札幌市　第２次アイヌ施策推進計画　ウポポイと連携学習　歴史や文化　学習機会確保

（札幌市 2021-04-01付）

　札幌市は、第２次市アイヌ施策推進計画を策定した。「基本理念と施策目標」「具体的な取組」など６章構成。「アイヌ民族の歴史の尊重と教育施策の充実」として、既存の小中高校生団体体験プログラムの提供などや、民族共生象徴空間（ウポポイ）と連携した学習を通して、アイヌ民族の歴史や伝統文化について学習する機会を確保する。計画は今後、ホームページで紹介する予定。

　市は、アイヌ施策の基本的な考え方や具体的な取組の内容などを整理し、総合的かつ計画的にアイヌ施策を推進していくため、平成２２年９月にアイヌ施策推進計画を策定。理念に定める「アイヌ民族の誇りが尊重されるまちの実現」に向けて、様々な取組を行ってきた。

　策定当時、国において総合的なアイヌ施策の推進について協議が進められており、その動向次第で計画を見直す必要が生じることから、具体的な計画期間は定めず、概ね１０年間をめどに市が取り組む施策などを整理。今回、前計画の計画期間を令和２年度で終了することとし、総合的・計画的にアイヌ施策を推進していくため、第２次アイヌ施策推進計画を策定した。

　計画は、①計画の策定②アイヌ民族にかかわる歴史的経緯③現状と課題④基本理念と施策目標⑤具体的な取組⑥計画の推進―の６章構成。

　うち⑤の施策目標には、「アイヌ文化の保存・継承・振興」「アイヌ民族に関する理解の促進」「体験・交流の促進」「産業等の振興」「生活関連施策の推進」の５項目を設定した。

　「アイヌ民族に関する理解の促進」の「アイヌ民族の歴史の尊重と教育施策の充実」では、既存の小中高校生団体体験プログラムの提供などや、民族共生象徴空間と連携した学習を盛り込んだ。活動を通して、アイヌ民族の歴史や伝統文化について理解を深め、児童生徒が互いの個性や多様性を認め合い、尊重する姿勢を身に付けることをねらう。

　新たな事業には、「伝統文化の担い手を育成する仕組みの検討」「交流・継承の機会の確保に関する検討」「アイヌ関連施設などの観光プロモーション」などを追加した。

　また、計画の実施状況を検証・評価し、施策のさらなる充実につなげるため、令和１２年度までの目標値を設定。アイヌ民族について知っている人の割合を１００％にするなどの目標を示した。

　計画で目指す指標はつぎのとおり（①２年度現状値②１２年度目標値）。

▽個人や団体としてアイヌ語や伝統文化の保存・継承・振興などに取り組んでいるアイヌ民族がいることについて知っている人の割合＝①６３・５％②８０％

▽アイヌ民族について知っている人の割合＝①８９・１％②１００％

▽市アイヌ文化交流センターについて知っている人の割合＝①３６・６％②６０％

▽アイヌ民族独自の伝統的な民工芸品があることについて知っている人の割合＝①７３％②８０％

(札幌市 2021-04-01付)