松前中　福島町内で郷土学習会　伊能忠敬の足跡たどる　地域理解深め郷土愛育む

（関係団体 2021-07-02付）

富久縞町・中塚建設㈱の中塚徹朗社長が講師を務めた

　【函館発】松前町立松前中学校（蛯子友正校長）は６月２９日、福島町内で郷土学習会を開いた。福島町内の建設企業・中塚建設㈱の中塚徹朗社長が講師を務め、伊能忠敬の偉業や地域とのかかわりを説明。生徒たちは地域への理解を深め、郷土愛を育むきっかけとした。

　松前町内の小・中学校では、道南の優れた歴史素材を生かした学習を進めており、昨年は松城小学校が福島町を訪問。伊能忠敬研究会（東京）の会員で福島町史研究会会長を務める中塚社長と、福島町教委の鈴木志穂学芸員に協力を依頼し、忠敬の足跡をたどった。

　小学校の学習会の内容が有意義だったため、中学校でも実施を計画。松前中２年生２５人が、吉岡総合センターと伊能忠敬北海道測量開始記念公園で学習会に臨んだ。

　吉岡総合センターでは、鈴木学芸員と中塚社長が伊能が測量に使用した道具や測量方法などを紹介。中塚社長は、忠敬が方角を確認しながら歩数で距離を測量したと説明した。

　「羅針盤に棒が刺さっているのは、地面に刺して使うためか」との生徒の質問に対し、「点と点の距離や角度を測るもの。方位を確認後、角度を測るために使用した」と解説。「１７年という長い歳月を費やし、正確に測量した」と述べた。

　公園に移動後、忠敬に扮した中塚社長が、北海道から測量を開始した理由を解説。江戸幕府がロシアの南下を恐れ、北海道の正確な地図必要としたことが背景にあり、忠敬が蝦夷地測量に向かうことになったと伝えた。

　また、福島町が測量の第一歩となった経緯を説明。当初、函館で測量を予定していたが、風の影響で船が流されて吉岡地区にたどり着き、公園のある場所から測量を始めたと紹介した。

　そして、道南の海岸を測量後、蝦夷地測量の終着点として松前町を訪れたと説明。「皆さんの町や隣の福島町と深いかかわりのある人物」とした。

　授業後、熊谷爽さんは「測量器を見て、自分たちのまちに伊能がいたことを実感した」と話していた。

　中塚社長は「忠敬が自分たちのまちに来て測量したことを知ることで、故郷に対する誇りをもってほしい。その偉業を通じて、今後何かに挑戦する際の励みになってくれればうれしい」と話していた。

松前中と松城小、大島小学校、小島小学校の町内全小・中学校４校で実施している松前学園の学園長を務める岩井栄一松城小校長は「今回は中学生向けの授業としてレベルの高い内容となっており、大変よかった。小中一貫教育の推進に向けても効果的だった」と振り返った。

(関係団体 2021-07-02付)