札幌市教委調査 SNSで嫌な経験 小中高生8割 「ない」 情報モラル等の指導成果
(札幌市 2021-04-15付)

 札幌市教委は、令和2年度に実施した児童生徒の実態に関する基礎調査の報告書をまとめた。通話やメール、SNSの使用頻度について、「3時間程度から4時間以上」と回答している割合は小・中学校、高校それぞれ過去最高値となった。一方、SNSでの嫌な思い経験やいたずら等の経験について、「全くない」「ほとんどない」と回答している児童生徒の割合が小・中学校、高校いずれも8割を占めた。市教委は「各校で情報モラルなどに関する指導の成果が表れている」と分析している。

 平成14年度から3年ごとに実施しているもので、令和2年度は昨年11月に市内26校の小学5年生1094人、中学2年生901人、高校2年生554人を対象に36項目について調査した。

 質問項目のうち、パソコン、スマートフォンなど情報端末機の所有状況について、「家族全員が持っている」と回答した児童生徒の割合は、前回調査の平成29年度と比較すると、小学5年で6・2ポイント増の44・5%、中学2年で13・6ポイント増の70・2%、高校2年で7・5ポイント増の83・2%と、いずれも前々回の26年調査時から毎回増加している。

 学習以外での情報端末機の1日の使用頻度は、小学5年が「1時間以内」(27・6%)、中学2年と高校2年が「2時間程度」(中2=28・7%、高2=30・3%)と答えた割合が最も高かった。

 また、使用頻度と就寝時間のクロス集計では、学習以外での情報端末機の使用時間が長くなるほど午後11時以降に就寝する割合が高くなっており、4時間以上と回答した児童生徒の約4割が就寝時間が午前零時を過ぎていることが分かった。

 通話やメール、SNSの使用頻度について、「2時間程度から4時間以上」と回答している割合は26年度調査時からどの学年も増加。一方、「ほとんどしない」と回答した割合は小学5年で61・4%、中学2年で38・9%、高校2年で9・2%と過去最低となった。

 インターネットやSNSでの嫌な思いの経験については、「全くない」「ほとんどない」の回答を合わせた割合は、小学5年が93・9%、中学2年が87・9%、高校2年が83・5%となり、中でも高校2年においては今回の調査が最高値となった。

 インターネット等でのいたずらなどの経験についても、「全くない」「ほとんどない」がどの学年でも増加しており、過去最高値となった。

 市教委は調査結果について、各校における情報モラル等に関する指導や教育の成果と分析。今後は「家庭での情報端末機の使用におけるルールづくりなど、一層の啓発を行っていくことが大切」としている。

 このほか、新型コロナウイルス感染症による学校生活への影響についても分析。

 「学校で楽しいと感じるとき」の回答について経年変化をみると、「友達と話したり遊んだりしているとき」「給食や弁当を食べているとき」「クラブ活動や部活動」の割合がいずれの学年も減少。特に高校2年で大幅に減少した。

 また、休み時間にグラウンドなどへ出る頻度については、「いつも出る」「ほとんど出る」の割合が小学5年で大幅に増加しているものの、中学2年ではこれまでの調査で増加傾向だったが減少に転じた。

 市教委は「小学校では友達とのかかわりを校内で十分にもつことができないため、外遊びの場面を通して、できる限り発散しようとした結果」とする一方、「中学校では外遊びでの接触による感染の拡大を避けようとした結果ではないか」としている。

(札幌市 2021-04-15付)

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