ECEQ実施園に加算を 札私幼・札私幼P連 3年度要望(札幌市 2020-11-27付)
札幌市私立幼稚園連合会(=札私幼、藪淳一会長)と札幌市私立幼稚園PTA連合会(=札私幼P連、加賀谷由峰会長)は26日、札幌市に令和3年度予算に対する要望書を提出した。札私幼は、各種取組の向上・充実を図るため、公開保育を活用した幼児教育の質向上システムECEQ(イーセック)を行った園に対する加算をはじめ、運営助成の拡充を要望。札私幼P連は、今後も親が安心して子どもを生み育てられる社会の実現に向け「幼児教育・保育の質向上のためのさらなる公費助成」「PTA活動原資としての団体助成金の増額」の2点を求めた。予算要望の概要はつぎのとおり。
【札私幼】
▼特別支援教育事業
私立幼稚園特別支援教育事業費補助金は年々増加し続ける特別な支援を必要とする幼児に対して拡充を図ってきたが、一人ひとりの自立に向けたきめ細かで適切な支援体制をより充実させるため、1園当たりの基準額の単価を、専門職としてふさわしい額に増額することを要望する。
また、社会福祉法人立の幼保連携型認定こども園の1号認定の子どもも、施設の利用定員にかかわらず対象にすることを併せて要望する。
▼教材教具補助事業
施設設備の充実や手厚い人員の配置など、以前より経費支出が増大している昨今の私立幼稚園・認定こども園においては、良質な保育環境の整備と維持に公的助成が欠かせない。
消費税増税で教材教具に関する支出も増えている現状であり、予算総額の維持ないし増額とともに、対象事業や補助単価の見直し、社会福祉法人立の幼保連携型認定こども園も含めるなど対象施設の拡大を図って、より実効性のある事業とすることを要望する。
▼新制度にかかる事項
新制度に関する事項では、以下の6項目を要望する。
①一時預かり(幼稚園型)を実施している幼稚園および認定こども園の事務負担に対応する就労支援型施設加算の実施において、利用定員に対しての連携施設の受け入れ枠の設定や、開所時間等の要件等、現在の国基準より高いハードルを下げ、利用しやすい制度にすること
②2歳児を定期的に受け入れる一時預かり事業(幼稚園型)の実施に当たっては、開所時間や休園日を国の要綱に準じるなど、実施しやすい条件にすること。また、事業実施のために必要な改修支援等を行うこと
③1号認定こどものアレルギー補助を自園調理を含む、外部委託・外部搬入、さらに幼稚園型認定こども園、施設型給付の幼稚園も対象とすること
④幼児教育・保育を一体的に提供する市の体制をより充実させるため、認定こども園への移行または創設を希望する法人に対し、施設整備に要する費用を補助する認定こども園整備事業の補助金を今後も継続すること
⑤近年増加傾向にある特別な支援を必要とする幼児の一時預かり受け入れに対し、人材配置ができずに断る背景があることから、国メニューの補助(幼稚園型は1人当たり日額4000円、一般型および2歳児は1人当たり日額3600円)を実施すること。また、対象となる子どもの認定については、特別支援教育事業費補助金で対象となっている子どもは追加の認定を不要にするなど、教育時間の支援の必要性と整合性がとれるようにすること
⑥学校関係者評価が単なる運営評価にとどまらず、教育・保育の質向上につながるものとするためには、現在の施設関係者評価加算では不十分であり、幼稚園等が公開保育を実施し、外部の視点を導入することによって、自園の教育実践の質向上につなげていく学校評価実施支援システム「公開保育を活用した幼児教育の質向上システム」ECEQ(イーセック)を行った園に対する加算を実施すること
▼研修費等助成事業(団体補助)
本連合会では、職員の資質向上のための研修事業と労働環境の充実のため、様々な事業を実施しているが、教員免許更新制や学校評価の推進など研究研修事業は拡大の一途をたどっている。
現在、そのような状況を勘案し本連合会としても厳しい経営環境のもとにおいて、事業見直しを実施し、2年度はやむを得ず会費の値上げに踏み切った。
さらに、子ども・子育て支援新制度によって実施されている研修(保育士関係の研修体制等)の質向上にも影響があり、質の高い幼児教育を担っていくための団体運営が非常に厳しい状況にさらされている。
また、新型コロナウイルスの影響によって、オンライン研修等のシステム構築が求められる状況も生まれ、コロナ禍においての職員の資質向上を支えるべき研修体制のさらなる発展と充実のためにも、団体補助の拡充等について、再度、検討するよう要望する。
▼人材確保事業(幼稚園教諭・保育教諭)
札幌の私立幼稚園・認定こども園における幼稚園教諭・保育教諭の人材確保は年々厳しさを増している。教育・保育の質を向上させていくためには、優秀な人材を継続的に確保するとともに、定着を促進することが欠かせない。
市が推し進める幼保連携型認定こども園に移行を検討する場合、また、2歳児の受け入れ等を行う場合は、特に保育教諭の増員が大きな課題である。待機児童の解消に大きな役割を果たしている私立幼稚園や認定こども園の人材確保に関しても、保育所と同等の支援を求めるとともに、人材確保に関する新規事業の拡充を要望する。
▽保育人材確保に向けた一時金給付事業
一時金支給額の増額や対象勤続年数の拡充など、人材の確保・促進にとってより実効性のある仕組みにすることを要望する。
▽潜在保育士短時間就労支援補助事業
朝・夕などに短時間で勤務するパートタイム保育士の配置に要する費用の補助についても、上限額の増額を図るなど利用価値のある事業にすることを望む。
▽保育支援者配置補助事業
保育にかかる周辺業務を行う保育支援者を配置することによって、保育者の負担は軽減され、保育人材の確保や離職防止につながるだけでなく、保育業務に集中することで保育の質の向上も期待できることから、対象施設を市独自に拡大し、基準年度以前に在籍していた職員についても対象とするなどの対応を求める。
▽本連合会の事業への支援
本連合会が主催する就職フェア、復職セミナーなど、人材確保事業へのさらなる支援を要望する。
▽その他
市が実施する保育園ミーティング等の人材マッチング事業や、中高生の職場体験などは、より人材確保に効果的なものとなるよう予算措置や事業内容を検討することを求める。
また、人材の確保がよりスムーズに行えるよう、一時預かり事業の有資格者条件についても、国基準と同水準に緩和することを要望する。
▼災害対策にかかる事項
非常災害時に外部に連絡を行うことや保育中の園児の安全確保を図るために、子どもが生活するすべての施設において電力の確保は必要な備えである。元年度、非常災害時を想定して、認可保育所、認定こども園を対象に保育施設非常用電源設置補助事業が実施されたが、私立幼稚園も対象にした同様の事業の実施を要望する。
【札私幼P連】
▼幼児教育・保育の質向上のためのさらなる公費助成
幼児教育・保育の無償化が実現し、保護者負担は軽減されたが、幼児教育・保育の質向上のためには、さらなる公費助成が欠かせない。
単なる待機児童対策にとどまらず、札幌の子どもの育ちに焦点を当てた私立幼稚園・認定こども園への補助制度の拡大を望む。
▼PTA団体助成金
当該助成金は多様化するPTA活動の事業費の根幹をなす貴重な財源。ここ数年、子育て支援と同様に親育ち支援が求められ、保護者が親として育つための各種研修会の企画運営などPTA活動が担うべき役割は極めて大きくなってきている。
また、家庭の子育て力や地域の教育力の低下が懸念される中、親と親を結び付け、親と園を結び付けるPTAの存在意義も今まで以上に増している。
この現状を認識いただき、PTA活動の円滑な運営のため、団体助成金の増額を要望する。
(札幌市 2020-11-27付)
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