上教研 保護者コロナ禍アンケート 子・親のストレス増8割 端末持ち帰り 期待と不安(関係団体 2021-08-18付)
【旭川発】上川管内教育研究会(=上教研、鈴木薫会長)は、6月に管内小・中学校の保護者1524人から回答を得た「コロナ禍における家庭アンケート」の結果を公表した。コロナ禍でストレスが増加した児童生徒・保護者はともに約8割に上った。情報端末の持ち帰りに期待が寄せられる一方で破損や健康被害、ネットトラブルへの不安を抱えていることなどが分かった。
調査は、コロナ禍における管内の家庭の状況を把握し、学校教育への保護者の不安や要望をまとめることで、今後の教育活動の方向性を探る資料とすることが目的。6月11~18日、管内小・中学校の保護者を対象に実施し、小学校927人、中学校597人の計1524人から回答を得た。
質問は、コロナ禍における家庭生活の変化に関する内容や、タブレット端末の活用、今後の学校教育への期待と不安に関する内容など16項目。結果から、家庭で遊ぶ時間の増加に伴うゲームやメディアにふれる時間の増加や、外出自粛・家庭の経済状況の悪化などが原因とみられる子ども・保護者のストレス増加などがみて取れた。
また、約7割の児童生徒が情報端末を保有しているものの、3分の1の家庭でルールが決められていないことや、5%の家庭がWi―Fi未設置であることから、家庭への支援が必要であることが分かった。
端末の持ち帰りについては、情報活用能力や学習意欲の向上などに期待を寄せる一方、端末の破損や使いすぎ、ネットトラブルなどへの不安を抱えている。
今後の学校生活に対して、学校行事や学習面の不安がそれぞれ約6割。一方、学力・生活力の向上や感染症対策の徹底、学校行事の充実を期待する声も多いことから、各教科の指導に加え、様々な工夫を行いながら行事などの特別活動を保障していく必要性が明らかになった。
結果を受け、上教研は「コロナ禍が1年半続く中で、保護者の負担、不安、期待が予想以上に大きなものであることをあらためて実感した」と総括。家庭や地域の期待や要望に耳を傾けて「ウィズコロナ」の時代を切り拓いていくため、今後の管内全体の教育の方向性を導く1つの資料としてアンケート結果が活用されることを期待している。
アンケート結果は、上教研情報『かがやき』第393号やホームページ上で掲載中。概要はつぎのとおり。
◆7割が登校に不安
▼登校への不安
コロナ禍で、子どもの登校に「不安がある」保護者は13%、「少し不安がある」は57%と7割が不安を抱えている。「不安はない」が19%、「どちらとも言えない」は11%だった。
▼子どもの遊び場
コロナ禍における子どもの遊び場について、「家庭で遊ぶ時間が増えた」との回答は61%。次いで「変わらない」が31%、「外で遊ぶ時間が増えた」は7%だった。
▼ゲームやメディアの時間
コロナ禍で、ゲームやメディアにふれる時間が「増えた」のは72%。「変わらない」は28%で、「減った」は1%未満だった。
▼子どものストレス
コロナ禍で、子どものストレスが「増えている」との回答は27%、「少し増えている」は52%と、合わせて79%。「変わらない」は21%。「減っている」は1%未満だった。
▼保護者のストレス
コロナ禍で、ストレスが「増えている」保護者は42%、「少し増えている」は44%。計86%と、子どもより多い。「変わらない」は13%、「減っている」は1%だった。
▼家庭の経済状況
コロナ禍で、現在の経済状況が「非常に悪くなった」家庭は9%、「少し悪くなった」は24%と、合わせて約3割。「変わらないは」は64%、「どちらかと言えば良くなった」が2%だった。
▼感染者数の把握
北海道全体や住んでいる地域の感染者数について「毎日チェックしている」は71%、「時々チェックしている」は25%で、9割以上が感染状況を注視している。「気にしていない」は4%だった。
▼家庭での感染症対策
家庭における主な感染症対策について、「手洗い・うがいの励行」が最多の93%。次いで「外出自粛」が84%、「三密回避等」が56%で、「家庭でのマスク着用」「時間差の食事や黙食」はいずれも4%にとどまった。
◆端末使用のルール決定した家庭67%
▼情報端末の所持
子どもにスマートフォンやタブレットなどの情報端末を持たせている家庭は41%で、保護者と共用している32%を合わせると7割超。持たせていない家庭は27%だった。
▼家庭の使用ルール
家庭で情報端末を使用する際のルールを決めている家庭は67%。決めていない家庭は20%で、検討中の13%と合わせて約3割が家庭内ルールを決めていない。
▼通信環境
家庭にWi―Fi環境がある家庭は95%、ない家庭は5%だった。
▼情報端末の持ち帰り
情報端末の持ち帰りについて、「期待している」は26%で、「期待も不安もある」の48%と合わせると約7割。「不安がある」は9%、「期待も不安もない」が8%だった。
▼持ち帰りへの期待
持ち帰りに期待する理由は「情報活用能力の向上」が最多の66%、次いで「学習意欲の向上」が59%、「学習習慣の定着」が48%。「情報モラルの向上」は28%、「スケジュール管理力の向上」は23%だった。
▼持ち帰りへの不安
持ち帰りに不安を抱く理由は「情報端末の破損」が最多の55%、次いで「健康被害」が43%、「いじめ等のトラブル」が38%。「生活のリズムが崩れる」は33%、「学習時間に悪影響」が27%、「通信料等」が11%だった。
▼学校教育への不安
今後の学校教育で不安な点について、「学校行事」「学習面」がともに約6割。「友人関係」「生活面」がともに約4割で、「進路関係」が約3割だった。
▼学校教育への期待
今後の学校教育で期待する点について、「学力向上」が約6割、次いで「感染症対策の徹底」「生活力の向上」が約5割。「学校行事の充実」は約4割、「ICTの活用」「リモート授業の実施」「学校行事等のライブ配信」はそれぞれ約3割を占めた。
(関係団体 2021-08-18付)
その他の記事( 関係団体)
今日的教育課題解決へ 上川管内校長会が法制研
【旭川発】上川管内校長会(紺野元樹会長)は8月上旬、オンラインによる法制研究会を開いた。会員85人が参加。上川教育局の泉川佳孝企画総務課長、泉大吾教育支援課長を講師に招き、法制および教育経...(2021-08-20) 全て読む
上川管内小・中学校長教育研究大会 未来を切り拓く力育成 改革の旗手として学び深化
【旭川発】上川管内公立小・中学校長教育研究大会が8月上旬、オンラインで開催された。管内3校長会の校長や上川教育局職員など合わせて約200人が参加。道教委の池野敦教育部長による講演などを通し...(2021-08-20) 全て読む
上川管内校長会 3地区で研修会 情報交流通し資質向上 ICTや組織改革推進など
【旭川発】上川管内校長会(紺野元樹会長)は7月下旬の3日間、管内の北・中・南部の3ヵ所で地区別研修会を開いた。オンラインで行った中部地区研修会には会員約30人が参加し、情報交流を通して校長...(2021-08-19) 全て読む
日本ユニセフ協会が研修会 SDGs実現へ協議 子の視点で課題解決を
日本ユニセフ協会は、道ユニセフ・キャラバン・キャンペーン「ユニセフ研修会」を、17日にオンライン開催した。道内の各校種の教員や管理職約40人が参加。「持続可能な開発目標(SDGs)の実現に...(2021-08-19) 全て読む
後志小中学校長会が法制研修会 活用 迷ったら相談を スクールロイヤー制度理解
【小樽発】後志小中学校長会(齊藤信之会長)は8月上旬、オンラインで法制研修会を開いた。会員60人と小樽市校長会から17人が参加したほか、後志教育局の川端香代子局長が来賓として出席。札幌弁護...(2021-08-19) 全て読む
札幌で19年ぶりNIE全国大会 情報読み解く力を育成 新聞活用し深い学び期待
第26回NIE全国大会札幌大会が16日から2日間、オンラインで開かれた。大会テーマ「新しい学びを創るNIE~家庭、教室、地域をむすぶ」のもと、全国から1025人が参加し、基調講演やパネルデ...(2021-08-18) 全て読む
遠隔で9月3~24日 第61回道図書館大会
道図書館振興協議会などで組織する道図書館連絡会議と道立図書館は9月3日から24日まで、第61回道図書館大会をオンデマンド配信する。 テーマは「未来を拓く新時代の図書館」。 =BAC...(2021-08-17) 全て読む
3年度役員決定 吉瀬会長を再任 高校書道教育研究会
道高校書道教育研究会は、令和3年度役員を決定した。吉瀬献策会長を再任したほか、副会長に広尾高校の小島政裕校長を新任した。 本年度役員はつぎのとおり。=敬称略= ▽会長=吉瀬献策(帯広...(2021-08-17) 全て読む
北教組 具体的な運動方針概要(2021・2022年度) 自主編成運動を一層強化 「18の提言」学習深化、実践交流
【憲法改悪に反対し、教育基本法を元に戻す運動を進め、平和・民主・人権・共生・地球環境・自治の教育確立のため、みんなで平和憲法を守り、教育を創る道民運動を展開するとともに、学習指導要領と対峙し...(2021-08-17) 全て読む
道小・中・特女性管理職会が役員会等 “つなぐ”ことを意識し 来年度上川大会向け川島会長
【旭川発】道公立小・中・特別支援学校女性管理職会(川島康恵会長)は7月下旬、アートホテル旭川で令和3年度第1回役員会・研修会を開いた。本年度初の対面による会同で、役員や各地区理事ら34人が...(2021-08-16) 全て読む