札幌市教委研究開発事業「がん教育」 命の大切さ理解して 手稲中1年道徳 闘病体験から考察(札幌市 2021-02-02付)
生徒は和賀さんの話のあと、様々な視点から質問内容を考えた
札幌市教委は1月27日、札幌市立手稲中学校(駒込幸則校長)で研究開発事業「がん教育」にかかる公開授業を行った。生徒は、がん語り手から闘病中の経験を聞くことで、自身や身近な人の命の大切さについて理解を深めた。
市教委は、平成30年度から、がん教育の在り方に対する研究を開始。校長、教諭、指導主事からなる研究推進委員会を設置し、がんに関する正しい知識や命の大切さを理解させ、がん予防や早期発見につながる生活習慣に資する指導をするなどの研究を進めている。
公開授業は、手稲中1年3組道徳「いのちを考える~身近な人ががんになったら」(福富淳平教諭、生徒数34人)。
2時間扱いの2時間目である本時のねらいに、「がん経験者の話を聞き、身近な人ががんになるとはどういうことかを考えることを通して、命の意味や大切さについての理解を深め、命を尊重しようとする心情を育てる」と設定した。
福富教諭ははじめに、生徒に対し、がんを自分事としてとらえさせるため、統計などをもとに「日本人の2人に1人はがんになる時代」と説明。「家族に置き換えると何人ががんになるか」など、具体的な割合を考えさせたあと、学習課題として「身近な人ががんになるってどういうことだろうか」と提示した。
続いて、がんの語り手である新聞記者の和賀豊さんが、がんになったときの心境を生徒に語った。
和賀さんは、3年前に精巣がんが発覚。体調の違和感に気づき、スマートフォンで検索した結果、精巣がんの可能性を示す記事が画面に並んだとき、「心臓の鼓動が激しくなった」と振り返った。
その後、病院で医師から精巣がんの診断を受け、手術、抗がん剤治療を経験。治療による副作用や、スマートフォンからネガティブな情報を目にした経験から、精神面、肉体面のつらさを語った。
一方で、闘病中、見舞いに来た家族の言葉に支えられた経験も伝えた。
和賀さんの話のあと、福富教諭は、①患者の気持ち②情報③家族の気持ち④そのほか―の視点から、和賀さんへの質問内容を考えさせた。
患者の気持ちについて質問した生徒は、精神面と肉体面で一番つらかった経験を尋ねた。
和賀さんは「精神面では、(自身の仕事である)取材ができず、居場所がなかったこと。肉体面は抗がん剤治療」と答えるなど、仕事ができなかった経験と抗がん剤治療の苦しさを伝えた。
また、情報によって助けられた経験について尋ねられると、和賀さんは「同じ病気になった人が病気を克服したブログを読み、勇気をもらった」と振り返った。
最後に、和賀さんの話を聞いた感想をワークシートに記入。
生徒は「普段の授業では感じられないつらさや痛みが伝わった」「自分の命が急に脅かされてしまうことに気づかされた」と記入するなど、語り手の経験を聞くことを通して、がんを自分事として考えた。
(札幌市 2021-02-02付)
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