道教委 経験浅い教員の専門性向上 「平等と公平」考える 小清水中・山下教諭が授業(道・道教委 2021-07-15付)
特別支援学級の授業の様子
【網走発】道教委の特別支援教育総合推進事業「経験の浅い教員の専門性向上にかかる支援体制等構築研究事業」のリーダー教員による授業公開が6日、小清水町立小清水中学校(大崎禎浩校長)で開かれた。本年度、オホーツク管内のリーダー教員を務める小清水中の山下孔基教諭が、特別支援学級と通常学級の各1授業を指導。様々な認知トレーニングや、「平等と公平」をテーマに相手への配慮などを考えさせる授業を展開した。
経験の浅い教員の専門性向上にかかる支援体制等構築研究事業は、文部科学省の委託を受けて道教委が実施しているもの。特別支援教育ファーストステッププログラム(FSP)開発などの取組を進めている。
事業の一環として、経験の浅い教員に対するサポートなど、地域の小・中学校における特別支援教育の中心的な役割を担うリーダー教員を各管内から1人ずつ選定し、育成・活用を図ることとしている。
本年度、オホーツク管内のリーダー教員に選ばれた山下教諭は、採用時から長年にわたり特別支援教育に携わってきた。現任の小清水中では、前年度特別支援教育コーディネーターのチーフを担当。教育相談などの機会を通じて生徒や保護者の支援に努めてきた。
今回、近隣の小・中・義務教育学校で特別支援教育を担当し、経験が概ね3年未満の教諭を対象に山下教諭の授業を公開。特別支援学級の自立活動と、1年生の総合的な学習の時間の2授業を行った。
◆特支学級自立活動 認知トレーニング
特別支援学級の自立活動「認知トレーニング」(生徒数・知的学級1~3年生4人)は、特別支援教育FSPの趣旨を踏まえ、様々な認知トレーニングの実践を取り入れ、教員に紹介する授業構成とした。
本時は、「何が一番」「サイコロ」「足りない数字をみつけて計算しよう」「色読みテスト」「ナインタイル」「チャチャキューブ」「つみき」の7種類の認知トレーニングを展開した。
うち、「何が一番」は、聴覚性の短期記憶と文章理解に関するトレーニング。「キリンさんの家は、ゾウさんの家より大きい。ライオンさんの家は、キリンさんの家より大きい。一番小さい家に住んでいるのは誰」といった比較に関する質問文を2回音読し、答えさせた。
生徒は質問文を聞いたあと、端末を活用しGoogle Formsを通して3つ程度の選択肢から解答。選択肢を用意することで、慣れない生徒や短期記憶の弱さを抱える生徒でも取り組みやすくした。
答え合わせの際は、質問文の内容をイラストで表したものをテレビに映し出して解説。情報を視覚的に理解できるよう工夫した。
◆通常学級の総合 相手への配慮とは
続く1年A組総合的な学習の時間「平等な社会・公平な社会」(生徒数41人。うち特別支援学級2人)は、特別支援学級以外でも特別な支援が必要と考えられる生徒が在籍していることからも、集団としての在り方、相手に対する思いやりや配慮、その方法について考えさせる機会とした。
山下教諭は導入で、偏りがなく誰もが等しい「平等」と、同じ条件にする「公平」の概念と違いを解説。「どちらも必要な概念だが、場合によって使い分けできる」ことを確認した。
その上で、動物園で高い壁から動物を見る親子のイラストを踏まえ、「踏み台を使うこと以外に“誰もが見やすくなる方法”を考えよう」と指示。
生徒たちはグループごとに協議を開始。話し合いで出た意見は、端末を使ってGoogle Jamboardに反映させた。
協議後、山下教諭は、「壁をガラス張りにするという意見が多い」「見る対象を絞るという意見もある」など、出された様々な意見を整理し、全体で共有。それを踏まえ、バリアフリーやノーマライゼーションの考え方について生徒の意見と結び付けながら紹介し、自分たちの考えと関連していることに気付かせた。
また、「骨折した仲間も参加できる体育祭の種目を考えよう」と2つ目の議題を示し、同様にグループで話し合わせた。
意見交流のあと、過去に同校の体育祭で行われた種目の工夫などを紹介し、実際の取組と自分たちの意見を比較して考えさせた。
今後、事業の一環としてリーダー教員によるモデル授業動画の配信なども行う予定。山下教諭は「子どもの特性や実態に応じて、取り入れられる実践を取り入れながら、充実を図ってほしい」と話す。
(道・道教委 2021-07-15付)
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