文科省 3年度概算要求主要事項① 新時代の学習環境を整備 外部人材配置拡充等で業務改善(国 2020-10-16付)
令和3年度文部科学省概算要求(事項要求含む)の主要事項はつぎのとおり。
初等中等教育局①
【少人数指導によるきめ細かな指導体制の計画的な整備やICTの活用など、新しい時代の学びの環境の整備および学校における働き方改革の推進】=1兆5963億3400万円
学校の臨時休業等の緊急時においても、安全・安心な教育環境を確保しつつ、すべての子どもたちの学びを保障するため、少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備やICTの活用、感染症対応など、新しい時代の学びの環境の整備を図る。
引き続き学校における働き方改革を推進するため、教職員定数の改善、専門スタッフや外部人材の配置拡充、業務改善を一体的に推進する。
義務教育費国庫負担金=1兆5208億2900万円+事項要求(1兆5221億4100万円)
義務教育費国庫負担制度は、公立の義務教育諸学校の教職員の給与費について都道府県および指定都市が負担した経費の3分の1を国が負担するものである。
▽加配教職員定数の改善44億円増(2000人増)
▽基礎定数化に伴う定数増9億円増(397人増)
▽教職員定数の自然減22億円減(995人減)
▽教職員配置の見直し44億円減(2000人減)
▽教職員の若返り等による給与減1億円減
▽教員給与の見直し1億円増+事項要求
教職員定数の改善=2397人増+事項要求
▼学校における働き方改革等=2397人増
▽教師の持ちコマ数軽減による教育の質の向上=2000人増
小学校専科指導の充実、義務教育9年間を見通した指導体制への支援、教師の持ちコマ数の軽減や、教科指導の専門性をもった教師によるきめ細かな指導など、小学校の専科指導に積極的に取り組む学校を支援。
▽複雑化・困難化する教育課題への対応=397人増
教育課題への対応のための基礎定数化関連(通級による指導506人増、日本語指導90人増、初任者研修11人増、自然減等210人減)。
▼少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備
これまでの新型コロナウイルス感染症対応を踏まえ、子どもたちの学びを保障するとともに、GIGAスクール構想のもと、個別最適な学びを実現することができるよう、1人1台端末のもとでの効果的なICTの活用や身体的距離の確保など、新しい時代の学びを支える環境を整備することが必要である。
学級編制の標準の引き下げを含め、少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備について、経済財政運営と改革の基本方針2020を踏まえ、予算編成過程において検討する。
GIGAスクールにおける人的支援・学びの充実・通信環境整備
▼GIGAスクールサポーター配置促進事業(補助率2分の1)=52億5300万円
災害や感染症の発生等による学校の臨時休業等の緊急時においても、ICTの活用によってすべての子どもたちの学びを保障できる環境を早急に実現するため、学校におけるICT環境整備の設計や使用マニュアル(ルール)作成のほか、新型コロナウイルス感染症による臨時休業期間における、オンラインによる家庭学習の実施に関する支援等を行うICT技術者の学校への配置経費を支援。
▽想定人材=ICT関係企業OBなどICT環境整備等の知見を有する人
▽実施主体=国立:国立大学法人(定額)。公立・私立=都道府県、政令市、その他市区町村等、学校法人(2分の1)
▽負担割合=国2分の1、都道府県・指定都市2分の1
▼GIGAスクールにおける学びの充実=4億2700万円
GIGAスクール構想の実現の着実な実施に向けて、児童生徒1人1台端末の環境におけるICTの効果的な活用を一層促進する取組を実施。
新学習指導要領において、情報活用能力がすべての学習の基盤となる資質・能力として位置付けられたことを踏まえ、その育成および把握のための調査研究等を実施。
▽ICT活用教育アドバイザー等による整備
▽活用推進
▽児童生徒の情報活用能力の把握に関する調査研究
▽情報モラル教育推進事業
▼オンライン学習システム(CBTシステム)の全国展開、先端技術・教育データの利活用推進事業=35億9100万円
▽オンライン学習システム(CBTシステム)の全国展開=32億8200万円
緊急時における学びの保障の観点から、パソコンやタブレットを用いた学習やアセスメントができるオンライン学習システム(2年度にプロトタイプを開発するCBTシステム)を、全国の小・中・高校等で活用できるように機能の改善・充実やサーバーの強化等を実施するとともに、解答結果のデータ分析・利活用を行う。
▽先端技術・教育データの利活用推進=3億900万円
学校現場や教育行政における緊急時の課題を、先端技術や教育データを効果的に活用して解決するためのシステム開発等を行う。
▼学習者用デジタル教科書普及促進事業=52億2500万円
義務教育段階の学校における1人1台端末の早期実現を踏まえ、児童生徒の学びの充実や障がい等による学習上の困難の低減に資するよう、小・中学校等に学習者用デジタル教科書を大規模に提供し、普及促進に向けた実証事業を実施する。
そのクラウド配信に関するフィージビリティ検証や、学習者用デジタル教科書の使用による効果・影響を実証研究しつつ、教員の授業実践に資するよう事例集や研修動画を製作する。
▼新時代の学びの基盤となる通信環境整備=11億3900万円(新規)
2022年度から希望する学校がSINETを活用できるよう、次期SINETの都道府県のノードに初等中等教育段階向けの設備を整備するなどの準備を行うことで、学びの基盤となる学校外のネットワークを強化し、GIGAスクール構想におけるICT環境整備と併せてSociety5・0時代にふさわしい学校のICT利活用を推進する。
▽対象校種=国公私立の初等中等教育機関
▽整備個所数=都道府県のSINETノード(30拠点)
子どもの育ちを守る幼児教育の推進
新型コロナウイルス感染症対策をはじめとした新規課題に的確に対応しつつ、質の高い幼児教育の提供と教育環境の一層の充実を通じて幼児を健やかに育むよう、幼児教育推進体制の充実・活用強化や、幼稚園教諭の人材確保・キャリアアップの促進、幼稚園のICT環境整備、感染症対策を実施するために必要となる支援等を実施する。
▼幼児教育推進体制の充実・活用強化事業(補助率2分の1)=2億9500万円(補助事業者=都道府県、市町村)
新型コロナウイルス感染症で顕在化した課題に的確に対応し、公私立幼稚園・保育所・認定こども園に対して一体的に域内全体の幼児教育の質の向上を図るため、保健、福祉等の専門職との連携をはじめ、多様な課題に対応した幼児教育推進体制の構築、活用強化を支援する。
▼幼稚園教諭の人材確保・キャリアアップ支援事業=1億2700万円
▽委託事業者=都道府県、市町村、大学、幼稚園関係団体等
質の高い幼児教育・保育の実践の根幹となる幼稚園教諭の人材確保およびキャリアアップに必要な取組を総合的かつ効果的に実施し、好事例の横展開を行う。
▼教育支援体制整備事業費交付金(補助率2分の1等)=76億円
新型コロナウイルス感染症対策をしっかり取りながら幼児を健やかに育む環境を確保するため、幼稚園のICT環境整備にかかる費用や感染症対策を実施するために必要となる保健衛生用品等の購入経費等を支援する。
学校における感染症対策の充実=168億5800万円
感染症対応が長期化する中、新型コロナウイルス感染症に負けない学校づくりに向けて、以下の事業を実施する。
▼感染症対策のための衛生環境整備支援事業=77億6200万円
各学校において、感染症対策を徹底する上で継続的に必要となる消毒液、感染者対応等の際に必要となる保健衛生用品等の整備や校舎消毒作業等に必要な経費を補助。
▽対象校種=国公私立の小学校、中学校、高校、特別支援学校等
▽補助率=公立・私立2分の1、国立10分の10
▼特別支援学校スクールバス感染症対策支援事業=52億7900万円
特別支援学校のスクールバスにおける感染リスクの低減を図るため、学校設置者が実施するスクールバスの増便等の取組を支援。
▽スクールバスに乗車する幼児児童生徒の少人数化を図る取組=分散登校に伴うスクールバスの運行回数の増や、運行台数の増など
▽スクールバスに乗車する医療的ケアを必要とする幼児児童生徒の罹患を防ぐための取組=重症化リスクの高い医療的医ケア児等に対し、スクールバスの代わりとして福祉タクシー等で通学を行う
・対象校種=国公私立の特別支援学校
・補助率=公立・私立2分の1、国立10分の10
▼学校における感染症対策専門家派遣事業=13億9400万円(新規)
感染症対策の専門家(専門医、認定看護師等)を学校等へ派遣し、学校施設の状況や教育活動の実態に即した具体的な実地指導助言や教職員向けの研修等、専門家の知見を柔軟に活用した感染症対策の取組を支援。
▼児童生徒の健康管理・健康づくりの推進=22億200万円(新規)
児童生徒が自らの健康を適切に管理し、免疫力を向上させるために必要な知識を身に付け、活用すること(健康リテラシー)ができるよう、健康づくりや感染症予防に関する優良な取組の収集・共有や研修による普及を図る。
また、新型コロナウイルス感染症にも対応する学校等欠席者・感染症情報システムについて、各学校の統合型校務支援システムとの連携強化を図り、学校等欠席者・感染症情報システムへの加入率を向上させ、より精度の高い状況把握を実現する。
▼学校健康診断情報のPHRへの活用に関する調査研究事業=1億5500万円
政府全体のPHR(Personal Health Record)推進という方針を踏まえ、学校健康診断結果を感染症が疑われる際の正確・迅速な検査・診療に役立てるためのシステム実現のための技術的課題等について調査研究を実施。
▼感染症拡大に伴う学校給食・食育の諸課題に関する調査研究等=6600万円
▽感染症拡大に伴う学校給食・食育の諸課題に関する調査研究
長期間の臨時休業が発生した場合に備え、学校給食提供機能を活用した食に関する指導や食事支援にかかる取組や、安定的な学校給食の実施に向けた仕組みの構築等にかかる取組について調査研究を行う。
▽学校給食の現代的課題に関する調査研究
新型コロナウイルスの特徴も踏まえた衛生管理の在り方を専門家会議で検討するとともに、文部科学省の専門的職員や各都道府県指導主事等による実地調査・指導を強化し、衛生管理の改善・充実を図る。
学校における働き方改革の推進
▼補習等のための指導員等派遣事業(補助率3分の1)=253億7300万円(当初分74億5700万円、コロナ対応分179憶1600万円)
多様な人材が学校の教育活動に参画する取組を支援。新型コロナウイルス感染症への対応のための大規模配置。
▽学力向上を目的とした学校教育活動支援=130億8000万円(当初分31億9800万円8000人、コロナ対応分98憶8200万円2万4000人)
児童生徒一人ひとりにあったきめ細かな対応を実現するため、教師に加えて学校教育活動を支援する人材の配置を支援。
2年度に引き続き新型コロナウイルス感染症対策として、3密を避けるための環境づくりや習熟度に応じた学習の実施など、子どもの学びの保障を徹底的にサポートするために必要な人材配置を支援(8000人→3万2000人)。
・想定人材=当該分野に知見のある人材(退職教職員や教師志望の大学生など)
・実施主体=都道府県・指定都市
・負担割合=国3分の1、都道府県・指定都市3分の2
▽スクール・サポート・スタッフの配置=108億1500万円(当初分27憶8100万円6300人、コロナ対応分80憶3400万円1万8200人)
学習プリント等の準備や採点業務、来客・電話対応、新型コロナウイルス感染症対策の消毒作業等、教師を強力にサポート。教師がより児童生徒への指導や教材研究等に注力できる体制を整備し、教師が子どもの学びの保障に注力できるようスクール・サポート・スタッフの配置を支援(4600人→2万4500人)。
・想定人材=地域の人材(卒業生の保護者など)
・実施主体=都道府県・指定都市
・負担割合=国3分の1、都道府県・指定都市3分の2
▽中学校における部活動指導員の配置=14億7800万円
適切な練習時間や休養日の設定など、部活動の適正化を進めている教育委員会を対象に、部活動指導員の配置を支援(1万200人→1万3200人)。
学校教育法施行規則第78条の2に該当する部活動指導員。
・想定人材=指導する部活動にかかる専門的な知識・技能を有する人材
・実施主体=学校設置者(主に市町村)
・負担割合=国3分の1、都道府県3分の1、市町村3分の1(指定都市は、国3分の1、指定都市3分の2)
▼スクールカウンセラーの配置充実(補助率3分の1)=53億4400万円(補助事業者=都道府県、政令指定都市)
▽スクールカウンセラーの全公立小・中学校への配置(2万7500校)
▽いじめ・不登校対策のための重点配置(1500校)
▽貧困対策のための重点配置(1400校)
▽虐待対策のための重点配置(1200校)
・教育支援センターの機能強化(250ヵ所)
・スーパーバイザーの配置(114人)等
▼スクールソーシャルワーカーの配置充実(補助率3分の1)=19億7300万円(補助事業者=都道府県、政令指定都市、中核市)
▽スクールソーシャルワーカーの全中学校区への配置(1万中学校区)
▽いじめ・不登校対策のための重点配置(1500校)
▽貧困対策のための重点配置(1400校)
▽虐待対策のための重点配置(1500校)
▽教育支援センターの機能強化(250ヵ所)
・スーパーバイザーの配置(114人)等
▼看護師、外部専門家の配置(補助率3分の1、切れ目ない支援体制整備充実事業24億5300万円の内数)
医療的ケアが必要な児童生徒のための看護師や特別支援教育の充実を図るための外部専門家の配置(2448人→2748人)
▼学校における働き方改革推進事業=3200万円
教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況の調査実施・分析・市町村別公表等や、これまでの業務改善の取組事例、全国から集めた優良事例の展開を通じて、教育委員会、各学校における働き方改革の自走サイクルを構築する。
▽教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査・分析等
▽優良事例展開(働き方改革フォーラムの実施)
(国 2020-10-16付)
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