教育大附属旭川中と幕別町札内中 対話通して改善点発見 技術の第2回遠隔合同授業(学校 2020-12-16付)
【旭川発】道教育大学附属旭川中学校(上田祐二校長)と幕別町立札内中学校(橋本靖宏校長)は11月下旬、ウェブ会議システムZoomを活用した遠隔合同授業を行った。附属旭川中の関健太教諭を中心に、札内中の眞鍋巽教諭とのチーム・ティーチング(TT)で1年生の技術・家庭科(技術分野)の授業を展開。生徒たちは構想のポイントなどを分かりやすい言葉で的確に伝えようとしながら、対話を通して製作品の改善点を見いだしていった。
附属旭川中では、前年度からICT活用による授業支援や教員研修支援のライブ配信などを展開。学校規模の縮小や教員一人ひとりの負担増大、研修に参加しにくい現状などをはじめとする地域の現状や課題を、ICTによって解決しようと取り組んでいる。
Zoomを活用した試験的運用の第1弾として、6月に札内中との合同授業を実施。生徒たちは、素材を適切に加工するための方法について、気づいたことを双方で交流した。
第2弾となるこの日は、問題解決の構想を立てることに焦点を当てながら、関教諭と眞鍋教諭によるTT授業を展開。単元「材料と加工の技術」のうち、本時は題材「私たちを幸せにする家具の開発」(12時間扱い)の5時間目。
附属旭川中1年A組38人と札内中1年D組27人は、互いに自分たちが考えた家具の模型を示しながら、製作に向けて構想を改善するため交流した。
冒頭、関教諭がこれまでの取組を振り返るとともに、課題「対話を通して見方・考え方を働かせ、製作品の改善点を見つけ出そう」を提示。Zoomを通して発表する際のポイントを確認し、オンラインならではのコミュニケーションを意識するよう伝えた。
グループに分かれ、両校の生徒が製作品の構想のプレゼンテーションや質疑応答を通して双方向で交流。作品の使用目的やアピールポイント、製作に向けて悩んでいることなどについて、オンラインでも的確に伝わるよう、短く分かりやすい言葉を意識して伝えた。
はじめは苦戦したものの、ジェスチャーや「もう少し大きな声でお願い」などの言葉を交えて円滑な意思疎通を図った。
札内中生徒のプレゼンテーションに対し、附属旭川中生徒が「○○部分はどの材料を使うのか」と質問。
板材を使うことを聞き「強度が出るので良いアイデアだと思う」とやりとりしていた。附属旭川中生徒が、札内中生徒から具体的なアドバイスを受け「自分も同感なので、ぜひ改善したい」と応じる場面もあった。
授業後には、両教諭がZoom上で即時に振り返りを行い、授業の講評や今後求められるスキルなどについて交流していた。
関教諭は「オンラインによる交流は、これまでのプレゼンテーションのスキルだけではうまくいかないので、繰り返して身に付けさせる必要があることが分かった」と話す一方、「後半には自分たちで新しいルールをつくってスムーズに交流を進めており、生徒の適応の早さを実感した」と評価。今後は作品製作後にも遠隔交流を考えており、さらなる生徒のスキルアップを期待している。
◆両校生徒 授業後の感想
遠隔合同授業を受けた生徒の感想を一部紹介する。
▼興味・関心の向上に関して
▽いつもよりも相手の発表を真剣に聞こうという気持ちがあった(附属中)
▽普段の人間関係のない同級生からの意見は新鮮だった(附属中)
▽旭川に行かなくてもプレゼンし合えるのがすごいと思った(札内中)
▼オンライン授業の効果に関して
▽伝えることが難しかったが、新しいことに対応する力が、これからの世界では大切だと思った(附属中)
▽自分たちが設定した課題が、住んでいるところが違えば考え方が違うということが分かった。そのような相手から意見を聞くことで、より良いものが生まれそうだと思った(附属中)
▽見せたいところをアップして見せることができる点が便利だった(附属中)
▽自分が考えた作品よりも、アドバイスをもらった方が良くなった(札内中)
▽直接話していたら緊張していたと思うが、リモートで気楽に話せたのが良かった(札内中)
▼オンライン授業の改善点に関して
▽電波状況が悪く会話がうまく進まないと、遠隔の必要性を感じられない場面もあった(附属中)
▽相手の発表がしっかりと聞こえないと何もできないので、安定した通信環境が必要だと感じた(附属中)
▽画面に作品が映っていないと、発表内容が分かりづらかった(札内中)
(学校 2020-12-16付)
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