札幌市小学校長会2年度研究成果 研究集録集から 第11回 人材育成部〈上〉
(札幌市 2021-05-25付)

◆副主題 人材の育成と働き方改革を実現する学校経営の在り方

【研究内容】

▼研究副主題の解説

 平成31年1月の中央教育審議会答申には、働き方改革の目的について「教師のこれまでの働き方を見直し、自らの授業を磨くとともに、その人間性や創造性を高め、子どもたちに対して効果的な教育活動を行うことができるようにすること」とある。同年4月のいわゆる働き方改革関連法の施行に続き、令和2年度からは月や年間の時間外勤務の上限規定も定められ、学校における時間外勤務の縮減に向けた一層の改革が求められている。

 本来、働き方改革を実現し子どもの確かな育ちを保障するために“人的増員や定数配置基準の緩和が不可欠”は大前提である。しかし、財源確保が見通せない状況においては、現行制度上で働く者一人ひとりの意識改革はもとより、各校における業務の削減や効率化、組織改革や人材活用による分業の在り方の見直し等の改革を推進しなければならない。すでにおのおのが自校の課題を踏まえ、その解決に向け具体的な取組を進めてきているが、目的の達成は容易なものではない。

 併せて、学校における人材育成も全国的な課題である。教員志願者が減少する中、学校は少子化による規模の縮小やベテラン教員の大量退職を迎え、教員をいかに育成するか、課題は山積している。

 札幌市では29年に求める教員像・教員育成指標を作成し、「基礎形成期」「向上・充実期」「深化・けん引期」の3ステージでの教員像を具体的に示し、組織的、計画的な人材育成に力を入れている。我々校長には、一人ひとりが教員としての資質向上を図りながら、やりがいを感じ前向きに職務を遂行できるよう働き方改革を進め、次世代を担う教員の育成にいかに指導性を発揮していくかが問われている。

 今般のコロナ禍では、臨時休業の長期化による時数不足と教育課程の見直し、児童の不安解消への対応、新しい生活様式による学校での予防対策、ウィズコロナにおける働き方の在り方など、一層困難な対応が求められているが、このような状況だからこそ、働きがいがあり、育て合う学校づくりが重要というとらえのもと、副主題を設定した。

▼研究の視点

 新研究のスタートとなるが、旧福利厚生部での研究も引き継ぎながら、以下の視点で進める。

▽やりがいを伴い、実効性のある働き方改革について

▽札幌市の課題や学校の実態を踏まえ、これからの学校を担う人材の育成について

【研究の具体】

▼研究体制

▽アンケート調査(4月)

 研究の方向性を探るとともに、コロナ禍における各校の対応についても集約する。

▽研究計画・テーマの設定(7月9日、8月20日)

 2回の部会研修会において、2年度の研究計画等の討議に続き、「働き方改革」「人材育成」の2点について各校での実情を交流し、アンケート結果も踏まえ、部会研修会の討議テーマを設定する。

 研究討議については部内を5グループに分け、グループ討議を主体とした研修を行う。テーマは各校が抱える課題を軸につぎのように設定し、提言やレポートによらず、各校の実情を語り合うことから討議を進める。

▼研究の実際

▽研究討議①「今だからこそやるべき働き方や職場の改善とは」

 「職員の意識改革や主体性の尊重」「仕組みづくりから個に向き合う段階へ」「統合的取組と評価、改善につなげる体制の確立」など、学校経営上のポイントが明らかになった。

▽研究討議②「育てるって難しい?」

 年代層ごとに分け、コロナ禍での各校の取組の工夫も含めての研究討議を行った。その中で、ステージごとの育成の特性や各層で共通する部分など、校長のかかわり方のポイントを明らかにしていった。

・若年層=学びの日常化、主体性や参画意識を醸成する役割分担の工夫、校長自らの発信

・ミドルリーダー層=立場や職責を担うことによる学校運営への参画意識の醸成、目標の明確化と適切な評価による意欲と意識の向上、管理職がよき手本、目標となる

・ベテラン層=プライドを尊重しながら自覚を促す学年や校務分掌での人材配置、意欲を高める校長のコミュニケーションの取り方の工夫

▽市川恵幸教職員育成担当課長(当時)による講演「教員研修の充実のために~研修実施の背景と取り組みの理解に向けて」(1月21日動画配信)

【今後に向けて】

 各テーマに沿った研究討議で明らかになってきた事柄についてあらためて振り返りながら、2年度の研究の成果と課題を明らかにし、研究をまとめていく。

 また、3年度の研究について、10月研修会を念頭に、部の研究体制、推進計画の構想や、発表に向けた取り組み方、内容の方向性などを示し、次年度の研究につなげていく。

(札幌市 2021-05-25付)

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