剣淵高 来年度 普通教科中心に 「未来のしんろ系列」新設 多様な学習・進路ニーズに対応 地域の特色生かした絵本探究など (学校 2020-12-09付)
新たな系列を説明する中村聡教諭
【旭川発】町立の総合学科高校である剣淵高校(芳賀雄太校長)は、令和3年度から新たな教育課程を立ち上げる。現行の専門分野に特化した「農業国際系列」「生活福祉系列」の2系列に加え、生徒の多様な学習・進路ニーズに対応した「未来のしんろ系列」を新設。普通教科の充実や、SDGs(持続可能な開発目標)を軸に課題解決能力を育成する「地域探究」、地域の特色を生かした「絵本探究」などを新たに展開し、学校の魅力化を図るともに、持続可能な社会の構築に必要な人材の育成を目指す。
同校は、平成21年度から1学年1間口の町立総合学科高校として、農業国際系列と生活福祉系列の2系列を設置。
農業国際系列では、地域や海外での長期農業委託実習などを通して、将来の農業等の担い手を育成している。
生活福祉系列では、地域の福祉施設等における実習などを通じ、高校3年間で介護福祉士国家試験の受験資格を取得することが可能。
両系列共近年は進路決定率100%を維持しているものの、農業・福祉にかかわる進路希望者以外の入学に結び付かず、ここ数年で急速に入学希望生徒が減少。本道・道北全体のさらなる生徒減少も見込まれ、高校の存続が危ぶまれることから、新たに普通教科を中心とする未来のしんろ系列の新設に踏み切った。生徒の様々な学習・進路ニーズに柔軟に応えられる教育課程を設置することで、高校の魅力化を図り、町内や近郊からの入学希望者を増加させたい考えだ。
名称には、生徒の自己「進路」の実現、地域および産業課題の解決への「針路」探究、将来に向けた可能性を探る「新路」の開拓を目指す3つの意味を込めている。
ことし4月、校内に未来委員会を設置し、第3系列の方向性などを検討。町や上川教育局、学校運営協議会、各中学校などにプレゼンテーションを行い、周知を重ねてきた。
未来のしんろ系列では、普通教科等を中心に基礎学力の向上を図るともに、探究型の学習やインターンシップでの体験学習などを通して、地域に貢献し、持続可能な社会の構築に必要な人材の育成を目指す。
各種学校への進学や、公務員、地場産業への就職など、幅広い進路ニーズに対応する。
新たに普通教科など17科目を新設するため、2年間で普通科の教員3人が増員となる見通しだ。
特色ある学校設定科目として、①絵本探究②地域探究③地域産業実習―などを新設。
①では、絵本の里としての剣淵町の特色や地域資源を生かし、絵本作家や町の専門職員などを講師に招いて様々な角度から絵本の可能性を探究する。
②では、SDGsを軸として地域や産業、自己の課題に向き合い、持続可能な社会づくりに向けた課題解決能力の育成を目指す。
③では、これまで同校が職業科として蓄積してきたノウハウを生かしたインターンシップを行い、社会での実践力を身に付ける。
剣淵町教委の半田幸清教育長は、魅力的で持続可能な地域づくりにおける高校の役割の大きさを強調。同校ですでに取り組んでいる農業・福祉に加え、特色あるまちづくりの柱である「絵本」を中核に多様な進路につなげる系列の新設に寄せて「ぜひ多くの生徒に入学してもらい、新たな展開を生み出していきたい」と期待した。
芳賀校長は「これからの社会のキーワードとなる持続性や多様性を中心に学び、“しんろ”を切り拓いていける生徒を3年間で育てていきたい。新しい取組に向け、教職員の士気も高まっている」と新たな魅力ある学校づくりに向け意気込みを示した。
(学校 2020-12-09付)
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