教育環境部〈下〉 副主題 未来を創る「さっぽろっ子」の育成に向けた教育環境を充実させる学校経営の在り方
(札幌市 2021-05-24付)

【コロナ禍における取組等】

 教育環境部では、教育課程編成や学校運営改善を図るために必要と考える「児童・学校、地域の特色や施設面を含めた環境」「GIGAスクール構想に向けたICT整備」「幼保小・小中の連携、学校事務の共同実施の活用」「防災環境・危機管理」について、校長の指導性と役割を検討してきた。

 その一例をつぎのとおり示す。

▼校舎改築工事に向けての望ましい取組と校長の果たす役割を考える

 ここ数年、札幌市内で校舎の老朽化に伴う改築工事やリニューアル改修が行われていることを踏まえ、その取組と校長の果たす役割を考える。

▽実際の事例から望ましい取組の在り方は

・基礎設計段階、実施設計段階、工事開始段階に分け、児童の安全、教職員の使い易さ、不易と流行、地域住民、町内会との連携等を考慮し、前年度作成した「校舎改築工事における市教委や業者との打ち合わせチェックポイント」を活用し十分検討する

▽校舎新築改修工事に向けての望ましい校長の役割は

・設計から完成まで5~7年かかることを踏まえ、管理職ならびに事務職員や用務員、校務助手などの異動について熟考し人事協議に臨む

・2~3年の短期的行事計画と、3~5年の中期的行事計画の作成、職員全員の参画意識を高めることが必要

▼GIGAスクールに向けたICT整備・活用・工夫

 コロナ禍の中、GIGAスクール構想が急速に推進されており、2年度中に導入されるタブレットPCの有効活用について各校で検討がなされている。

▽実際の事例から望ましい取組の在り方は

・すでにタブレットPCが導入されている学校では、教材準備や作成資料の共有、調べ学習での活用等に取り組んでいる。新たに導入される学校においても「いつでも・だれでも・どこでも」活用できるように準備を進める必要がある

▽実際の校長のかかわりから、望ましい校長の果たす役割は

・タブレットPCを含めたICT機器の有効な活用に向けた研修を設定しICT教育の充実を図るとともに、ICTにかかわる情報共有を充実させる

・率先垂範が必要なときもあるが、個人の力のみで整えるのではなく、プロジェクト等を活用し、組織的に推進することが重要である

▼地域連携の現状から校長の役割を考える

 全校○○大会、保育園との交流など、地域の環境や人材を生かした教育課程については、精選することも視点に加えた編成が求められている。

▽実際の事例から望ましい取組の在り方は

・子どもたちが主体的に活動することで、地域貢献の役割を果たしている一方、伝統ある活動として位置付いているため変革が難しい。精選するためには目的の明確化が大切である

▽実際の校長のかかわりから、望ましい校長の果たす役割は

・担任任せにしない体制づくりによる負担軽減を図る。地域の声を校長が拾い、価値付けや意味付けを行い双方にメリットがある取組にしている

・連携や協働は方法である。校長は「なぜ連携・協働をしているのか」という目的を教職員に伝え、浸透させ、その質を高めていく必要がある

▼Safety最優先の教育環境づくりと危機管理

 開校以来の老朽化した遊具施設の撤去、体育館設備の補修、校内消火設備の設置状況、相談室の新設など、現在の学校では、施設・設備・職員・感染症対策など様々な面での危機管理の強化が求められている。

▽実際の事例から望ましい取組の在り方は

・児童の安全・安心の確保が何よりも優先される学校においては、危険個所の発見、妥協をしない修繕対応、過去の教訓を生かすことや教職員を守る視点も大切となる

▽実際の校長のかかわりから、望ましい校長の果たす役割は

・危機管理において不測の事態や緊急を要する事案に速やかに対処し、職場全体が共通理解のもとに動いていくためには、学年主任会を利用するなど、協議する組織を明確に位置付けることが必要である

(札幌市 2021-05-24付)

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