文科省 3年度概算要求主要事項②教育課程、道徳教育充実も 高校教育改革を推進(国 2020-10-19付)
令和3年度文部科学省概算要求(事項要求含む)の主要事項はつぎのとおり。
初等中等教育局②
【新時代に対応した高校改革の推進】=21億8900万円
少子化の進行や高校生の多様な実態、今後のポストコロナ時代における社会システムや産業社会の変化を見据えて、令和4年度からの新しい高校学習指導要領の順次全面実施に向け、個別最適化された学びや社会とつながる協働的・探究的な学びを実現するため、新時代に対応した高校教育改革を推進する。
▼WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業=3億6600万円
WWLコンソーシアム構築支援事業は、これまでのスーパーグローバルハイスクール(SGH)などの取組の実績を活用し、高校等と国内外の大学等が協働し、高校や国の枠を超えて、高校生に、より高度な学びを提供する仕組みを構築するため、
①グローバルな社会課題の解決や国際会議の開催を通じて世界的な活躍を目指す人材育成に向けたカリキュラム開発
②ポストコロナ時代にSociety5・0をリードできる人材育成に向け、大学等とネットワークで連携し、AIやビッグデータ等、文理横断的な内容の学びを実現するカリキュラム開発
―など、拠点校を中心として形成されるAL(アドバンスト・ラーニング)ネットワークによるWWLコンソーシアムの構築を目指した取組を実施する。
また、事業の評価・検証とともに、高校生6万人当たり1ヵ所を目安に、高度かつ多様な学習プログラムに、全国の高校生がオンライン・オフラインで参加することが可能となるよう、WWLコンソーシアム構築・自走を目指した調査研究を実施する。
▼地域社会に根ざした高校の学校間連携・協働ネットワーク構築事業(CORE ハイスクール・ネットワーク構想)=8億800万円(新規)
中山間地域や離島等の地域唯一の高校においても多様かつ質の高い高校教育を実施するため、複数の高校の教育課程の共通化やICT機器を最大限に活用した遠隔授業の実施などによって、大学進学から就職までの生徒の進路希望に応じた多様な教科・科目の開設や習熟度別指導を実現するとともに、持続可能な地方創生の核としての高校の機能強化を図る。
▼マイスター・ハイスクール(次世代地域産業人材育成刷新事業)=7億2200万円(新規)
第4次産業革命の進展、デジタルトランスフォーメーション(DX)、6次産業化等、産業構造・仕事内容は急速かつ絶えず革新しており、さらに新型コロナウイルス感染症の感染拡大の中、こうした革新の流れは一層急激になっていくことが予見される。
このため、産業界と専門高校が一体・同期化し、絶えず革新し続ける最先端の職業人育成システムを構築し、専門高校の職業人材育成の抜本的改革を図る。
▽地域との協働による高校教育改革推進事業=2億4100万円
新高校学習指導要領を踏まえ、Society5・0を地域から分厚く支える人材の育成に向けた教育改革を推進するため、「まち・ひと・しごと創生基本方針2020」等に基づき、高校が自治体、高等教育機関、産業界等と協働してコンソーシアムを構築し、地域課題の解決等の探究的な学びを実現する取組を推進することで、地域振興の核としての高校の機能強化を図る。
▼高校における教育の質確保・多様性への対応に関する調査研究=5300万円
高校において、教育改革の優良事例の普及を図るとともに、新高校学習指導要領の実施を見据えた高校現場のPDCAサイクルの構築に向け、「高校生のための学びの基礎診断」の測定ツールの対象教科・科目等の在り方に関する調査研究を実施する。
また、定時制・通信制課程において、不登校経験のある生徒、特別な支援が必要な生徒、外国籍の生徒など、多様な生徒に応じて卒業後の進路を見据えたカリキュラム開発を実施するとともに、多様な学習ニーズに応じながらICTを効果的に活用した指導・評価方法等の実証研究を実施する。
【教育課程の充実】=31億8600万円
新学習指導要領の全面実施に当たって、一人ひとりの児童生徒が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り開き、持続可能な社会の創り手となることができるように、初等中等教育の教育課程の充実を図る。
▼個別最適な学び等の学力向上のための取組の推進=4億8000万円
中教審での審議を踏まえ、各学校における個別最適な学びの推進等、学力向上に資する取組を進めるため、総合的に調査・実践研究等を実施する。
▽学力向上のための基盤づくりに関する調査研究
▽新学習指導要領の着実な実施に向けた取組の推進
▽GIGAスクールにおける学びの充実
▼理数教育の充実のための総合的な支援等=19億7500万円
観察・実験の充実を図るため、理科観察実験アシスタントの配置支援や、理科教育振興法に基づいた観察・実験にかかる理科設備の整備充実を行う。
▼小・中・高校を通じた英語教育強化=4億600万円
小学校の教科化に対応した指導体制の充実および中高生の発信力(話す・書く)強化のため、教育委員会が英語教育改善プランに基づき行う教師の指導力向上の取組や、大学と連携した専門的人材育成の取組(免許法認定講習等)を支援する。働き方改革やコロナ対応を踏まえ、教師やALTがオンラインで指導力向上を図る仕組みを構築する。
▼次代を見据えた教育課程・指導方法等に関する先導的研究開発=7000万円
今後の教育課程の基準の改善等に資する実証的資料を得るため、現行の学習指導要領等によらない教育課程の編成・実施を認める研究開発学校を指定し、新しい教育課程、指導方法等についての研究開発等を実施する。
▼学習指導要領等の趣旨徹底等および現代的課題に対応した教育の充実等=1億2300万円
現代的な課題に対応した資質・能力を子どもたちに育むため、放射線教育等の充実を図るための取組等を実施する。
▼特別支援学校学習指導要領等の趣旨徹底等および学習・指導方法の改善・充実=1億600万円
教科書等の作成や新学習指導要領の周知・徹底等を着実に実施するとともに、特別支援学校教諭の養成過程や知的障がいのある児童生徒に対する通級による指導など、政策上の課題となっている事項についての調査研究等を行う。
▼幼稚園教育課程の理解の推進=2600万円
新幼稚園教育要領について、新しい生活様式も取り入れた幼稚園教育の実践について、中央および都道府県において研究協議等を行うとともに、各幼稚園が適切な教育課程を編成・実施する上で必要な指導資料等を作成する。
【道徳教育の充実】=42億7600万円
平成27年3月に、道徳教育にかかる学習指導要領等の一部改正を行い、これまでの小・中学校における道徳の時間を教育課程上、「特別の教科 道徳」(以下「道徳科」)と新たに位置付けるとともに、いじめの問題への対応の充実や発達の段階をより一層踏まえた体系的なものとする観点からの内容の改善、問題解決的な学習を取り入れるなどの指導方法の工夫を図ることなどを示した。
また、高校の道徳教育においては、30年3月に公示した高校学習指導要領において、中学校までの道徳科の学習等を通じて深めた道徳的価値の理解をもとにしながら、人間としての在り方生き方に関する教育の充実を図る等、小学校から高校までの系統的な指導の充実を図った。
これらの取組は、道徳教育について「考える道徳」「議論する道徳」へと質的に転換を図るものであり、令和2年度から順次、全面実施されている新学習指導要領を踏まえた道徳教育が着実に行われるよう、学習指導要領の趣旨を生かした効果的な指導や評価、推進体制を構築するため、研究協議会の開催等を通じた小・中・高校の教師の指導力向上を図る。
さらに、学校・家庭・地域の連携による道徳教育の取組の支援等を行う。
▼道徳教育の抜本的改善・充実等=42億7600万円
▽道徳教育の抜本的改善・充実にかかる支援
・特色ある道徳教育の取組の支援
小・中学校における道徳科を要とした各教科等を通じた道徳教育および高校における道徳教育の効果的な推進の方法、道徳科の指導方法や評価および推進体制等にかかる指導主事・教員等の研究協議会を開催するとともに、地域教材の活用等による地域の特色を生かした道徳教育の実践・普及、家庭・地域との連携を強化する取組などを支援する。
特に、高校においては、新たに規定された道徳教育推進教師の育成を中心とした教員研修の資料の開発を行う。
・道徳教育推進状況調査
道徳教育の一層の推進に資するよう、「特別の教科 道徳」を要とする道徳教育の全国的な進ちょく状況を把握するため、小・中学校等を対象に抽出調査を実施。
▽道徳教育アーカイブの整備
道徳科の趣旨やねらいを踏まえた効果的な指導方法や評価方法について、現在、各学校等で取り組まれている好事例や優れた教材を収集・集約・発信などするための機能を有した道徳教育アーカイブの充実を図る。
▽道徳科の教科書の無償給与
小学校および中学校の道徳科の教科書を無償給与する。
(国 2020-10-19付)
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