道議会質疑 予算特別委員会(令和2年9月29日)
(札幌市 2020-12-09付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼宮下准一委員(自民党・道民会議)

【答弁者】

▼小玉俊宏教育長

▼志田篤俊教育部長

▼添田雅之生涯学習推進局長

▼小松智子学校教育局長

▼松本邦由教職員局長

▼山口利之生涯学習課長

▼川端香代子義務教育課長

▼濱中昌志義務教育課地域連携担当課長

▼今村隆之教職員課働き方改革担当課長

◆コロナ禍の学校運営等

Q宮下委員 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた学校教育活動の実施に当たっては、感染から子どもたちを守るため、また、子どもを通じた大人への感染リスクも踏まえ、学校だけではなく、家庭や地域と連携し、子どもたちの学びを最大限保障することを目指して、一丸となって取り組む必要がある。

 これまでとは異なり、感染防止を踏まえながら進める必要がある地域との連携した取組について、各市町村教委は、地域住民の参画を得て学校を支援する様々な取組を行っている。特に、放課後などに学習や体験活動を行う放課後子供教室について、学校の臨時休校措置が取られていた期間と、現在までの学校再開後の活動の状況はどのようになっているのか伺う。

A濱中課長 活動の状況について。放課後や週末などに学校の空き教室等を利用して開設される放課後子供教室は、学校の臨時休業期間中には、原則として活動を休止することとしており、道内では、4月の時点で、約9割の教室が活動を取りやめたが、残りの教室については、学童保育と同様、保護者の勤務等によって家庭で過ごすことが困難な子どもに安全な居場所を確保するため、感染対策を講じた上で、規模を縮小するなどして開設された。

 学校が再開された6月以降は、地域の実情に応じて順次再開されているが、9月現在においても、約1割の教室については、感染リスクの懸念などから活動を休止している。

Q宮下委員 9月現在においても、1割の教室については感染リスクの懸念などから活動を休止しているということだが、コロナ禍において縮小傾向にあった放課後子供教室の活動は、各地域において、子どもの居場所として欠かせない存在となっている。

 再開に当たって、どのような課題があったのか、また、様々な課題がある中で各地域ではどのような取組が行われてきたのか伺う。

A濱中課長 課題等について。放課後子供教室は、地域の人たちの協力を前提とした活動であるが、感染リスクを考慮し、高齢スタッフの参加を中止したことなどによって、運営に当たる人材の確保が困難となったり、3つの密を避けながら、子どもたちが体験的な学習を行うことが難しいなどの課題が生じている。

 こうした中にあっても、地域の人たちによる教室の消毒作業、学校と連携した活動場所の確保、地域コーディネーターが地域の人たちに働きかけ、教室に通う児童生徒に手づくりマスクを寄贈するなど、活動を支援する様々な取組が行われている。

 道教委としては、放課後子供教室の運営の工夫をはじめ、感染対策を講じた活動事例などについて、市町村に情報を提供するなどし、地域と学校が協働して子どもたちを育む活動が円滑に行われるよう支援している。

Q宮下委員 各地域で、様々な工夫をしながら実施されてきた放課後子供教室の活動にみることができるように、コロナ禍にあるからこそ、地域と学校が、それぞれの実情に応じ、目標を共有しながら教育活動を推進していくことが重要である。

 道教委は、放課後子供教室などの学校を支援する取組に加え、これらの地域活動と学校運営を一体的に推進するため、学校運営協議会を設置したコミュニティ・スクールの導入促進を図っている。地域と学校が連携・協働した取組の一層の充実に向けて、今後どのように取り組んでいくのか伺う。

A小松局長 地域と学校の連携・協働について。学校と地域の人たちが力を合わせて子どもの成長を支えるコミュニティ・スクールの活動は、コロナ禍にあっても、地域の教育資源や人材を生かしながら、子どもの豊かな学びを実現する上で重要と認識している。

 現在、道内では、7割の小・中学校にコミュニティ・スクールが導入される一方、活動の主体が学校に偏りがちであったり、一部の地域人材による学校への支援活動にとどまったりするなど、学校と地域がイコールパートナーとして活動を展開するには至っていないことから、地域活動のコーディネートを担う社会教育士や地域おこし協力隊などとも連携を図ることが必要と考えている。

 道教委としては、コミュニティ・スクールの活動の充実に向けて、地域創生を担当する部局や公民館等との連携を深めるなど、学校と地域の協力体制がそれぞれの地域の実情に応じて構築されるように取り組んでいく考えである。

Q宮下委員 国は、新型コロナウイルス感染症の状況や学校教育への影響等を考慮し、本年度の全国学力・学習状況調査の実施を見送っている。

 これまで、多くの学校では、全国調査を活用して児童生徒の学力や学習状況を把握、分析し、学習指導の充実や学習状況の改善などに役立ててきた。

 コロナ禍にあっても、子どもたち一人ひとりに確かな学力をしっかりと身に付けさせるためには、学力向上の取組を継続させる必要があると考えるが、道教委は、各学校における学力向上の取組をどのように支援していくのか伺う。

A川端課長 学力向上の取組について。子ども一人ひとりに確かな学力を身に付けさせるためには、各学校において、検証改善サイクルを確立し、教育の質を高めていくことが重要であり、道教委では、本年度、国が実施しないこととした全国学力・学習状況調査の問題冊子等を有効に活用し、児童生徒の学習指導の改善・充実に取り組むよう働きかけてきた。

 また、例年実施しているほっかいどうチャレンジテストについて、臨時休業の影響も踏まえ、各学校が活用しやすいよう、配信時期や内容を見直した。今後は、チャレンジテスト等の活用による学習状況の客観的な把握と、その結果を踏まえた個に応じた指導方法や課題のみられる学習内容に応じた指導計画等の改善例について、全道に普及するなどして、各学校の継続的な検証改善サイクルの確立に向けて支援していく。

Q宮下委員 学力の向上については、学校での取組に加え、望ましい学習習慣や生活習慣の確立に向けた家庭や地域での取組も重要になる。さらに、新型コロナウイルス感染防止のための、学校の新たな生活様式による衛生管理の徹底も求められている。

 コロナ禍の日常では、子どもたちにも大きな変化が求められ、これまでとは違って、一定のルールのもとで我慢することや、しっかり継続するといった生活習慣を身に付ける必要があり、ある意味では、子どもたちのしっかりとした学習や生活習慣を確立するチャンスでもあると考える。

 道教委は、本道教育の大きな課題となっている学習習慣、生活習慣の改善に向けて、どのように取り組んでいく考えなのか伺う。

A小松局長 子どもたちの生活習慣について。本道の子どもたちには、授業以外で勉強する時間が全国と比べ短い、また、放課後、家庭でゲームやインターネットをしている児童生徒の割合が全国と比べ高いなどの課題が継続してみられ、望ましい学習習慣、生活習慣の定着に向けた取組を、家庭や地域と連携しながら一層充実させる必要があると認識している。道教委としては、本年度は、特に新型コロナウイルス感染症による臨時休業の長期化に伴い、子どもたちの生活リズムの乱れも懸念されることから、本年度配布された全国学力・学習状況調査における児童生徒質問紙調査の回答状況について、任意での提供を各学校に依頼した。

 今後は、質問紙調査の結果の分析によって課題を明らかにして、必要な取組について検討するとともに、効果的な取組事例の提供や、PTA等との連携による家庭における望ましい生活リズムについての一層の理解の促進に努めるなどして、子どもたちの健やかな成長を支援していく考えである。

◆学校における働き方改革

Q宮下委員 給特法が改正され、1年単位の変形労働時間制が来年4月から導入できることになったことから、先の一般質問では、わが会派の同僚議員から、制度の導入に向けた条例の整備等について伺い、教育長からは、学校の働き方改革を推進する一つの選択肢との認識のもとで、地域や学校などの実情に応じた活用方法も含め、学校や市町村教委の意向を踏まえ、検討を進める旨の答弁があった。

 公立学校に適用される1年単位の変形労働時間制については、休日のまとめ取りのための制度とも言われているが、この制度の目的と概要について伺う。

A今村課長 1年単位の変形労働時間制について。本制度は、勤務時間を柔軟に設定することによって、長期休業期間などにおいて休日を集中して確保することで、教育職員のリフレッシュの時間等を確保し、ひいては、児童生徒等に対して効果的な教育活動を行うことに資するとともに、教育職員の職としての魅力の向上に資することによって、意欲と能力のある人材が教育職員として任用され、学校教育の水準の維持向上を図ることを目的とするものである。

Q宮下委員 制度の導入に当たって、国の指針では、教育委員会等に一定の条件整備を求めており、教育委員会や校長が講ずべき措置などが示されている。

 どのような内容なのか、具体的に伺う。

A今村課長 教育委員会や校長が講ずべき措置について。国の指針においては、本制度を適用するに当たり、服務を監督する教育委員会および校長が講ずべき措置として、教育職員個々について、客観的な方法等によって在校等時間を把握すること、部活動の休養日等を部活動ガイドラインの範囲内とすること、正規の勤務時間を超える割り振りについては、対象期間のうち、業務量が多い一部の時期に限り行うことなどが規定されている。

 また、学校全体に対しては、長期休業期間等における業務量の縮減を図ること、職員会議、研修等の業務を通常の勤務時間内で行うことなどが求められている。

Q宮下委員 様々な措置を講じることが求められるが、制度の趣旨に沿った適切な運用が行われるよう確認が必要になる。

 道教委は、必要な措置が適切に運用されているのかをどのように確認し、仮に、適切に運用できないような状況に陥った場合は、どのように対応していく考えなのか伺う。

A今村課長 適切な運用の確認等について。各学校においては、対象となった職員の在校等時間などを校長が確認することとなる。道教委としては、客観的な方法によって在校等時間を把握するため、各道立学校に出退勤管理システムを導入するとともに、本システムを市町村教委にも提供し、勤務時間の適正な管理を行うよう促した。

 また、本制度を導入した学校に対しては、必要に応じて、服務を監督する教育委員会の職員が直接出向き、校長が講ずべき措置が適切に行われているかなどについて確認することが必要になると考えている。

 なお、措置を講ずることができなくなった場合や講ずることができなくなることが明白となった場合には、1週間当たりの割り振られた勤務時間が38時間45分を超える部分について、勤務を要しない時間に指定することによって、勤務時間の削減措置を取ることが必要とされていることから、教育委員会においては、こうした削減措置を徹底した上で、本制度が適切に運用されるよう、各学校を指導していくことが求められるものと考えている。

Q宮下委員 制度を適用する場合は、学校の教育職員全員を対象にしなければならないのか、また、対象期間は、必ず1年間全体を通した設定でなければならないのか伺う。

A今村課長 対象者や対象期間などについて。本制度は、校長が各教育職員と対話を行い、育児や介護を行う者などについては配慮するなど、個々の事情を的確に酌み取りながら対象者を決定するものであり、すべての教育職員に画一的に適用するものではないとされている。

 また、対象期間については、1ヵ月を超え1年以内の期間とされており、必ずしも1年間全体で期間を設定する必要はないが、対象期間には、長期休業期間等の一部または全部を含めなければならないこととなっている。

Q宮下委員 1年単位の変形労働時間制では、1日の勤務時間の限度が10時間とされていることから、修学旅行の引率業務など、勤務時間が10時間を超える可能性がある業務については、これまでどおり、1ヵ月単位の変形労働時間制を活用する必要があると考える。

 両制度を併用することはできないのか、また、どのような対応が必要になるのか伺う。

A今村課長 1ヵ月単位の変形労働時間制との併用について。道教委では、これまで、修学旅行等の引率業務など、通常の勤務時間を超えて業務を行わなくてはならない場合には、1ヵ月単位の変形労働時間制を活用し、4週の期間内で勤務時間の割り振りを行ってきた。

 新たに教育職員に適用可能となる1年単位の変形労働時間制と、これまで実施してきた1ヵ月単位の変形労働時間制については、時期によって、異なる制度を活用することが可能である。

 例えば、修学旅行の引率業務がある時期には、これまでの1ヵ月単位の変形労働時間制のみを活用し、その他の期間については、1年単位の変形労働時間制を活用するといった運用も可能となっている。

Q宮下委員 服務を監督する教育委員会等が講じる措置などの趣旨を踏まえ、適切な制度の運用環境を確保する必要があるが、教員の勤務時間を柔軟に設定できることから、リフレッシュなどの時間を確保する効果が期待でき、学校の働き方改革を推進する一つの選択肢でもある。

 制度の適用が可能になる来年4月に向けて、条例整備の取組を加速する必要があると考える。

 道教委の今後の取組について伺う。

A松本局長 制度の導入に向けた今後の取組について。道教委では、本制度の導入に向けた条例整備などの検討の参考とするため、各道立学校および市町村教委に対し意向調査を実施した。現在、集計を終えたものの中で、令和4年度以降からの導入も含め、職員が活用できるよう検討したいとの回答があったのは、道立学校、市町村教委共に、約8割であった。

 道教委としては、こうした意向も踏まえるとともに、校長会等とも連携しながら、学校における働き方改革を推進する一つの選択肢として、各学校において、本制度を選択的に導入できるよう、条例整備などについて検討を進めていく考えである。

Q宮下委員 1年単位の変形労働時間制度を有効なものにするためには、アクション・プランに掲げる施策と併せて実施し、学校における業務量を確実に縮減していく必要がある。

 道教委は、新たな制度の導入を見据え、どのように働き方改革に取り組んでいく考えなのか伺う。

A志田部長 今後の働き方改革について。1年単位の変形労働時間制は、学校の働き方改革を推進する一つの選択肢であり、ほかの施策と併せて講ずることによって、業務量を削減することが重要であると認識している。

 こうしたことを踏まえて、各種調査の廃止や簡素化、研修の精選に加え、教材づくりの効率化や部活動時間の見直しなどといったアクション・プランに掲げる各種施策を着実に進め、業務の削減や標準化を図ることによって、日々の教員の業務や勤務時間を縮減し、プラン最終年度の本年度中に、時間外在校等時間を1ヵ月45時間以内とするなどの目標達成に向けて、より実効性の高い働き方改革に取り組んでいく。

Q宮下委員 目標達成に向けて、より実効性の高い働き方改革に取り組むということだが、学校における働き方改革を推進するためには、校長のリーダーシップが不可欠であると思う。

 リーダーシップなど、校長の資質向上に向けて、道教委はどのように取り組んでいくのか伺う。

A川端課長 校長の資質向上について。学校が複雑化、多様化する課題を解決し、児童生徒に必要な資質・能力を育むためには、学校のマネジメント機能を強化することが大切であり、学校経営の責任者である校長のリーダーシップの一層の向上を図ることが重要である。

 このため、道教委では、大学関係者等の有識者の意見を踏まえて策定した北海道における教員育成指標に、校長に必要な資質・能力として、学校経営力やリーダーシップ等を位置付け、学校のマネジメントへの理解を深め、経営力を高めるための管理職を対象とした研修、校長経験者による働き方改革推進に向けた校長等への指導助言、学校全体がチームとなって包括的な学校改善を推進する学校力向上に関する総合実践事業などに取り組んでいる。

Q宮下委員 校長のリーダーシップなどを養成するため、学校力向上に関する総合実践事業などの取組が行われている。校長はもとより、教職員全体で学校力を高め、魅力ある学校教育活動を推進していくことが求められている。

 学校力の向上に向けて、道教委としてどのように取り組んでいく考えなのか伺う。

A小松局長 学校力の向上について。学校力向上に関する総合実践事業については、これまでの取組の成果や課題を整理した上で事業を見直し、本年度からは、中核となる学校に教員を配置し、複数の学校が連携して専科指導を行うことなどを通じ、域内全体の学校力向上を図る仕組みを構築する取組を進めている。

 指定校においては、学校の教育目標等を踏まえた学校経営ビジョンの教職員との共有、校務分掌の工夫による組織体制の確立など、校長のリーダーシップのもと、マネジメントサイクルの確立や働き方改革をはじめとする学校改善に向けた取組を進めている。

 今後、その実践成果等を全道に普及し、本道における学校力向上に資するよう取り組んでいく考えである。

D宮下委員 学校力向上に資するよう取り組んでいくことをお願いする。

◆道民カレッジ事業について

Q宮下委員 一般質問で、わが会派の同僚議員から、社会教育の振興による地域課題の解決に向けた取組について伺い、教育長からは、社会教育が学びとまち、人、仕事とのつながりづくりに貢献できるよう取り組む旨の答弁があり、社会教育を通して、個の学びの成果を地域課題の解決などに生かすことのできる環境づくりが重要になる。

 社会教育を通して地域課題を解決する学びの場が重要である。道民一人ひとりに学習機会を提供する取組として、道教委は道民カレッジ事業を展開している。

 この事業の運営形態はどのようになっており、どのような特徴があるのか伺う。

A山口課長 道民カレッジ事業の運営形態について。本事業は、道民の多様化する学習ニーズに対応するため、産学官の連携による生涯学習を支援する体制の整備を図り、様々な学習機会を体系的に構築、提供することによって、道民の生涯学習を振興することを目的に、平成13年に開設したものである。

 この事業の運営に当たっては、道生涯学習協会に業務を委託し、講座の企画運営や各団体等との調整、単位の管理、講座情報の発信などを行っている。

 この道民カレッジの特徴としては、カレッジ自身が主催する講座のほかに、本事業に賛同する市町村や大学、民間企業などが主催し、各地域で実施している講座を道民カレッジの連携講座として設けていることや、道民カレッジ生として登録すれば、受講した時間によって単位を取得し、その単位に応じて、道民カレッジ学士、修士、博士などの称号を得ることができることが挙げられる。

Q宮下委員 令和元年度の道民カレッジの開設講座数や受講者数などの状況、事業の成果などはどのようになっているのか。

 また、本年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で事業に大きな影響が出ていると聞いている。これまでの対応と、今後、どう事業を進めていくのか、併せて伺う。

A山口課長 道民カレッジ事業の実施状況などについて。元年度における講座数は5660講座、受講者数は延べ13万4152人である。

 平成30年度に実施した道民カレッジモニターアンケートでは、「自分の人生をより豊かにしている」との回答が約80%、「家庭・日常の生活に生かしている」との回答が約70%となっており、道民の生涯学習の推進に相応の寄与があったと考えている。

 また、新型コロナウイルス感染症の影響については、地域の感染状況を踏まえ、連携講座の主催者に対して、感染拡大防止のために受講者を制限することや講座の中止などを依頼したこともあり、昨年8月末段階で約1万8000人であった受講者が、ことしは約2000人と大きく減少している。

 今後は、同じ場所に参集して行う講座ばかりではなく、連携講座について、オンラインやオンデマンドによる講座を増やしていただくよう働きかけるなど、様々な学習形態の講座を充実させ、こうした情報を広く周知し、利用していただけるよう、ホームページやガイドブックを通じて積極的に発信し、生涯学習の機会を提供していく。

Q宮下委員 道民の間に道民カレッジ事業がどのように浸透しているのかを評価する上で、受講者数などのほか、道民カレッジの学生登録数も一つの指標になると思う。

 登録学生の状況はどのようになっているのか、年齢構成や管内別の割合、また、登録学生の受講状況はどうなっているのか、併せて伺う。

A山口課長 道民カレッジ生の受講状況などについて。道民カレッジ学士等の称号を得られる単位の取得ができる道民カレッジ生として登録している人は、平成13年度から令和元年度末までで3万4499人となっている。

 このうち、年齢が不明な方を除く年代別の割合をみると、19歳以下が16・4%、20歳から39歳以下が12・8%、40歳から59歳以下が16・0%、60歳以上が54・7%となっている。

 また、管内別の割合は、札幌市を含む石狩管内が30・8%、上川が11・5%、十勝が10・4%、渡島が8・6%と、都市部を抱える地域の割合が高くなっている。

 このうち、前年度実施された講座を受講し、単位を取得した登録者は2089人、全体の約6%程度と、道民カレッジ生として登録していながら1年以上受講していない人がほとんどとなっている状況である。

Q宮下委員 道民カレッジは、開設当初から道生涯学習協会に委託して実施していると承知している。委託事業として進めてきたことによるこれまでの成果と、現状ではどのような課題があるのか伺う。

A添田局長 委託事業としてきたことの成果と課題について。委託事業とすることで、行政直営ではなかなか実行できない、民間ならではの発想で産学官の連携を積極的に進め、平成13年の開講以来、19年間で約5万講座を設定し、約130万人が受講するなど、道民への多様な生涯学習機会を提供してきた。

 こうした成果を上げてきた一方で、主催事業の内容が画一化したり、民間らしい斬新さが失われたりしつつあるため、受講者の固定化や減少傾向がみられ、社会の急速な変化や道民の幅広いニーズに十分応える講座の提供が課題となっている。

Q宮下委員 生涯学習という言葉が日常生活に定着する中で、民間のカルチャースクールやスポーツクラブ、大学の公開講座などが充実してきており、一人ひとりが自主的に学ぶ環境整備が進んでいる。

 また、社会が要請する学びの態様も20年前とは大きく変わってきており、20年という区切りを機に、道民カレッジ事業の在り方を見直す必要があるのではないかと考える。

 道教委は、今後の道民カレッジの在り方をどのように考えていくのか伺う。

A小玉教育長 今後の道民カレッジ事業の在り方などについて。近年は、道民カレッジが開設された当時と比べ、インターネット環境の整備や民間事業者のサービスの充実等によって、道民自らが興味・関心に基づき情報を収集し、主体的に生涯学習を推進することのできる環境が整ってきていると認識している。

 一方で、住民参画型、課題解決型の学びや、未就労の若者への支援や障がい者の生涯学習など、社会のニーズを的確にとらえた多様な学習機会が求められている。

 道教委としては、道民一人ひとりが豊かな人生を送るための様々な学びの機会を提供するとともに、それらの個の学びが地域課題の解決につながるよう、効果的・効率的な事業の実施体制について検討を進めていく。

D宮下委員 費用対効果が最大限に発揮できる事業の実施体制を検討していただくことをあらためてお願いする。

(札幌市 2020-12-09付)

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