【PICK UP2020】No.6 “地域”“探究”で授業改善 帯広三条高の取組
(学校 2020-12-22付)

 十勝管内普通科高校で初の進学重視型の単位制を導入し、管内有数の進学校である帯広三条高校(合浦英則校長)は、同校における教育活動にある課題を感じていた。進学校として大学や専門学校などへの進学率が高いことは誇りとなっているが、生徒の自主性・主体性が十分に発揮できているのか、単位制の良さを生かしきれず授業改善が進んでいないのではないか、グローバルな視点をもって社会で活躍する生徒が育っているのかなどの具体的な課題があった。

 道教委内部公募で校長に就任した合浦校長は、これらの課題の解決に向け、本年度、教育改革に乗り出した。

◆小中と連携研修

 同校を主体校とし、帯広市立西小学校(下坂吉彦校長)、帯広市立帯広第二中学校(藤崎禎人校長)、芽室高校(佐藤康則校長)、大樹高校(青木祐治校長)、本別高校(近藤浩文校長)を地域連携校とする地域連携研修を実施。「地域」と「探究」をキーワードに授業改善に取り組んでいる。

 具体的には、学校設定科目「自己表現」に取り組み、高校生が中学生に学校の魅力を伝える学校説明会を開催した。

 課題探究的な学びとして「十勝のまちづくり」をテーマに、地域課題について高校生が解決方法を考え、発表する取組を行った。

 まちをより良く育てていく「まちそだて」の観点や、経済活性化の要所を探る「まちのツボ」「人手不足」「都市景観」「公共交通」などを主題に生徒が調べ学習を行い、課題点・問題点について理解を深め、帯広市役所職員や十勝総合振興局職員と議論しながら解決の方策を検討してきた。

 12月9日には成果を発表。ある班は、公共交通の魅力化がまちの活性化につながることを指摘し、コンセプトを設定したラッピングバスやバスでの婚活の開催、全国の物産を販売する「食べるバス」などを紹介。

 取組を通して「まちの課題を考えることで、地域とのつながりをみつけることができた」と話した。

◆地元に人材還流

 担当した教員は探究活動の成果として、生徒たちが意欲的に考え、行動し、指導側が思ってもいなかったアイデアに到達していることを示した。

 また、学校も中間発表や成果発表の際に、講評者から鋭い指摘が得られるよう依頼。改善点を探り、より良い成果を求めることで生徒たちがさらに成長し、大学や専門学校などで学んだあと、再び十勝や北海道に人材が還流することを目指した。

◆人生考える契機に

 ある教育関係者は、探究活動について、「成果発表がゴールではなく、子どもたちがこれをきっかけにして地域について考えたり、そのあとの人生のバックボーンにしたりしていくことが重要」と話している。

 学校の授業は、ともすれば受け身になりがちなものだ。その中で、主体的・対話的で深い学びによる授業改善を目指す帯広三条高の実践は、まだ始まったばかりだ。

(学校 2020-12-22付)

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