国研教育課程研究指定校 稚内高 疑問に問い立て考察 公民科授業公開・研究協議(学校 2020-12-02付)
公開された3年倫理の授業
【稚内発】稚内高校(蓮見知之校長)は10月下旬、同校で国立教育政策研究所「教育課程研究指定校事業」(公民)にかかる研究協議会を開いた。研究を進める公民科の政治・経済と倫理の授業を公開。授業後の研究協議会では、各グループごとに合評会を行い、公民科教育の一層の改善および充実を図った。
同校は、本年度から2ヵ年で国立教育政策研究所の教育課程研究指定校事業の指定校として公民科の研究を進めている。
研究主題を「“公民科”の各科目において、単元など内容や時間のまとまりを見通して学習課題を設定し、“社会的な見方・考え方”を働かせ、現代の諸課題を追究したり解決したりする学習を通して、主体的に生きる国民として社会に参画するために必要な資質・能力を育む指導方法および評価方法の工夫改善に関する研究」と設定。
この日、管内の高校地歴公民科の教諭、稚内市内の中学校の社会科の教諭など16人が参加。助言者として、文部科学省初等中等教育局教育課程課の飯塚秀彦教科調査官と小栗英樹教科調査官、道教委高校教育課の岩渕啓介主査が来校した。
鹿内志織教諭が指導する2年(34人)政治・経済、宮良長教諭が指導する3年(39人)倫理の授業を公開。
うち、倫理の授業では、①学校生活や日常生活における疑問について洗い出し、それを問いとして表現するとともに、先哲の思想を手がかりとして、問いについて多面的に思索する活動を通して、自己の生き方にかかわる課題について考察する②自己の生き方にかかわる課題について考察する―の2点を目標に定めた。
はじめに宮良教諭は、これまでの授業で学んだ哲学者たちの考え方を紹介。本時では、哲学者たちの考え方を活用して、問いを立てることを印象付けた。
続いて、ワークシートを使い、自らの生活を振り返りながら、日常生活や学校生活についての疑問を、問いの形に。また、問いを立てた理由と今の考えも書いてみようと本時の最初の課題を提示。生徒はそれぞれ、自身の問いに対する考えをワークシートに書き出した。
引き続き、グループ内で各自が表現した問いに、他者が感想を話した。その際に宮良教諭は、自身と異なる意見について考えることの大切さを強調し、冷静な議論を促した。他者の意見を踏まえて、もう一度、個人思考を行い、自身の問いに対する変化を書き出し、問いの深まりを実感させた。
最後に、グループの中で出た最も興味深いテーマを一つ選び発表。学校の校則について日ごろから疑問に思っていることなど、哲学者の考え方を使用しながら発表した。
研究協議に移り、政治・経済と倫理のグループに分かれ協議。研究計画の説明や公開授業の合評会を行った。
閉会式の総評で、小栗教科調査官は「現在、研究している公共という新科目は、社会参画する力、知識、思考力、学ぼうとする力を総合的に育成していく科目の研究となってくる。本校の研究成果を全国に発信できるよう我々もバックアップしていきたい」と話した。飯塚教科調査官は、社会情勢が刻々と変わる中で「今後は授業を通して、子どもたち自身の生き方にどうかかわらさせていくかが課題となってくる。そういったところを意識して授業に取り組んでほしい」とエールを送った。
(学校 2020-12-02付)
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