札幌市 4年度国家予算等への重点要望
(札幌市 2021-06-18付)

 札幌市が14日の市議会大都市税財政制度・災害対策調査特別委員会に報告した令和4年度国家予算等に対する重点要望案における教育関連分の概要はつぎのとおり。

▼子ども・子育て支援の充実・強化

▽保育士等の処遇改善に向けた支援

 札幌市においては、待機児童数ゼロを達成したものの、保育の利用申込児童数は、引き続き増加している。

 これまで、女性の社会進出等による保育ニーズの増加に合わせて、施設の整備を進め、保育の質の向上にも努めてきたが、人材確保の困難化などもあり、保育定員を満たしていない施設の割合が増加している。

 保育ニーズの多様化・複雑化に伴い、保育現場の負担が重くなっていることなどを踏まえ、安定的な人材確保や職場定着に資するよう、国の責任においてさらなる処遇改善を講じることを要望する。

▽国による子ども医療費助成制度の構築

 札幌市を含むすべての地方自治体が独自に子どもの医療費助成を実施しているが、財政負担も大きく地方自治体間で助成内容に差が生じている。

 子どもの医療費軽減は、国を挙げた少子化対策の推進にも寄与することから、全国一律の子ども医療費助成制度の構築を要望する。

▽多子世帯への利用者負担額の軽減措置の拡大と必要な財源措置

 元年10月の幼児教育・保育の無償化に当たり、多子軽減の取扱いを従前どおりとした結果、同一世帯内においては、施設を利用する子どもの数が少ないときの方が、負担が重たくなる逆転現象が生じているほか、世帯間においては、子どもの年齢の差等によって負担の差が生じている。

 国を挙げて少子化対策、子育て支援に取り組むに当たり、こうした幼児教育・保育の無償化に起因する現象は、多子軽減の趣旨に鑑み、多子世帯への利用負担の軽減措置の拡大をもって解消すべきであり、子どもの年齢の差などによって不公平が生じないよう、多子軽減にかかる同時入所要件の撤廃など国の責任において適切な制度を構築するとともに、必要な財源措置を講じることを要望する。

▼多様な教育環境の整備

▽少人数学級の推進に向けた教職員定数の拡充

 学級編制の標準について、小学校では3年度に第2学年を40人から35人に引き下げ、7年度までに段階的に全学年を35人に引き下げることとなったが、中学校では40人のままであり、札幌市を含め加配定数等の活用によって少人数学級を実施している地方自治体がある。

 誰一人取り残すことなく、児童生徒の個性に応じたきめ細かい指導の実現を目指し、少人数学級を推進していくため、関係法令等の改正によるさらなる教職員定数の拡充を要望する。

▽公立夜間中学の設置に向けた支援

 札幌市においては、4年4月の公立夜間中学の開校に向けて準備を進めているが、教員等の配置に当たっては、制度上、通常の中学校と同様とされている。

 しかし、夜間中学には義務教育未修了者や形式的卒業者、外国籍生徒などの多様なニーズが想定されるため、きめ細かく対応できる学校運営体制が実現できるよう、教職員定数の拡充や、スクールカウンセラー、日本語指導補助者などの活用にかかる補助率の引き上げをはじめとした制度改善を要望する。

▽GIGAスクール構想推進にかかる財源措置

 GIGAスクール構想によって1人1台端末環境が実現したが、無線LAN保守費用や学習者用のソフトウェアライセンス費用など、継続的に必要となる運用経費については、札幌市が必要とする額に対して十分な財源措置が講じられておらず、今後の運用に支障を来すことが危惧される。

 そのため、1人1台端末の効果的な運用に必要な費用について継続的な財源措置を要望する。

▼学校施設整備にかかる国庫補助の拡充および財源の確保

▽安全かつ良好な教育環境の維持のため、平成28年3月に札幌市学校施設維持更新基本計画を策定し、老朽化および改築需要の本格化に対応する今後30年間の整備方針を明確化した。

 この計画においては、改築事業量の平準化を図るため、長寿命化改修に取り組んだ上で8年度までは年3校ペースで改築を進めるとしている。

 学校施設の長寿命化を着実に推進するため、公立学校施設整備国庫負担金および学校施設環境改善交付金の拡充と十分な財源確保を要望する。

(札幌市 2021-06-18付)

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