札幌市中学校長会各部の2年度研究成果 第2回 家庭・地域社会と共通理解 管理部 学校経営の深化に迫る
(札幌市 2021-03-12付)

第2課題「新たな未来を紡ぎ、よりよい社会を創る力を育む学校経営―新たな未来を紡ぎ、よりよい社会を創る力を育む“学校力”を高める学校経営の充実」

▼研究の視点

①「学校力」を高める管理職の経営力

②「学校力」を高める教師の指導力

③「学校力」を高める教育資源(前次研究の「学校資源」と同義)の活用力

▼研究内容(一部抜粋)

▽管理職の経営力

 小中一貫した教育を推進していくためには、まずは、パートナー校のすべての教職員が小中一貫して子どもたちを育むという理念を共有することが重要である。

 しかし、日常業務に加え、コロナ禍での対応を求められ多忙感・負担感を抱えている教職員にとって、新しい取組を前向きに取り入れる余裕が時間的にも精神的にもないのが現状である。

 また、教職員にとって、小中一貫した教育を推進していくことで、子どもがどのように変容していくのかが十分イメージされておらず、日指すべきゴールもみえてこない。

 このような中、校長はリーダーシップを発揮して、小中一貫した教育の必要性や実効性、方向性などを教職員に説き、意識の醸成を図り、教職員の協働体制を確立していく必要があると考える。

 そこで、札幌市の教育施策や地域の実態等を踏まえ、校長として、パートナー校における小中一貫した教育の方向性をどのように定め、その取組をどのように進めていけばよいのかを考察する。

▽教師の指導力

 中学校区を基盤とした小中連携・接続の取組では、入学前に中学校生活への見通しをもたせるなど、小学校と中学校のつなぎ目を円滑に接続するという面では、一定の効果がみられた。

 今後、教育活動の系統性・連続性を確立させるには、パートナー校と連携して、互いの教育課程や学習指導、生徒指導等に対する理解を十分に図る必要がある。

 また、これまでの小中連携の取組を生かすとともに、義務教育9年間を見通した教育課程の編成や指導の在り方について、パートナー校同士で目標や課題を共有し、取組を進める必要がある。

 そこで、小中一貫した教育の実施に当たって踏まえるべきポイントと実践によって期待できる教育効果の現状を、前年度の「小中連携・接続」の研究をもとに考察する

▽教育資源の活用力

 学校には、子どもたちをどのように学ばせ、どのような資質・能力を身に付けさせるのかを教育課程で明確にしながら、積極的に地域社会と連携・協働し、その実現を図っていくことが求められている。

 中央教育審議会が平成27年12月に公表した「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について(答申)」でも、チームとしての学校が求められる背景を「子どもたちが今後、変化の激しい社会の中で生きていくためには、時代の変化に対応して、子どもたちに様々な力を身に付けさせることが求められており、これからもたゆまぬ教育水準の向上が必要である。そのためには、教育課程の改善のみならず、それを実現する学校の体制整備が不可欠である」としている。

 これらを踏まえ、1年次研究では、子どもたちに必要な資質・能力を育むために、必要かつ効果を高めることができる専門スタッフや関係機関を明らかにした。

 さらに、どのように家庭・地域社会と連携・協働し、より教育活動を充実させていくかを明らかにした。

本年次研究では、それらをもとに小中一貫した教育という視点では、どのような成果や課題があり、今後どのように家庭・地域社会と共通理解を図り、取組を充実させるのかを明らかにする。

 また、パートナー校で、学校を支える経験豊かな人材が継続的に学校教育にかかわる環境をどのように実現するのか、さらには学校と家庭・地域社会それぞれにとって実効的かつ効率的な運営を促進するために、どのように体制を組織するのかを明らかにする。

▼次年度への課題と展望

 本年次研究では、新たな未来を紡ぎ、より良い社会を創る力を育む“学校力”を高める学校経営の充実を探るため、小中一貫した教育の現状を把握し、今後の方向性について研究を進めてきた。

 今次研究の最終年度となる令和3年度は、2年間の研究成果をもとに、3つの視点「管理職の経営力」「教師の指導力」「教育資源の活用力」に沿ったアンケート調査の分析と考察を行い、新たな未来を紡ぎ、よりよい社会を創る力を育む“学校力”の向上を図る学校経営の深化に迫りたい。

 また、小中一貫した教育は4年度に全面実施となる。次年次研究でも、現状把握、成果と課題についての調査・分析を行い、知・徳・体の調和のとれた育ちの一層の充実に迫りたい。

(札幌市 2021-03-12付)

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