
▽特別支援学級設置校の管理職および小中併置校の校長の実態に見合った管理職手当の支給
〈回答〉
管理職手当については、国における義務教育費国庫負担金の算定基準の改正内容および他府県の状況等を踏まえ、検討していく。
【教職員の福祉および再雇用や退職後の生活安定の確保】
▼退職時および退職後の教職員の福祉の向上について、積極的な働きかけ
〈回答〉
公立学校共済組合と連携を図りながら、退職者の福利厚生事業の充実に努めていく。
▼公立学校共済における任意継続組合員制度の期間延長と掛金の負担軽減についての関係機関への要請
〈回答〉
公立学校共済組合に要望の趣旨を伝えていく。
【国・道の施策として、つぎの事項を実現するため、関係諸機関への働きかけ】
▼学級編制および教職員定数の改善についての国への要請
▽養護教諭、栄養教諭または学校栄養職員、事務職員等の全校配置
▽中学校における教科時数に対応する教員配置の改善
▽教職員定数における学級数に乗ずる率の見直しと改善
▽小学校における専科教員の定数配置
▽教育課程の円滑な実施に向けた標準法の改善
▽学校図書館司書教諭の定数外措置および学校司書の配置の充実
〈回答〉
新たな教職員定数改善計画の早期策定と着実な実施など、一層の定数改善について、国に要望していく。
▼人材確保法および義務教育費国庫負担制度の堅持および国庫負担率2分の1への復元の要請
▼事務職員および学校栄養職員の給与等にかかわる国庫負担制度の堅持の要請
〈回答〉
人材確保法については、これまで全国都道府県教育長協議会等を通じ、国の関係省庁等に対し、優秀な人材を学校現場に確保するという人材確保法の精神は今後とも堅持するよう要望してきている。今後とも、同協議会と連携する中で対処していく。
また、事務職員および学校栄養職員は、学校教育を円滑に推進する上で、重要な役割を果たしており、校長、教諭等の教育職員とともに学校運営上必要な職員であることから、これら教職員の給与費にかかる義務教育費国庫負担制度は、教育の機会均等とその水準の維持向上を図る上で重要な役割を果たしており、公教育の根幹をなすものと考えている。
道教委としては、義務教育費国庫負担制度は、義務教育の根幹をなすものであり、国の責務において確実に財源を保障するべきものと考え、これまでも国に対して全国都道府県教育長協議会や教育委員協議会を通して必要な財源が確保されるよう要望を行ってきており、今後とも、引き続き国に働きかけるとともに、知事部局とも連携し、必要な財源の確保に努めていく。
▼教科用図書無償給付の継続の要請
〈回答〉
義務教育諸学校の教科用図書の無償給与制度の存続について、これまでも国に対して要望してきており、引き続き要望していく。
(関係団体 2020-08-12付)
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