札幌市学校保健会 目の健康守る研修会 PC活用 正しい姿勢で 屋外活動で近視化を防止(札幌市 2021-06-17付)
子どもの目の健康を守る必要性を訴える天野院長
札幌市学校保健会(松家治道会長)は15日、札幌市医師会館で令和3年度学校保健研修会を開催した。市内の教職員約90人がオンラインなどで参加。同会理事で川沿眼科の天野珠美院長が「児童生徒の目の健康を守る~GIGAスクール構想開始にあたって」と題して講話し、目の仕組みやパソコン・タブレットを使用する際の注意点を解説した。
同会は、医師や学校関係者、PTAの代表者が集まり、児童生徒の健康増進に向けた活動を展開。例年、6月に研修会、12月に研究大会を開催している。
今回は、1人1台端末の整備完了に伴い、授業におけるパソコン・タブレットの使用時間増加による子どもの視力低下に対する懸念が広まっていることから、視力をテーマとした。
天野院長は「学校として児童生徒の目の健康を守るために何ができるか」と投げかけ、「テレビが誕生し、パソコンやタブレット、スマートフォンが普及したことで、より近い距離のものを見続けるようになってきている」と指摘。時代の変化に伴い、世界的にも近視の人口が増加していることを伝えた。
つぎに、小・中・高校生における裸眼視力1・0未満の割合について、令和元年度には高校で67・6%、中学校で57・4%、小学校で34・5%と説明。
昭和54年度以降、最も割合が低かった年と比べ、高校で16ポイント、中学校で22ポイント、小学校で17ポイント、それぞれ大幅に増加したことをグラフで示した。
天野院長は「近くのものを見るときは、目の筋肉などが緊張状態になる。その状態が長く続くことで、目の形が焦点を合わせるために勝手に変わってしまう」と、近視になるまでの過程を説明。「近視になることで、白内障や網膜剥離などのリスクも大きくなる」と述べ、幼児期・児童期の段階から未然防止を推進するよう呼びかけた。
タブレットなどを授業で使用する際は、「いすに深く腰かけて背筋を伸ばし、画面から目を30㌢㍍以上離す」「蛍光灯や光源の映り込みを避ける」「長時間画面を見続けず、30分たったら、20秒以上は遠くを見る」などと注意を促した。
また、太陽光に含まれているバイオレットライトを浴びることで、目の形を変える動きが軽減されることや、屋外活動の時間が長いほど近視になる割合が低くなることをグラフで紹介。「バイオレットライトは外なら日陰でも浴びることができるが、室内の光では浴びることが難しい」と述べ、教室などに太陽光を取り入れる工夫や屋外活動の積極的な実施を求めた。
天野院長は「これから様々な目の健康に関する問題が出てくることが想定される。学校と学校医が協議する時間を取ることは難しいが、学校健診の際には、しっかりと情報交換してほしい」と訴えた。
質疑では、参加者から「遠くを見る際の具体的な距離は」などの質問が挙がった。
天野院長は「およそ5~6㍍の距離が目安」などと回答した。
最後に、札幌市立北野台小学校の堀江仁教頭が謝辞を述べ、「子どもの目を守るために、参加者による情報発信・啓発につながってほしい」などと期待を寄せた。
(札幌市 2021-06-17付)
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