大学入試あり方検討会議提言案　英語民間試験活用困難　マーク式で思考力発揮を

（国 2021-06-23付）

　文部科学省の設置する大学入試のあり方に関する検討会議は２２日、これまでの審議結果を整理した提言（原案）をまとめた。大学入学共通テストにおける英語民間検定試験と記述式問題の導入の実現を困難と指摘。文科省は今後、提言をもとに令和６年度の高校新学習指導要領に対応した大学入学者選抜の予告を作成し、高大接続の関係施策の改善を図っていく。

　会議は、元年に発表された大学入試英語成績提供システムと大学入学共通テストにおける国語・数学の記述式問題の導入見送りを受け、今後の試験のあり方を検討するために同年１２月設置。外部有識者からのヒアリングや大学のアンケート調査を踏まえ、２２日の第２７回会議で提言の原案を示した。

　提言は、①大学入学者選抜のあり方と改善の方向性②記述式問題の出題のあり方③総合的な英語力の育成・評価のあり方④大学入学者選抜をめぐる地理的・経済的事情、障害のある受検者への合理的配慮等への対応⑤ウィズコロナ・ポストコロナ時代の大学入学者選抜―で構成。

　記述式問題については、一定の意義を認めつつも、５０万人以上が同一日・同一時刻に受検する場合に採点者の確保や採点精度などの課題から導入が困難と指摘。従来のマーク式問題の中で知識の理解の質を問う問題、思考力・判断力・表現力などを発揮して解く出題を一層工夫すべきとした。

　英語成績提供システムを介して英語資格・検定試験のスコアを一元的に活用する仕組みに関しては、会場数、受検料、実施回数など試験によって差があることや、コロナ禍で資格・検定試験の中止・延期が生じたことなどの課題を踏まえ「実現は困難と言わざるを得ない」と指摘。

　引き続き、マーク式問題とＩＣプレーヤーを使用して実施する方式とし、「読む、聞く能力を中心に、話す、書くを含めコミュニケーション力を支える知識なども評価し、高校までの教育で培った総合的な英語力を可能な限り評価する方向で不断の改善を図っていくことが望ましい」とした。

(国 2021-06-23付)