札幌市立高・特校長会 2年度事業報告 研究紀要から 第13回(札幌市 2021-06-17付)
◆養護教諭連絡協議会②
【各学校での感染症対策(各校報告から一部抜粋)】
▼保健室内の感染症対策
▽ベッドに寝るのは貧血や生理痛など、原因がはっきりしている場合のみ。迎えまで時間がある生徒は、奥のソファーで短時間のみ休養させ、使用後すぐに拭き取りしている(市立札幌大通高校)
▽使用後に拭き取りができるよう、休養はベッドを使わずソファとする。保健室内を仕切り、感染者とそれ以外の生徒が接触しないようにする(市立札幌新川高校)
▽1階の職員トイレは保護者も使用するため、電源を人感センサーにした。各教室の電気のスイッチに抗菌シートを貼り、さらに週1回アルコール消毒を行う(豊成養護学校)
▽養護教諭の座席を横並び、L字型の配置へ変更、十分な距離を確保。テーブルの位置を移動、いすの減数等、来室生徒との距離と動線に配慮するなど、室内配置も工夫した。内科系・外科系の処置エリアは、掲示・ついたての活用で区分した(市立札幌藻岩高校)
▽休校中は、担任による定期連絡から、必要に応じてスクールカウンセラーによる電話相談につなげた。担任面談や保健室等において、子どもたちの心に寄り添い早期相談につなげた。保護者の不安が子どもに大きく影響することを考え、保護者面談も勧めた。陽性者の動線確認に備えて、保健室内の簡易間取りを作成し、生徒の動きをメモして保存した(市立札幌清田高校)
▼保健室外の感染症対策
▽コロナ差別・偏見防止授業・シトラスリボンプロジェクトへの参画。本校生徒で1人の陽性者が発生し、1学級が閉鎖となった際、出席停止中の生徒が安心して学校に復帰できるように、「差別・偏見をなくそうプロジェクト」の資料をもとにピアサポート授業を各学年で行い、差別をしない気持ちを表明した掲示物を作成した(市立札幌豊明高等援支援学校)
▽休業中の生徒の健康観察について、本校は全員がiPadを所有しているので、iPadを活用し、iTunes Uを使って健康観察を行った。休業中のメンタルヘルスに関してはスクールカウンセラーからの動画配信を計4回行った(市立札幌開成中等教育学校)
▽学習発表会時には各家庭保護者2人まで参加可能とし、参加者用「健康観察記録・体温表」を事前に配布。受付で体温測定・消毒後の入場とした(札幌山の手支援学校)
▽職員の密回避のため、スクールカウンセラーによる教員向けストレスマネジメント研修会を休校中に3回に分けて実施。ディスタンス、咳エチケット、健康管理、手洗い、消毒、ゴミの捨て方など「新みな杜様式」を検討した。ストレスアンケートの実施。ストレス点数の高い生徒から優先的にスクールカウンセラーにつないだ。生徒向けストレスマネジメント学習をした(市立札幌みなみの杜高等支援学校)
▽医療的ケア時の対応として、フェイスシールド、プラスチック手袋、マスク着用、給食時は使い捨てエプロンを着用し、発熱の場合、保護者が対応した(北翔養護学校)
▽校内での感染症対策は、管理職が中心となって行っている。養護教諭は状況に応じて意見を伝えている。基本的に市教委の通知に準じて対策している。用務員による校内消毒。生徒ホールや教室等各個所に手指消毒用アルコールを設置。各教員の判断で必要に応じて手指消毒用アルコールを設置できるように職員室に予備を置いている(市立札幌旭丘高校)
▽カウンセラー、教育相談員会との連携など、生徒への感染予防や学年集会での感染症予防の徹底。不安をもっている生徒への対応、ほけんだより、教室掲示資料による感染症予防を徹底した(市立札幌平岸高校)
▼助言・指導
▽市教委・半澤郁子指導主事
各学校で対策をしていただいたことに、心より感謝申し上げる。レポートでは保健室でのきめ細やかな対応から、「組織として」「学校医等と連携して」の取組まで各学校の工夫が報告された。
今回の各学校の取組と本協議会での交流が、今後の学校保健の推進や、子どもの健康課題の解決(特に学校において感染症は、たびたび対応を求められる健康課題である)に生かされることを期待する。
▽小山学担当校長
新型コロナウイルス感染症という未知のウイルスに振り回された1年であったが、2年度の協議会の形態のプラスの効果として、各校が保健室を中心に知恵を出し合い、協力し合って丁寧に対応してきたことを共有することができた素晴らしい機会であったと感じている。
これからも続くであろう「感染症対策」をこれまでの「あたりまえ」を見直す機会とプラスにとらえ、未来の学校教育の糧にできることを願っている。
【おわりに】
2年度の本協議会運営に尽力してくれた札幌大通高校の幹事2人に感謝。
4年目となる本協議会は、コロナ禍での運営となったが、図らずも協議会自体の課題を振り返る良い機会となった。各校担当の先生方へのアンケート調査では、日常の執務交流、学校保健の情報交換、ミニ研修会、文部科学省・市教委からの連絡説明など多岐にわたるニーズがある一方、連絡協議会の開催方法については、養護教諭複数配置校の減少や日々の業務の多忙さを反映して、集合形式にこだわらない提案もされている。
今後に向けては、本協議会設立の主旨を引き継ぎながらも、現場の先生方のニーズと状況に合わせた運営が求められているととらえ、次年度につなげていきたいと考える。
最後に、本会がますます発展し、市立高校・中等教育学校・特別支援学校の支えとなる協議会となるよう期待する。
(札幌市 2021-06-17付)
その他の記事( 札幌市)
子ども・子育て会議児童福祉部会 SSW講師に校内研 学校の取組報告 札幌市
札幌市は14日、第1回市子ども・子育て会議児童福祉部会をオンラインで開催した。委員8人が出席。児童虐待防止に関する業務改善策や児童相談体制の強化状況などについて協議し、学校関係では、高校に...(2021-06-18) 全て読む
札幌市 4年度国家予算等への重点要望
札幌市が14日の市議会大都市税財政制度・災害対策調査特別委員会に報告した令和4年度国家予算等に対する重点要望案における教育関連分の概要はつぎのとおり。 ▼子ども・子育て支援の充実・強化 ...(2021-06-18) 全て読む
夕張メロンなどを寄付 サッポログループ 保育所に
札幌市と連携してまちづくりを進めるサッポログループは、新型コロナウイルス感染症対策に努めながら保育を実施する市内の施設の職員に対して夕張メロンおよび炭酸飲料を寄付した。市内の認可保育所など...(2021-06-18) 全て読む
札幌市 アニマドーレガイダンス 積極的に参加し成長を 本道の農と食魅力確認
札幌市立高校生を対象に食と農業に関する教育プログラムを実施するアニマドーレはプロジェクトにかかわって、札幌市立学校間連携プログラム「アニマドーレ2021ガイダンス」が13日、オンラインで開...(2021-06-18) 全て読む
札幌市学校保健会 目の健康守る研修会 PC活用 正しい姿勢で 屋外活動で近視化を防止
札幌市学校保健会(松家治道会長)は15日、札幌市医師会館で令和3年度学校保健研修会を開催した。市内の教職員約90人がオンラインなどで参加。同会理事で川沿眼科の天野珠美院長が「児童生徒の目の...(2021-06-17) 全て読む
前年度比31件減49件 札幌市教委2年度体罰電話相談
札幌市教委は、令和2年度の体罰電話相談窓口への相談件数をまとめた。前年度比31件減の49件(同一人物からの複数の相談を含む)の相談が寄せられた。市教委では、今後も研修等を通じて体罰根絶に向...(2021-06-17) 全て読む
札幌旭丘高の新学科名称決定 数理データサイエンス科 4年度設置 2学級80人
市立札幌旭丘高校(林恵子校長)に令和4年度新設する新学科の名称が「数理データサイエンス科」に決定した。14日の教育委員会議で可決・承認。普通科8学級(320人)のうち、2学級(80人)を転...(2021-06-16) 全て読む
札幌市立高・特校長会2年度事業報告 研究紀要から 第12回
◆養護教諭連絡協議会① 【はじめに】 養護教諭連絡協議会は平成29年度から開催され、本年度で4年目となる。市立高校、中等教育学校および特別支援学校に勤務する養護教諭が一堂に会し、生徒の...(2021-06-16) 全て読む
札幌創意工夫教育研 3年度事業等 新会長に岡田校長(澄川小) 9月19日から第52回作品展
札幌創意工夫教育研究会は本年度事業計画、役員を決定した。事業計画には、9月19日から2日間に渡って第52回札幌市創意くふう作品展を実施することなどを盛り込んだ。新会長には、澄川小学校の岡田...(2021-06-16) 全て読む
指定都市市長会が提案・要望 負担軽減へ財政支援を 国の4年度施策・予算で
札幌市を含む指定都市市長会の令和4年度国の施策および予算に関する提案の素案が、14日の札幌市議会大都市税財政制度・災害対策調査特別委員会で報告された。国に対し、GIGAスクール構想の推進に...(2021-06-16) 全て読む