コロナ急拡大道内公立小・中の対応 オンライン学習早急に 規則整備、ノウハウ普及を
(コロナウイルス関連 2021-05-26付)

 道内における新型コロナウイルス感染症の感染急拡大を受け、16日に緊急事態宣言が発令された。道内35市の公立小・中学校における対応をみると、分散登校や短縮授業の導入などの動きは特定措置区域内外にかかわらず、現段階ではごく少数。オンライン学習の導入は確認できていない。ICT活用に関するセキュリティの確立や端末持ち帰りの規則整備の遅れ、教員のノウハウの不十分さなどが背景にある。1人1台端末が整った一方で、オンライン学習の環境整備が決して万全ではない現状が見て取れる。

 道は15日、感染拡大が特に顕著な札幌、小樽、旭川の3市と石狩管内を「特定措置区域」に指定。他地域より強い措置を講じることを決めた。

 道教委は、特定措置区域の学校における留意事項を発出。小・中学校に対し、時差通学や授業時間の削減、分散登校とオンライン学習を組み合わせた取組などの対応を検討するよう求め、区域外においても衛生管理マニュアルの基づいた感染症対策の徹底を要請した。

 20日現在の道内35市における対応をみると、宿泊的行事や運動会・体育祭など各種行事の実施見合わせ、または延期、規模を縮小しての開催などを決定。部活動においても原則または完全休止を講じている。

 一方で、分散登校や授業時間の削減の実施などを検討する自治体は、特定措置区域内の1市で下校時間30分繰り上げを要請しているのみ。他の34市では統一した動きはない。

 学校などからは、「宣言期間が2週間と短い」「短縮授業等の導入後、すぐに通常授業に戻すことを考慮すると、導入する負担が大きい」「(昨年の長期休業措置を受け)分散登校による授業時間減少のデメリットも踏まえなければならない」「保護者への負担増につながるのでは」などと懸念する声があり、分散登校などの実施に当たっては学校個々の判断にゆだねられている状況にある。

 オンライン学習については、緊急事態宣言下において、特定区域外の複数の自治体で導入を検討または準備する動きがあるものの、区域内外を問わず、現段階でオンライン学習の実施に踏み切れていないのが実情だ。

国のGIGAスクール構想によって、急ピッチで進められた1人1台端末環境の整備。2年度末には、ほぼすべての学校に端末が導入された。

 一方で、端末のセットアップ完了がことし4月下旬だったり、5月中旬の端末接続テストが行われたりと、オンライン学習の環境整備状況が必ずしも万全とは言えず、自治体間はおろか学校間でも差異がある。

 端末持ち帰りの規則整備、セキュリティの設定も「まさに整備中」という自治体もある。「オンライン学習導入モデル事業など、一部先行していた学校はともかく、教育支援クラウドなどを有効に活用する教員のノウハウが十分ではない」という指摘は少なくない。

 行政関係者は、オンライン学習について「足並みをそろえてではなく、分散登校との組み合わせなどを含めて、準備が整った学校からできることを進めてほしい」と早急な対応を訴える。

 緊急事態宣言から1週間が過ぎた。特定措置区域外においても感染者数が増加するなど一日当たりの新規感染者数に減少の兆しがみえない中、緊急事態宣言の期間延長を危惧する声は日ごとに高まっている。関係者は「昨年の緊急事態宣言による長期休校措置を教訓に、今後に備えてオンライン学習の準備を急がなくては」と危機感を強めている。

(コロナウイルス関連 2021-05-26付)

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