札幌市教委　端末活用ガイドライン策定　校内体制や指導例掲載　安全確立し学ぶ力を育成

（札幌市 2021-03-12付）

　札幌市教委は、１人１台端末活用のガイドラインを初めて策定した。具体例として、市立札幌開成中等教育学校や、端末活用モデル校の中央小学校、中央中学校、市立札幌新川高校の実践成果を記載。学校現場が円滑に端末の運用開始ができるよう、校内推進体制の進め方や情報モラル教育の指導事例、健康上の配慮なども盛り込んだ。教員の指導力の向上に向けた研修体制や、安全な環境整備を確立させることで児童生徒の学ぶ力の育成を目指す。

　市教委は、国のＧＩＧＡスクール構想を踏まえ、市教育振興基本計画において教育の情報化の推進を基本施策に位置付けた。これまで、タブレット端末の整備やネットワーク回線の増強などを段階的に進めてきたほか、中央小、中央中、札幌新川高の３校をモデル校に指定し、端末の効果的な活用について検証を進めてきた。

　今回策定したガイドラインには、タブレット端末活用の具体例として、モデル校３校の事例と札幌開成中等教育における実践の成果を記載。一斉・個別・協働学習など様々な場面での活用や、不登校支援に対する効果的な活用方法、新型コロナウイルス感染症の影響による学級閉鎖などの緊急時の対応における取組の成果を紹介している。

　また、健康上の配慮を盛り込み、教室の照明環境の工夫や、タブレット端末活用時の正しい姿勢を提示。電磁波過敏症の児童生徒への対応など、保護者から相談があった場合は適切に対応することを求めている。

　教員のＩＣＴ活用指導力向上に向けては、段階を踏んだ研修を設定。新年度からの経年研修、専門研修において、個人の研修ニーズに適したコースを選択することができるよう、多様な講座を設けるほか、市教育研究推進事業における研究成果をデジタル文書で全教員に共有。各種研修の資料等を用いて校内研修が実施できるよう、連携を図る。

　各校における情報化推進体制の構築については、情報化を担当する校務分掌を組織内に位置付けることを提案。その際、業務が一部の教職員に集中しないよう、配慮することなどを求めているほか、ＩＣＴ機器にトラブルが発生した際の対応や役割分担を明確にすることを推奨している。

　情報モラル教育の必要性も提示。動画教材などを活用し、児童生徒が自らの行動を考える場の設定を求めている。

　小・中学校それぞれの効果的な指導事例や、ネット利用ルールの具体例を提示。

　巻末には、端末導入時の対応例や１日の活用スケジュールを記載した。

(札幌市 2021-03-12付)