【PICK UP2020】No.6 北見市北中 学校経営方針実現へ力量発揮 主幹教諭の複数配置
(学校 2020-12-21付)

 管理職を補佐し、学校現場の様々な課題に対応する主幹教諭。校内の体制強化、保護者・地域住民および関係機関との連携・調整の円滑化などが期待されている。

 道内における主幹教諭の配置は、平成21年度に小・中学校から始まり、27年度からは高校と特別支援学校、28年度からは義務教育学校へと対象校種を拡大。本年度からは中等教育学校への配置も進む。

 オホーツク管内では、小学校11校、中学校5校、義務教育学校1校に配置されている。

 道教委は、教頭の多忙化解消やOJT(職場内研修)機能の強化など組織力向上を図るため、小・中学校2校で主幹教諭の複数配置を試行。

 管内では、北見市立北中学校(緒方隆人校長)に主幹教諭2人を配置し、その効果について検証している。

◆役割分担を明確に

 北中は、5月1日現在における生徒数398人、学級数18学級の規模をもち、対応が求められる課題や業務も多い。前年度まで同校で主幹教諭を務めていた置戸町立置戸中学校の山田雄輝教頭は、「各学年や分掌からの報告への対応や、新たに対応しなければならない業務に関する分掌の振り分けなどを行っていた」と当時を振り返る。

 本年度は、同校教諭から昇任した高口正紀主幹教諭、美幌町立北中学校から異動してきた豊原隆之主幹教諭の2人が配置され、役割分担を明確にした校内体制を確立した。

 高口主幹教諭は、生徒指導部や保体部など主に生徒指導関係を担当。豊原主幹教諭は、教務部や学習指導部など教育課程関係の分掌を統括している。

 主幹教諭の役割を分担したことで、多岐にわたる学校課題に対する窓口が区分され、従前と比べ円滑で組織的な対応を実現。分掌がまたがる課題についても、それぞれの専門性を発揮しながら連携を図って対応している。「迅速かつ的確に報告され、方針が出しやすくなった」と緒方校長は話す。

◆教頭の負担も軽減

 佐藤隆教頭は、これまでの自身の業務の中で教諭との打ち合わせが大きな比重を占めていたという。「教諭と教頭の間に主幹教諭が入ることで、教頭への報告内容が精選されるため、負担軽減につながっている」と効果を実感する。

 主幹教諭の2人にとっても、それぞれの経験を生かして連携できるという利点が生まれた。同校での勤務経験が長い高口主幹教諭は「これまでの経験から、当たり前になってしまっていたこともあった。豊原先生が外からの視点で助言してくれることで、新たな気付きができた」、豊原主幹教諭は「生徒の特性や先生方とのかかわり方を理解しているので、高口先生の存在は心強い」と話す。

 現在は、1人体制を前提としたこれまでの校務分掌にそれぞれの役割を当てはめている。緒方校長は、主幹教諭の2人体制をより効果的に機能させるため「分掌の見直しも検討している」と、今後の取組の推進に意欲をみせている。

◆教職員の意識醸成

 緒方校長は、組織的な対応の実現には「教頭や主幹教諭が学校経営方針を理解し、その実現に向けて取り組んでくれていることが大きい」と話す。校長の役割として、「主幹教諭が力を発揮できるよう、それぞれの特性をみて役割分担するとともに、学校経営方針を明確に伝えていくことが大事」と強調する。

 オホーツク教育局の冨田直樹義務教育指導監も、「何をすべきなのか具体の取組を明確にし、学校経営参画意識の醸成を図ることが重要」と学校経営方針を明確にし、校長がリーダーシップを発揮する重要性を示す。

 「北中は、一人ひとりの適性に応じた人材配置に努め、教職員のモチベーションを高めている。明確な学校経営ビジョンに基づき、主幹教諭がそれぞれの能力を発揮できる組織づくりが求められるだろう」と話す。

(学校 2020-12-21付)

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