札幌豊明高等支援が冬季公開研　“行動の選択肢”重要　道教大院・川俣准教授

（札幌市 2021-01-20付）

MLAを取り入れた研究実践を進めている

　市立札幌豊明高等支援学校（小山学校長）は昨年１２月下旬、同校で冬季公開研修会を開いた。道教育大学大学院教育学研究科の川俣智路准教授が「自分で考えて調整できる児童生徒を育てるための必要な視点」をテーマに講演。子どもが自ら考えて行動するために必要な行動の選択肢の重要性について、実践方法を交えて紹介した。

　同校は生徒の思いやりと社会性を育むため、ＭＬＡ（マルチレベルアプローチ）プログラムについて、全１６回、年間１２時間の校内研修を積み重ねるなど、包括的生徒指導に力を入れている。

　研修会では、菅原尚俊教諭が取組を説明。ＭＬＡは①ＳＥＬ（社会性と情動の学習）②ＰＢＩＳ（ポジティブな行動介入と支援）③ピア・サポート④協同学習―の４つのプログラムからなり、同校は②について、これまでソーシャルスキルトレーニングを実施していたものを、感情のコントロールが苦手な子どもは力が発揮できない場合もあるため、ストレスマネジメントやアンガーマネジメントなどの心理教育プログラムに重点を置いていることなどを説明した。

　プログラムは３ヵ年計画で進めており、新型コロナウイルス感染症による一斉臨時休業期間中の取組として、日常の場面について教諭が１８の劇を行うショートＳＥＬ動画を作成したことを紹介。生徒に劇を視聴させることで、自身の行動方法を考えさせた。

　続いて、川俣准教授が「自分で考えて調整できる児童生徒を育てるための必要な視点」と題し講演。

　不登校やいじめなどの課題解決に向けたポイントは、「自分で舵を取ること」と強調。例として、授業内容の理解が難しい子に対する個別のサポートや生徒の不適切な発言に対する注意などは、「その場においての課題は解決しているものの、行動を生徒自身で選択することを学ぶことができない」と分析。自ら考えて行動するため、行動に対する選択肢の必要性を指摘した。

　具体的な実践として、よい行動を行った子どもに対し、評価の紙を配布することで、行動に対するデータ分析が可能となるほか、よい行動の定着化が期待できる事例を紹介。よい行動が定着しにくい子どもには個別に目標行動を設定することで、子どもがよい行動に対する理解を深めることができると説明した。

(札幌市 2021-01-20付)