札幌市社会教育委員会議 地域課題に対応する社会教育の在り方第3回 住民参画の地域づくりへ 課題解決の方向性6点に整理(札幌市 2021-06-29付)
◆課題解決に必要な 視点と方向性
社会教育は、個人の成長と地域社会の発展の双方に重要な意義と役割をもつものであり、その要となるのが学びの場を通じた住民相互のつながり。人口減少やコミュニティの衰退を受けて、住民参画による地域づくりがこれまで以上に求められる中、社会教育を基盤とした「人づくり」「つながりづくり」「地域づくり」の重要性は地方行政全体を通じてますます大きくなっていることが指摘されている。これらの3つの視点は、今期のテーマにおいても課題解決のために重要かつ必要な視点であるとともに、社会教育の根幹とも言える。
ここでは、3つの視点である「人づくり」「つながりづくり」「地域づくり」を踏まえ、課題解決の方向性についてつぎの6点を整理した。
▼方向性1=一人ひとりが「自分事」としてとらえるようになること
行政にできることは、「人を育てる」「地域を育てる」ことだと考える。そのためには、住民が自分たちで正解を見つけ出せるよう、試行錯誤しながら考えていける場(プラットホーム)の環境を整えていくことが求められている。
事故や災害が起きたとき、自ら行動できるような意識を育むことが、これから子どもたちを育てていく上で大切なことであり、住民自らの意識や行動を変えていくことを支えるのが社会教育行政の大切な役割。
▼方向性2=孤立を生み出さない学び
災害に対応するためには、平常時からアンテナを張って、周囲の人や行政等とつながっておくことが重要。
災害が発生することで、地域の課題が浮き彫りになる。そのため、災害について考えることは、地域をつなぎ直すヒントを得たととらえることもできる。
市民が日々の生活や問題に対して、個人や身近な人たちとのかかわりの中でどう向き合うかだけでなく、社会や行政に対しても意見を述べ、議論をしながら実践的に提案していく、そうした力を付けることを支えるのが社会教育の役割。
▼方向性3=大人と子どもがつながる学び
子どものうちから地域の中で様々な活動を体験することは、将来的に地域を担う人材を育てることにつながると考える。そのためには、大人が子どもを巻き込み、地域活動の楽しさを伝えながら、地域を想う気持ちを育むことが大切。
子どもの学びが家庭や大人に浸透するような機会の創出が非常に重要であり、社会教育として、子どもの学びを大人へ伝播・波及するような場を提供していく必要がある。
▼方向性4=多様な人材のネットワーク構築
防災はすべての人に共通するテーマであるため、それをきっかけに住民が集まることで地域の力を強くすることが可能と考える。
札幌市における地域の拠点としては、区民センターや地区センター、コミュニティセンター、公民館等が想定されるが、それらの施設に配置されている社会教育の専門的な知識や技術を有する人材が、住民らの活動を支援するのが社会教育行政の役割。
地域には顕在化していないリーダーとなり得る人材が多くいる。育成だけではなく、行政とつながり、活発に活動を展開できる環境整備を考える必要がある。
▼方向性5=身近な学習環境の充実
住民の生活スタイルの変化に合わせ、町内会のような形だけではなく、地域の中で気軽に交流できる場をつくることが防災に有効だと考える。そのため、学校に限らず、必要なときに集まることのできる場所の共通理解や、顔見知りを増やす環境を整えることが必要。
▼方向性6=民間等の現有資源の有効活用
地域における希薄な人間関係が問題視されているが、その一方でつながるためのツールの選択肢は増えている。これからは町内会や自治会等の地縁のみにこだわることなく、多様なコミュニティを認めるとともに、地域のために活用することが必要。
若者は、SNS等で多様な人たちとつながっている。災害時には、こうした近隣地域以外のつながりの方が、支援の力となることも考えられる。これからは、地域内の民間等の多様な団体組織とのつながりはもとより、地域を超えたつながりも重要。なお、その際には、対面によるつながりだけではなく、オンラインによる新たなつながりの形も考えていく必要がある。
(札幌市 2021-06-29付)
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