札幌市小学校長会 6専門部 共同研究計画 第6回 やりがい伴う働き方改革を 人材育成部
(札幌市 2020-11-13付)

人材の育成と働き方改革を実現する学校経営の在り方

【研究内容】

▼研究副主題の解説

 平成31年1月の中央教育審議会答申に、働き方改革の目的が「教師のこれまでの働き方を見直し、自らの授業を磨くとともに、その人間性や創造性を高め、子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができるようにすること」とある。同年4月のいわゆる働き方改革関連法の施行に続き、本年度からは月や年間の時間外勤務の上限規定も定められ、学校における時間外勤務の縮減に向けた一層の改革が求められている。

 本来、働き方改革を実現し、子どもの確かな育ちを保障するために“人的増員や定数配置基準の緩和が不可欠”は大前提である。

 しかし、財源確保が見通せない状況においては、現行制度上で働く一人ひとりの意識改革はもとより、各校における業務の削減や効率化、組織改革や人材活用による分業の在り方の見直し等の改革を推進しなければならない。すでにおのおのが自校の課題を踏まえ、解決に向け具体的な取組を進めてきているが、目的の達成は容易なものではない。

 併せて、学校における人材育成も全国的な課題である。教員志願者が減少する中、学校は少子化による規模の縮小やベテラン教員の大量退職を迎え、教員をいかに育成するか、課題は山積している。

 市は平成29年に求める教員像・教員育成指標を作成し、基礎形成期、向上・充実期、深化・牽引期の3ステージでの教員像を具体的に示し、組織的、計画的な人材育成に力を入れてきているが、我々校長には、一人ひとりが教員としての資質向上を図りながら、やりがいを感じ、前向きに職務を遂行できるよう働き方改革を進め、次世代を担う教員の育成にいかに指導性を発揮していくかが問われている。

 今般のコロナ禍では、臨時休業の長期化による時数不足と教育課程の見直し、児童の不安解消への対応、新しい生活様式による学校での予防対策、ウィズコロナにおける働き方の在り方など、一層困難な対応が求められているが、このような状況だからこそ、「働きがい」があり育て合う学校づくりが重要というとらえのもと、副主題を設定した。

▼研究の視点

 新研究のスタートとなるが、旧福利厚生部での研究も引き継ぎながら、以下の視点で進める。

▽やりがいを伴い実効性のある働き方改革について

▽市の課題や学校の実態を踏まえ、これからの学校を担う人材の育成について

【取組の具体】

▼研究体制

▽アンケート調査(4月)

 研究の方向性を探るとともに、コロナ禍における各校の対応についても集約する。

▽研究計画・テーマの設定(7月9日、8月20日)

 2回の部会研修会において、新年度の研究計画等の討議に続き、「働き方改革」「人材育成」の2点について各校での実情を交流し、アンケート結果も踏まえ、部会研修会の討議テーマを設定する。

▽研究討議

 部内を5グループに分け、グループ討議を主体とした研修を行う。テーマは各校が抱える課題を軸に設定し、提言やレポートによらず、各校の実情を語り合うことから討議を進める。

▼研究の実際

▽9月16日=研究討議①「今だからこそやるべき働き方や職場の改善とは」

 職員の意識改革や主体性の尊重、仕組みづくりから個に向き合う段階、統合的取組と評価、改善につなげる体制の確立などの学校経営上のポイントが明らかになった。

▽10月14日=研究討議②「若年層の授業力や組織対応力、どう育てていますか?」

 コロナ禍での各校での研修の進め方の工夫も含め交流した。学びの日常化、主体性や参画意識を醸成する役割分担の工夫、校長自らの発信など、若手育成のための経営上のポイントが明らかになった。

【今後に向けて】

 来年1月21日は「ベテランを育てる手立て、どうしていますか?」をテーマに、各世代の人材育成の在り方について具体的な事例も交え討議し、実践上のポイント等を押さえながら校長の指導性と役割について一般化を図ったり、具体化への方策を明らかにしたりしていく。

 また、12月16日には外部講師による講演を開催し、本市の実情についてふれながら、さらに広く働き方改革や人材育成について学び、校長として学校経営の在り方について研修する予定である。

 これらの部会研修を経て、最終的には1年の研究を総括し、2月の部会研修において副主題や研究の視点について最終的に確定していくとともに、来年度10月研修会、2月研究大会における部の研究提言、発表に向けて研究体制と推進計画を検討し、次年度の研究につなげていきたい。

(連載終わり)

(札幌市 2020-11-13付)

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