予算特別委員会 3月26日(札幌市 2021-09-24付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼佐藤綾委員(日本共産党)
▼藤田稔人委員(自由民主党)
▼水上美華委員(民主市民連合)
【答弁者】
▼山本健晴児童相談所担当局長
▼山本真司子ども育成部長
▼竹田瑞恵子育て支援部長
▼加茂貴裕支援制度担当部長
=役職等は当時=
◆待機児童解消
Q
佐藤委員 札幌市では、平成25年度の保育所等申込児童数は2万3413人だったが、令和2年度は3万3306人、就学前児童数との割合では、26・8%から40・4%へと大きく増加している。
コロナ禍で学校が休業となったときも、保育所は開設し、エッセンシャルワーカーなど働く市民を支え、なくてはならないものと再認識された。
女性活躍推進を掲げ、女性の社会進出を進めていることもあり、今後も保育の需要は増加すると予想される。
市では、保育所の担う役割と重要性についてどう認識しているのか伺う。
A
竹田子育て支援部長 保育所は、入所する子どもの最善の利益を考慮し、健全な心身の発達を図りながら保育を行うことを目的としている。
また、保育に加えて、家庭や地域の様々な社会資源と連携を図りながら、入所する子どもの保護者に対する支援および地域の子育て家庭に対する支援などの役割を担っているものと認識している。
Q
佐藤委員 昨年10月、市民団体が首都圏と政令市の計100都市の4月時点を調査した結果、認可保育所を希望し、入所できなかった児童の割合が最も高いのが札幌市だった。
ことし4月入園に向けた保育所の1次申込の状況について伺う。
A
加茂支援制度担当部長 昨年11月に行った1次募集においては、申込者数が約7300人で、前年に比べ、約500人減となった。
申込者が減少したのは近年では例がなく、その要因として想定されるのは、教育・保育無償化に伴い、幼稚園における一時預かり等の利用者が負担減になったことによって、保育所に申し込まないケースが増えていること、また、コロナ禍による保護者の就労環境の変化などが考えられる。
Q
佐藤委員 1歳児やゼロ歳児が多い年齢別の待機児童数の傾向について、市はどう分析しているのか、また、その分析結果を施策に反映させてきたのか伺う。
A
加茂支援制度担当部長 1歳児の待機児童数が多いということだが、その理由については、育児・介護休業法で定める育児休業制度において、最初の休業期間が最長で1年ということになっていることから、育児休業を1年間取得したあと、復職に当たり、保育園に子どもを預けたいという保護者のニーズが多いと推測している。
1歳児をはじめとした待機児童の対応については、保育所の受皿の拡大のために、保育所の新設あるいは幼稚園の認定こども園化への移行、これらにかかる整備費用を補助している。
また、3歳未満の保育の受皿が特に不足している地域においては、小規模保育事業にかかる整備費補助を実施して、ゼロ・1・2歳の保育需要に対応している。
Q
佐藤委員 待機児童解消に向けた保育所の整備状況について、ことしの状況を伺う。
また、市の需要ランクで優先度を示した新設募集に対し、実際に事業者が応えてくれているのはどの程度あるのか伺う。
A
加茂支援制度担当部長 保育の受皿拡大に向けた令和2年度の施設整備状況について。予算2049人分に対して、1700人分を確保する見込みである。
事業者の応募については、保育の受皿が不足している区を単位として、新規の整備の募集を行っており、直近3年間に累計88件の応募があった。
市では、自宅近隣の施設を利用したいという保護者の要望が多いことを踏まえ、小学校区単位で保育所整備の必要度を高い順からA、B、Cの3段階に設定して、ホームページで公開をしている。
このうち、必要度が高いAまたはBの地区での応募が88件のうち62件と全体の70%を占めており、整備事業者が立地を検討する際には、市で設定している小学校区単位の必要度区分が大きな判断要素となっていると推測している。
Q
佐藤委員 現在、認可外保育所のうち、基準を満たさず、無償化の経過措置が適用されている施設はどの程度あるのか、また、経過措置の期間終了を見据え、基準を満たしていない施設に対し、どのように対応しているのか伺う。
A
竹田子育て支援部長 保育料無償化経過措置の対象である認可外保育施設と、そのうち指導・監督基準を満たしていない施設数について。現在、保育料無償化について、経過措置の対象となっている一般的な認可外保育施設、事業所内保育施設、院内保育施設および居宅訪問型保育事業所は、市内に合わせて201ヵ所あり、そのうち111ヵ所が国の定める認可外保育施設指導監督基準を満たしていない。
なお、この111ヵ所のうち多くは、基準を満たさない理由が書類の不備など軽易なものであることから、継続的な助言・指導によって改善が期待できるものと考えている。
基準を満たすための対策について。今後も引き続き、改善確認のための立入調査や巡回支援等において、経過措置期間を意識しながら、基準を満たすために必要な助言・指導を行っていきたい。
Q
佐藤委員 市が昨年3月に公表した市保育士等調査によると、フルタイムの保育士と保育教諭の平均年齢は34・6歳で、勤続年数は6・3年。年代別人数も30歳未満が全体の42・3%で、フルタイム職員は圧倒的に29歳以下が多く、30歳から39歳までは25・7%に減少する。その間に退職する人が多いと考えられる。
市では保育士等の勤続年数が短い理由をどう分析されているのか伺う。
A
加茂支援制度担当部長 保育士の勤続年数が全職種平均よりも短いという事象は、札幌市のみならず、全国的な傾向と認識している。この主な要因としては、保育士は資格職であることから、再就職が比較的容易であるなど、退職、転職に対する心理的抵抗が、ほかの職種に比べ、高くないことが想定される。
また、30年度に実施した市の調査において、退職理由として一番多く挙がった項目が結婚で、退職者のうち約42%が、この理由を選択していた。
このほか、長時間勤務であったり、給与面、健康上の理由も挙げられていたりすることから、職場環境による影響も少なからずあると認識している。
Q
佐藤委員 結婚や出産後も長く働き続けられるよう、処遇改善、保育士の職場の環境の改善など、就労の支援が必要だ。どう支援していく考えなのか伺う。
A
加茂支援制度担当部長 保育士人材確保においては、就業継続支援が大変重要と認識している。まず、保育士の処遇改善については、自治体それぞれが行うものではなく、国の責任において行うべきものと考えているが、市としては、その処遇改善が確実に実施されるように、保育士の賃金状況などをしっかりと伝えていきながら、引き続き国に対して要望していきたい。
また、就業継続支援に関する具体的な取組としては、これまでも、出産を控えた保育士がいる施設を対象に、産休を取得する保育士の代替職員の雇用費の補助であったり、産休に対しては実施してきている。
さらに、保育士の負担軽減を目的として、園内のICT化を推進するための補助だったり、保育周辺業務を担う人の雇用費を補助する保育支援者配置補助も行い、保育士の負担軽減を図っている。
元年度から開始した市内保育所ならびに、そこで働く人たちの実態調査を継続的に実施しながら、その結果を踏まえて、事業効果を検証しつつ、必要に応じて事業内容の見直すなど、引き続き、就労環境改善に向けて努めていきたい。
D
佐藤委員 市の一時金給付の施策や、産休取得などへの事業所への支援もあるが、国の両立支援等助成金の育児・介護休暇の支援や、不妊治療への事業者への支援などの制度を保育所で積極的に活用するよう周知することはもちろん、処遇改善や職場環境の整備が就労継続、ひいては待機児童の解消につながることから、市独自で支援策を上乗せすることを検討すべきである。
◆子の見守りや家庭児童相談
Q
藤田委員 市は青少年を見守る店の登録推進活動の意義をどのように認識しているのか伺う。また、この取組の実効性を高めるため、市はどのように関与していくのか伺う。
A
山本子ども育成部長 青少年を見守る店の登録推進活動は、たばこや酒類の販売防止など、青少年を有害な環境から守る取組を進めるとともに、地域が一体となって青少年を見守る意識を醸成することに活動の意義があるものと認識している。青少年育成委員会の委員からも、地区内の店舗とのつながりを深める機会になっているとの声をいただいている。
訪問記録については、各地区の青少年育成委員会などが活動を行う中で、委員が店舗訪問時の状況を必要に応じて記録するために配布しているもので、各委員の負担などを考慮し、作成を義務としているものではないが、提出いただいた記録は、各区において地区の青少年を取り巻く状況把握のための参考にしている。
取組の実効性を高めるためには、その時々の社会情勢を踏まえ、多様な観点から、情報を集め、青少年を取り巻く環境に対応した取組になるよう見直しを図っていく必要があると考えている。
今後は、これまで行ってきた青少年育成委員会の各区代表者が集まる全市の連絡協議会やコンビニエンスストアの業界団体などとの意見交換を通じた情報収集に加えて、地域の情報をよりきめ細かに収集する方法を検討して、必要な取組の改善につなげていきたい。
Q
藤田委員 現在、児童相談所や各区の家庭児童相談室に児童虐待の疑いがあるとして通告があった場合、それぞれ関係機関から情報を得ながら通告への対応している。
深刻な虐待を受けていれば、当然、子どもを保護するなどといった対応をとることになるが、現場の話を聞くと、虐待の疑いはあるものの、親子を引き離して保護すべき状況とまでは言えない場合も多く、また、虐待通告までは至らないが、気にかけておいた方がよい家庭も一定数あるように感じている。
その場合、児童相談所や家庭児童相談室が状況を把握しつつ、子どもや家庭に身近な地域住民が日常的な見守りを一定程度担うことになる。
現状、その場合の支援体制はどのようになっているのか伺う。
A
山本児童相談所担当局長 児童虐待通告を受けた場合、直ちに児童相談所などで安全確認を含め、必要な調査を行う。その結果、子どもを一時保護したり、相談を継続したりする場合は児童相談所などが支援を続けるが、それ以外は関係機関と調査結果を共有した上で見守りをしている。
具体的には、要保護児童対策地域協議会、いわゆる要対協が、構成員になっている保育所や幼稚園、小・中学校をはじめ、状況に応じて、病院や障がい児支援施設、地域の民生委員・児童委員などが支援の輪に加わって、見守り体制を構築している。
Q
藤田委員 児童福祉の直接的な関係者ではなくとも、地域の人材との連携や協働を図り、見守りなどの具体的な支援に加わっていただくことが欠かせないのではないか。今後どのように考えていくべきか伺う。
A
山本児童相談所担当局長 現在、対象となる子どもの見守りに当たっては、関係する機関が広く集まり、状況に応じて個別ケース検討会議を開催して、必要な情報共有を図り、方針を立てて支援している。
一方、支援機関の人ではなくとも、地域に居住し対象家庭との関係が深い人については、守秘義務を順守し、情報共有について保護者の理解を得た上で、個別ケース検討会議への参加を呼びかけ、そして、見守りなど具体的な支援をお願いするといったことも考えられる。
子どもの見守りの実効性を高めるためには、子どもに関係する様々な立場の人がそれぞれできることをしていくということが重要である。
このため、例えば、児童虐待防止活動に協力をするオレンジリボン地域協力員、こういったものに登録いただくなど、児童虐待防止に向けた理解を深め、広く見守りの担い手になる人を増やしていくなどの取組も進めていく。
Q
藤田委員 家庭児童相談室の今後の体制強化の方向性を伺う。
A
山本児童相談所担当局長 家庭児童相談室は、区単位で設置をしていることから、地域に身近な支援機関として、それぞれの地域の実情に応じて、きめ細かく関係機関とのネットワークを構築できるなどの利点がある。したがって、養育に不安のある家庭の見守りなど、支援に当たっては、家庭児童相談室が中心的な役割を果たしていくということが効果的でもある。
国は、子どもや家庭の相談支援を行う機能を、児童相談所だけではなく、子ども家庭総合支援拠点として全国の市町村に設置するということを求めている。
今後、市においては、この子ども家庭総合支援拠点の機能を家庭児童相談室を含む各区の保健センターへ位置付ける検討を進め、見守りを含めた支援体制を強化していく。
Q
藤田委員 第2児童相談所整備に関して、地域での説明会以降、パブリックコメントなどにおいて児童相談体制についてどのような意見が寄せられているのか、また、今後も地域への十分な説明が必要と考えているが、どのように進めていくのか伺う。
A
山本児童相談所担当局長 第2児童相談所の整備にかかる児童相談体制に関するパブリックコメントの意見をみると、設置に向けた職員体制の強化や専門職員の育成など、特に職員体制の充実を期待するものが多く寄せられた。
こうした声に対しては、第3次札幌市児童相談体制強化プランに基づき、計画的に職員を配置し、区や地域と一緒になって支援できるよう対応するとともに、体系的な研修による育成など、着実に取組を進めていく考えである。
地域への説明について。設置予定地の周辺地域に対しては、昨年10月に4回の地域説明会を実施し、町内会や民生委員児童委員協議会の会議などでも説明の機会をいただいた。
ことし2月からは、あらためて、周辺の町内会に対して、第2児童相談所設置の計画に関する町内会回覧をお願いしている。
今後とも、具体的な工事の内容やスケジュールが分かる段階などで、都度、丁寧に情報提供していく。
Q
藤田委員 令和3年度新規事業の困難を抱える若年女性支援事業の中で、思春期、若年期の女性たちが困難な状況に陥ってしまうことを未然に防ぐためにどのような取組をされるのか伺う。
A
山本子ども育成部長 若年期の女性たちが困難を抱える背景は、生まれ育った家庭環境や心身の問題、対人関係の不安定さなど多岐にわたるため、一つの問題だけを解決したとしても、また新たな困難を積み重ねてしまう可能性がある。
そのような状態を未然に防ぐためには、問題を早期に発見していく必要があるものと認識しており、若年期の女性たちの生活環境の変化や、困難が発生した場合にかかわりがある学校、児童相談所、母子保健、DV被害への支援、また生活支援などのほか、女性支援に取り組むNPOなどが連携して、支援に当たる必要があると考えている。
そのため、本事業では、公的機関と民間団体で構成する関係機関連携会議を設置して、相互に情報共有を図り、支援が必要な女性たちの問題の状況に応じて、関係機関につなぐこととしていく。
各支援施策のはざまにいる女性たちを早期に発見し、困難な状況に陥ってしまうことを防ぐため、庁内外の関係機関が密接に連携して、適切な支援につなげていけるよう、支援のネットワークの構築に積極的に取り組んでいきたい。
◆若年女性支援
Q
水上委員 若年女性を対象にどのような不安や困難を抱えているのかなどの実態調査を実施するに当たり、回答する女性たちの心理的負担を減らすため、どのような工夫を行ったのか伺う。
A
山本子ども育成部長 今回は、ヒアリング調査とアンケート調査の2種類を実施している。
ヒアリング調査は、実際に困難な経験がある女性と、その女性を支援している団体から聞き取りを行った。女性からのヒアリングにおいては、聞き手を女性のみで行い、いつでも中断してよいことなどを事前に説明して実施をしている。
一方、アンケート調査は、石狩管内の公立高校に通う女子生徒、また、公立高等支援学校の女子生徒、また、札幌市内に住む19歳から24歳の女性を対象に実施して、合計1672人から回答をいただいた。
公立高校の女子生徒はインターネットで、19~24歳の女性は郵送あるいはインターネットでの回答を選択できるようにするなど、回答方法にも配慮した。
さらに、アンケート調査は、北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センターと共同で実施し、発達心理学の専門家の意見を聞きながら、直接的な質問を避けて、言葉遣いを工夫するなど、回答者の負担に配慮したところである。
Q
水上委員 そのような多くの工夫と関係機関との連携や協力で実施された調査からみえてきた若年期の女性が抱える悩みなど、その実態はどのようなものなのか、また、女性たちを支援するに当たり、みえてきた課題とはどのようなものなのか伺う。
A
山本子ども育成部長 ヒアリング調査では、困難を抱える女性は、客観的にみると困難な状況であるにもかかわらず、本人たちには困っているという意識が薄く、誰かに相談するということが少ない一方、常に不安を抱えており、自己否定感が強いという姿がみえてきた。
また、アンケート調査では、相談相手や頼れる人がいないことに関して、不安があると答えた人が一定程度の割合でいたが、公的な相談窓口の認知度は低く、悩み事を抱えた際の相談先として、公的な相談窓口が選ばれることは少ない傾向にあった。
これらのことから、困難を抱える若年期の女性は、困難な状況に置かれているにもかかわらず、自ら相談窓口を訪れることが少ないため、支援のきっかけをつくることが難しいといった課題が挙げられるかと考えている。
Q
水上委員 今回の実態調査の結果を踏まえ、様々な不安や困難を抱えながらも、自ら助けてほしいと言うことができない女性たちが適切な支援につながるために、どのような取組を行っていこうとしているのか伺う。
A
山本子ども育成部長 本事業については、普段、行政とのつながりが薄い方々たちを対象とすることを想定しており、NPO等の女性支援団体などに委託して実施することを検討している。
相談窓口についても、広報さっぽろやチラシ、ホームページによる周知など、従来の方法だけではなく、SNSを用いた呼びかけや、インターネット上で気になる投稿や書き込みをしているといった対象者へのアプローチ、また、繁華街の巡回による声かけなどを実施し、積極的に支援と情報を届けていくことを考えている。
また、若い女性が気軽に立ち寄れる場所で、相談する、支援するといった堅苦しい形ではなく、友人同士のおしゃべりのような世間話の中から困っている状況を拾い上げるなど、従来の相談窓口とは違う支援のアプローチ方法をつくることが必要であると考えている。
今後の事業実施に向けては、庁内外の関係各所と、今回の実態調査の結果からみえてきた課題について共有し、より効果的な支援体制について検討していきたいと考えている。
D
水上委員 本当に大事なのは、この調査結果をどう政策に反映していくかだ。特に、若年女性という世代でくくったとしても、抱える問題や境遇は様々であり、ことし8月からの事業開始に向けて、初年度となることしは何に取り組むのかという点は非常に重要な要素である。この事業が多くの困難を抱える女性の支援につながることを切に要望する。
◆里親への支援
Q
水上委員 児童福祉法改正によって、子どもの家庭養育優先の原則が明記され、社会的養護が必要な子どもの里親等への委託の推進が掲げられた。
里親登録者の拡大に向けてどのように取り組んでいくのか伺う。
A
山本児童相談所担当局長 里親登録者の拡大に向けた取組については、里親制度の積極的な広報に加え、対象者を絞った周知も重要と考えている。
これまで、里親月間に合わせた普及啓発イベントを行ってきたが、令和2年度からは、里親リクルート事業として、年間を通じた登録里親の増加に向けた取組を強化している。
具体的には、里親養育の映像作品を札幌駅前地下歩行空間で上映した里親フェスタ、あるいは、気軽に相談できるよう、カフェでの説明会である里親“なんでも”相談会、子どもの一時預かりをする会員組織での説明会など、新たな取組を実施した。
里親登録は、例年であれば、毎年30組程度であるが、2年度は50組を超える見込みであり、一定の成果が出ているものと受け止めている。
今後は、保護者による養育が困難となった場合に、細かな世話が必要で預かり先が見つかりにくい乳幼児について、受託可能な養育里親の拡大に力を入れた事業を開始する考えであり、里親登録者のさらなる拡大に努めていく。
Q
水上委員 自立を控えた委託児童と里親に対する支援の現状について伺う。
A
山本児童相談所担当局長 児童相談所の里親担当職員や担当の児童福祉司の支援に加えて、委託経験豊富な里親あるいは児童福祉施設に配属されている里親支援専門相談員が、それぞれの関係性や専門性を生かした訪問支援を行っている。また、学齢児を養育中の里親同士の意見交換の場であるとか、高校3年生を養育中の里親に対して、進学に向けた給付型奨学金の一覧などの情報を提供している。
ただ、里親宅から子どもたちが自立して安心して希望する進学や就職のためには、可能な限り早い段階からの支援が必要である。
そこで、3年度は、里親養育を包括的に支援するフォスタリング機関を設置することから、関係機関がより一層連携し、進路の選択を支援する情報提供あるいは助言などを丁寧に行っていきたいと考えている。
Q
水上委員 市では、平成29年から社会的養護自立支援事業を開始し、施設入所や里親委託措置による支援が解除されたあとも、支援コーディネーターが中心となって、引き続き個々の状況に応じた支援計画を立てる仕組みを構築している。
保護者などに代わってしっかりと自立を支えていく取組は大変重要であり、事業の中心となる支援コーディネーターの動き方が、これら若者の安心した自立生活の確保に大きくかかわってくると考える。
支援コーディネーターが行う具体的な支援の流れについて伺う。
A
山本児童相談所担当局長 支援対象者が置かれている環境や進路はそれぞれ異なる。支援計画作成に当たっては、その状況や意向を丁寧に把握して、一人ひとりが抱える課題を整理する必要がある。
このため、支援コーディネーターは、措置解除となる日、多くは3月31日になるが、その3ヵ月前から、児童相談所、里親、そして支援対象者本人などと打ち合わせを重ねて、支援計画を作成する。
就職、自立をしたが、やむなく離職するなど、状況に変化が生じることもあるが、こうした場合も22歳の年度の末日まで、支援コーディネーターを中心に再度計画を立てるなどして、引き続き支援をしている。
その結果、離職してもすぐにつぎの就職先を見つけることができた、あるいは、職場の人間関係で悩んでいたが、転職も選択肢に入れて、安心して自分の進路を再検討することができたといった報告もあり、自立を下支えすることができていると受け止めている。
このような支援を着実に実施していくことで、里親から自立し、安定した社会生活の確保、これをしっかり支えていきたい。
D
水上委員 里親は、充実した職員数のもと、アフターフォローのノウハウが蓄積されている児童養護施設ではないので、里親自身が担う役割が大変大きいものと思う。そのため、子どもの安定した自立をしっかり支えるためにも、里親が安心して養育を担い、自立を後押しすることができるよう、里親を十分に支援することが重要である。
同時に、委託児童にとっても、その後の自立という大きな局面を迎えることから、本人の思いが尊重される取組が必要である。
そのためにも、委託された児童が主役であるという共通認識のもと、支援コーディネーターには、里親、委託児童ともに丁寧にかかわっていただきたい。
(札幌市 2021-09-24付)
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