札幌市議会質疑 予算特別委員会 3月18日
(札幌市 2021-09-22付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼田島央一委員(民主市民連合)

▼森山由美子委員(公明党)

▼田中啓介委員(日本共産党)

▼よこやま峰子委員(自由民主党)

▼たけのうち有美委員(民主市民連合)

▼小口智久委員(公明党)

▼村上ひとし委員(日本共産党)

▼藤田稔人委員(自由民主党)

▼石川さわ子委員(市民ネットワーク北海道)

【答弁者】

▼石川敏也副市長

▼田中斉スポーツ局スポーツ部長

=役職等は当時=

◆新琴似市民運動広場整備

Q田島委員 市民運動広場の整備を検討している新琴似にある市有地について、地下水や地盤沈下の状況について具体的にどのような観測結果だったのか、また、どのような理由で広場整備を進めても問題ないという見解に至ったのかを確認したい。

A田中スポーツ部長 試験盛土後の観測結果などについて。地下水については、土壌汚染対策法上、対策が必要となるのは、敷地外において汚染の濃度が1年間の平均で基準値を超える場合である。新琴似の土地の敷地外では、ホウ素が一時的に基準値を超えたのみで、汚染対策が必要な状況にはない。

 また、地盤の沈下については、盛土を行ったあと、半年程度でほぼ収束し、沈下量は当初想定していた50㌢㍍程度の半分以下となる約20㌢㍍程度にとどまっている状況である。

 地盤が沈下することによって、汚染された地下水の敷地外への流出が拡大することなども懸念されていたが、試験盛土の実施前と実施後で地下水に変化はみられない状況である。

 これらの観測結果から、広場整備を行った場合でも、半年程度で地盤沈下は落ち着き、将来的に地下水の状況が大きく変化する可能性は低いと見込まれる。

 令和2年度、地下水の汚染拡散など、将来的な予測に関する検討を進めている専門家委員会からも、これらの観測結果から、検討の途中段階ではあるが、広場を整備することについては問題ないとの見解が示されている。

Q田島委員 広場整備の内容を検討するに当たって、どのような制約があるのか、また、子どもから大人まで幅広い年齢層に楽しんでいただける広場の実現に向けて、どのような考えで検討を進めていくのか、市の所見を伺う。

A田中スポーツ部長 新琴似の土地については、深さが浅い範囲にごみが埋められていることから、現在の地盤面を掘削することは避ける必要があり、また、ごみがある部分の硬さは場所によって不均一で、かつ軟弱であることから、専門家委員会からは、地盤の沈下の影響を受けにくい利用内容にすべきとの意見をいただいている。

 このようなことから、重量がある構造物のほか、地盤沈下によって傾いたり倒れたりしてしまう可能性がある背の高いラグビーのゴールポストであるとかフェンスなどの設置は難しい状況である。

 これらの制約から、広場の整備内容については、地盤に負荷がかからず、多少の地盤沈下では影響を受けにくく、かつ地域からも要望があったパークゴルフ場が基本になると考えている。

 また、パークゴルフ場と同じように地域から要望があったラグビー場については、ゴールポストの設置などは困難だが、例えば、子どもたちがタグラグビーを体験することができるような、多目的な広場は可能と考えている。

 このように、複数の利用に対応する整備内容とすることで、子どもから大人、お年寄りまで、幅広い年齢層が楽しむことができる広場を実現したいと考えている。

◆スケートの普及振興

Q森山委員 冬を楽しむウインタースポーツは、雪国である札幌市にとって大切な文化であり、ウインタースポーツ普及への様々な取組がなされている。

 とりわけ、特に子どもたちが手軽にスケートを行える機会を創出することが、今後のスケート競技の発展や競技人口の増加につながるとともに、冬季オリンピック・パラリンピックの招致機運を高めていくことにもつながるものと考える。

 スケート普及振興のため、これまでどのような取組を行ってきたのか伺う。

A田中スポーツ部長 市には、夏も利用可能な2ヵ所の常設スケート場のほか、冬には計6ヵ所のスケートを楽しめる施設がある。

 このスケート場の利用促進、さらにはスケートの裾野拡大に向けた取組として、夏冬2回、全小学生を対象にしたスケート貸し靴料金を助成するさっぽろっ子ウインタースポーツ料金助成を実施している。

 また、令和元年度から、この助成に併せて、市内6スケート場を対象としたスタンプラリーを行うスケートチャレンジキャンペーンを展開している。

 このほか、平成29年度から開催しているウインタースポーツ塾においても、夏休みや冬休み期間中にスケートを体験する機会を設けているほか、フィギュアスケートについては、オリンピアンの渡部絵美さんを講師としたスケート教室を開催し、毎年、定員を大幅に上回る申込みをいただいている。

Q森山委員 スケートを継続してもらうための新たな取組についてどのように考えているのか伺う。

A田中スポーツ部長 スケートを継続してもらうためには、目標をもってスケートに取り組んでいくことが重要と考えている。

 このため、2年度から、小学生が気軽に参加できるさっぽろっ子スケートチャレンジ検定を新たに実施した。

 この事業については、札幌スケート連盟監修のもとに策定した独自のスケート検定で、スケート未経験者でも挑戦できる内容となっており、子どもたちが自宅で解説動画を視聴した上で自らスケート場に足を運んで練習に励み、レベルごとに定める技ができるようになったら、その成果を検定員に認定してもらうほか、検定員からも簡単な指導も受けられる内容となっている。

 この検定をきっかけとして、スケート場に何度も足を運んでいただき、さらには、練習成果の認定を受けることで、目標をもって技術を身に付けることができるもので、多くの子どもたちに参加いただく人気の高い事業となっている。

 次年度以降も、子どもたちが目標をもって自ら取り組んでいけるこうした事業を続けていくことで、スケートの裾野拡大、さらには、継続して取り組む環境づくりに努めたいと考えている。

D森山委員 2030年の冬季オリンピック・パラリンピック招致を目指す世界都市として、札幌出身選手を輩出するべく、スケート競技者の育成につながっていくような取組を、ぜひとも強く推し進めていただきたい。

◆冬季スポーツさらなる振興

Q田中委員 市は、市民のウインタースポーツ実施率の目標を、令和4年度までに25%にすると掲げているが、平成29年度は20・1%、30年度は21%、令和元年度は、コロナ感染症の関係もあったと思うが、18・6%と下がり、実施率はほぼ横ばいで、なかなか引き上がっていない状態が続いている。

 市の実施率を求める成果指標について、スポーツ全般のスポーツ実施率については、調査対象が20歳以上の成人すべて、週1回以上としているが、ウインタースポーツの実施率について、その調査対象は18歳から49歳までの市民と限定した上、さらに、年1回以上としている。

 1年間に1回でもスキーやスケートなどウインタースポーツをしたことで、ウインタースポーツを実施したとするのは、成果指標としてあまりにも基準が低いと思うが、見解を伺う。

A田中スポーツ部長 スポーツ実施率については、市民が年間を通じてスポーツを行った日数を調査して、日常的にスポーツに親しんでいる市民の割合を示しているものである。一方で、ウインタースポーツ実施率については、アンケート調査で、ウオーキングや水泳など、およそ40の運動、スポーツの種類のうち、スキーやスケートなどのウインタースポーツを選択した人を集計することで、日数にかかわらず、市民がウインタースポーツを行った割合を実施率としている。

Q田中委員 札幌市スポーツ推進計画において、ウインタースポーツを行う上で課題の一つが、経済的な負担が大きいことと挙げている。ウインタースポーツを行う上で妨げとなる用具購入や施設利用料などの経済的な負担の軽減を図るとして、市は、ウインタースポーツ実施率引き上げの具体的な取組として、スキーリフト料金の助成やスケート貸し靴補助などを行っているが、そのうちスキーリフト料金助成の対象は、当初、小学3年生だけだったが、令和元年度からは小学6年生まで対象を拡大している。

 このスキーリフト補助券は、児童生徒本人だけではなく、ファミリー券、親子券も対象になる。しかし、スキーリフト補助券利用率は、ウインタースポーツの実施率同様、2割程度と低調に推移している。

 2年度は対象を全小中学生に拡大したが、2年度のみとなっている。

 現状、スキーリフト補助券の利用状況をどう認識しているのか伺う。

A田中スポーツ部長 今シーズンのスキーリフト料金助成の利用状況については、12月、1月の利用人数は約1万8000人となっているが、まだシーズンの途中で、今シーズンの最終的な利用人数については把握できていない。したがって、利用状況の評価についても、シーズン終了後に分析したいと考えている。

 なお、スキー場から聞いたところでは、コロナ禍において、屋外で密を気にせず楽しめるスキーがあらためて評価され、子どもをはじめとした多くの市民が足を運んでいただいていると聞いている。

O田中委員 全小中学生を対象にしたスキーリフト料金助成を単年度にしないで、今後も継続していくことが、市民のウインタースポーツの実施率の引き上げにもつながっていくと思う。補助割合のアップなども今後は検討していくべきではないか。

Q田中委員 札幌市スポーツ推進計画において、冬季における公園、スキー山の活用促進として、市民が身近に雪に親しむことができる場として、一定以上の規模を有し、安全確保が可能な公園においては、スキーやそり遊びなどが可能な整備に努めるとある。

 現在、市には、この一定以上の公園はどれくらいあり、整備状況はどうなっているのか伺う。

 併せて、身近な地域でウインタースポーツができる環境整備のためにも、このような公園をいつまでにどれだけ増やすかなど、整備目標をもつことが重要だと思うが伺う。

A田中スポーツ部長 公園を所管しいるみどりの推進部によると、現在、公園にあるスキー山は、高さが低く、そり遊び程度を想定している築山を含めて320ヵ所ある。また、もともとの地形を利用したスキースロープが31ヵ所あるので、合計351ヵ所になる。

 整備状況については、平成28年から令和2年度にかけて再整備した公園のうち、築山がもともと整備されていた公園が26ヵ所あり、このうち築山を残した公園は24ヵ所、撤去した公園は2ヵ所となっている。また、この再整備を機に新たに築山を整備した公園が7ヵ所ある。

 なお、築山を撤去した2ヵ所については、使用実績が乏しいことや、平地にすることによって、地域のお祭りなど新たな利用が見込めるということで廃止になったと聞いている。

 目標については、公園の再整備に当たっては、その内容について地域住民の意向を確認しながら進めているので、築山の具体的な整備目標というのは定めていない。

Q田中委員 地域のスキーができるような公園は合計で351ヵ所あるという答弁だった。一方で、学校の校庭にスキー山を造らない学校があると聞いている。また、スキー場に行くスキー学習が、今までは年2回だったものが年1回に減らされている学校があるとも聞いている。

 市民のスポーツ実施率の引き上げに取り組んでいるスポーツ局として、こういう実態についてどう認識しているのか伺う。

A田中スポーツ部長 小学校のスキー学習の実態、あとは雪山の実態について。学校との情報交換の場において、近年の雪不足などによってグラウンドにスキー山を造成せずに、グラウンドの平地であるとか近隣の公園などを利用している場合があると聞いている。

 スキー場を利用したスキー学習の実施回数の減少については、コロナによる休校の影響によって授業時数が縮小したことや、コロナの感染リスクを減らすなどの感染防止対策を理由に実施回数を減らした学校があると聞いている。

 スキー学習については、雪の感触や雪上を滑る楽しさを子どもたちに体験してもらうために、各学校においては、いろいろ創意工夫のもと、実施されていると認識している。

Q田中委員 身近な公園にスキー山を整備できる公園がない市民もウインタースポーツを行えるようにすることが重要である。例えば、地域の親子が土・日など、学校の校庭にあるスキー山を利用できるようにすることは、ウインタースポーツの実施率の引き上げ、ウインタースポーツ文化として根づかせることにとっても有効だと思うが、見解を伺う。

A田中スポーツ部長 学校のグラウンドを使用するに当たっては、学校長の判断という形になるかと思う。

 学校については、体育館やグラウンド、学校開放ということで、いわゆるスポーツ施設としても現在も使われている。そのようなことも含め、学校の活用については今後も検討していきたいと考えている。

◆新琴似市民運動広場整備

Qよこやま委員 新琴似市民運動広場について伺う。用地は、北区新琴似769番地の約4㌶の広大な市有地で、昭和37年から42年まで、市のし尿ごみの埋立地として使われていた。

 平成27年度のアクションプラン2015において、地元の要望を踏まえる形で事業費8億5000万円が計上され、平成31年度に整備完了を見込むラグビー場とパークゴルフ場整備の基本計画案が策定された。

 ところが30年2月、基本設計と地質調査を実施した結果、想定を上回る軟弱な地盤であり、供用開始は最低でも令和5年度以降になる、また、ラグビー場については不陸があり、平面の調整に課題が残るのでかなり難しいのではないか、さらに、費用もアクションプランを大幅に上回ることが判明し、計画の見直しが必要になったと報告を受けた。

 アクションプラン2019では、4年間の計画事業費として7600万円が計上されているが、根拠を伺う。併せて、アクションプラン2019において、市民運動広場整備事業をどのような考え方で計画事業に位置付けたのか伺う。

A田中スポーツ部長 アクションプラン2019における計画事業費については、元年度に行った試験盛土や調査、解析に必要な経費のほか、計画期間内に実施する毎年度の観測費用を計上している。

 アクションプラン2019を策定した元年度については、平成29年度に判明した軟弱地盤や、敷地外で汚染物質が観測されたことへの対応に向けて、広場を整備した場合に、地盤の沈下や周辺の地下水の拡散など、どのような変化が生じるのかを確認するため、試験的な盛土を施工するなどの新たな取組を開始した時期である。

 こうしたことから、広場整備の方法や事業費などが見通せる段階ではなく、軟弱地盤などの状況によっては、その対策などに膨大な費用が必要になる可能性があることから、まずは、事業の方向性を見極めるために必要となる試験盛土や地下水などの観測にかかる費用を計上して位置付けたものである。

Qよこやま委員 令和3年度予算について、地下水調査費として500万円の計上のみで、広場の整備のための設計費は含まれていない。

 3年度予算案において、地下水の調査のみになっているのはどういう理由によるものなのか、また、なぜ広場整備のための設計費が見込まれていないのか伺う。

A田中スポーツ部長 広場整備に向けた検討については、2年度は、事業費に大きく影響する地下水の汚染対策を整理するため、試験盛土後の観測データに基づき、将来的な汚染の状況を予測する作業を進めている。

 地下水の汚染対策は、直ちに必要な状況にはないものの、専門家委員会からの提言に基づいて、広場を整備した場合の状況変化も念頭に、将来的な汚染の可能性も含め検討することとしており、この検討は2年度末までを予定している。

 現時点では、事業費の見通しを立てられる段階になく、設計費などを算出することは難しいことから、継続的な観測が必要な地下水の調査費などを3年度予算案に計上した。

 なお、3年度については、2年度までの取組によって整備内容の見通しを立てることが可能となることから、事業費などの検討を行った上で、事業化について判断する予定である。

Qよこやま委員 地域が待ち望んでいる新琴似運動広場整備完了は何年度あたりを見込んでいるのか。

A石川副市長 新琴似市民運動広場については、ごみ埋立地であったことに由来する様々な課題に対応しながら、安全な広場整備を目指して検討を進めてきた。これまで、専門家からの助言を受けながら、慎重に検討を進めてきたという状況である。

 こうした中で、想定外の問題の発生によって、やむを得ずスケジュールを見直さざるを得なかった。

 2年度までの取組によって、安全な広場整備の方向性がみえてきたという状況で、今後は、これ以上遅れることなく、早期に検討を進めたいと思っている。

 具体的な広場の整備の完了時期については、今後、実施設計を行い、その中で必要な工事期間が出てくるので、これを検討しなければはっきりした見極めはできないが、今後のスケジュールについては、3年度に事業化の判断と具体的な整備方法を検討し、4年度には実施設計、それ以降、早期に工事着手し、供用を目指していきたいと考えている。

◆冬季スポーツ普及振興

Qたけのうち委員 市における学校教育の重点である札幌らしい特色ある学校教育では、雪をテーマの一つに掲げ、雪に親しみ共生しようとする心を培う北国ならではの冬の体験活動として、スキー学習が実施されている。

 しかし、スキー学習は小学校ではほぼすべての学校で実施されている一方で、中学校では平成14年以降、スキー学習の実施率が低迷し、一時は3割を切る年があったと聞いている。

 実施率低迷の背景には、保健体育の授業時数の減少のほか、少子化に伴う教員数の減少があったとのこと。

 ウインタースポーツ振興を所管するスポーツ局として、中学校のスキー学習をどのように支援してきたのか伺う。

A田中スポーツ部長 中学校のスキー学習支援については、スキー学習実施校数の回復を目的に、平成19年度から、指導者資格を保有するインストラクターを派遣し、25年度からは、地域に住むスポーツ指導者を派遣することで、指導者の充足に取り組んできた。

 インストラクター派遣によって、生徒をレベル別にグループ編成できるようになり、教員を含む指導者1人当たりの持ち人数が20人以下となるなど、安全なスキー学習の実施にもつながっている。

 この結果、24年度にはスキー学習の実施率が9割まで回復し、その後、令和元年度まで8割を維持している。

 学校現場からは、指導者派遣があることで、スキー学習が実施でき、継続する上では不可欠だという声をいただいている。

 また、2年度については、コロナ禍においても移動時の密を避けて安心してスキー学習が実施できるように、貸切バスを増便する際の費用を支援している。

Qたけのうち委員 スキーを学び始める小学校段階では、スキーの持ち運び方や着脱、起き上がり方やスキーの操作方法など、雪に慣れて滑走できるようになるまでには、手厚い支援が不可欠である。

 スポーツ局として、小学校に対する支援についてどのように考えているのか伺う。

A田中スポーツ部長 小学校のスキー学習については、教員のみならず、保護者などの協力を得ながら実施されているが、年々、共働き世帯の増加などによって協力を得ることが難しくなってきていることから、支援者の確保が継続する上での課題となっているものと認識している。

 そこで、2年度、さっぽろグローバルスポーツコミッション、教育委員会、スポーツ局が連携して、ブーツの履き方や、転倒した児童への助言や補助などを行うボランティアを小学校4校に派遣する取組を試行的に実施した。

 派遣した学校からは、「児童に目が行き届くことでスムーズに進行できた」「安全な学習ができた」「声かけによって意欲的になった」など、高評価をいただき、ボランティア派遣の成果を実感した。

 スポーツ局としては、小学校が安心してスキー学習を実施できるよう、3年度以降、ボランティア派遣を本格実施することで、札幌の子どもたちがウインタースポーツの魅力を体感できるように取り組んでいきたい。

Qたけのうち委員 3年度に予定している屋外ウインタースポーツの魅力発信とはどのようなものを考えているのか伺う。

A田中スポーツ部長 コロナ禍にあって、屋外で気軽に取り組むことができるスポーツの魅力を発信することは、特に運動不足になりがちな冬季間においては極めて重要なことと考えている。

 このため、3年度については、雪上のビーチバレーとも言えるスノーバレーの普及のため、新たにイベントを開催することを予定している。

 このスノーバレーは、屋外で3対3で行われ、6人制バレーよりも小さなコートで手軽にできるものである。

 一方、競技スポーツとしても2026年の冬季オリンピックの正式種目入りを目指しているものであり、冬季オリンピック・パラリンピック招致を目指す本市にふさわしいスポーツと考えている。

 今後も、降雪地域における新たなスポーツの魅力発信や体験機会を計画することで、市民が雪に親しみ、楽しみながら札幌らしい健康づくりができるよう、取り組んでいきたい。

◆アスリートの育成支援

Q小口委員 札幌市スポーツ推進計画は様々な施策を行っているが、アスリートの育成支援として、さっぽろアスリートサポート事業を実施している。

 事業の予算額は従来、1000万円と計上されていたが、令和2年度は類似事業を統合し、予算額が1700万円に増額された。

 2年度に事業を統合した、経緯と意図について伺う。

A田中スポーツ部長 市では平成4年度から、国際大会や全国大会に参加する市民アスリートに対して、スポーツ振興基金助成金を交付する事業を行ってきた。加えて、28年度には、次世代のトップアスリートを育成することが札幌市のスポーツ振興に必要であると考え、寄付金を財源として、さっぽろアスリートサポート事業を開始した。

 その結果、内容が似ている事業が2つできたこによって、アスリートにとって分かりにくくなったとの声をいただいたことから、令和2年度に事業を整理・統合した。

 この事業統合によって、助成額を手厚くするとともに、申請手続が煩雑といった声を踏まえて、簡便な申請手続きとなるように見直し、利用しやすい制度にした。

Q小口委員 今後の事業の改善についてどのように考えているのか伺う。

A田中スポーツ部長 さっぽろアスリートサポート事業においては、限られた予算の中で効果的な支援を行うため、22歳を超えたアスリートの助成回数に上限を設けることで、次世代のアスリートに手厚く支援できるような制度としている。

 その一方で、アスリートの実情に合った有用な制度にしていくことも重要な課題と認識している。

 また、多くの競技種目を支援できるよう、1回の助成対象人数に上限を設けているが、競技団体からは、対象人数の上限について緩和を望む意見も寄せられている。

 競技団体の意見を参考にしながら事業の改善に取り組むことによって、札幌在住のアスリートの経済的負担を軽減し、より競技に集中して大舞台で活躍してもらうという事業目的を達成できるよう努めていきたい。

D小口委員 札幌市で力を入れているウインタースポーツ、その中でもフィギュアスケートやスノーボードは、10代の選手の活躍が目立つ一方、カーリングのように長期間活躍できる種目もあり、年代や期間は多岐にわたると思う。

 競技に集中できる環境が何より大切と思われる。一人でも多くの札幌市のアスリートががいせんできるよう、また、競技の将来を担う子どもたちが健全な環境で安心して参加できるよう、さらに選手に寄り添った制度の拡充を要望する。

◆タグラグビー

Q村上委員 タグラグビーを普及するに至った経緯と実施内容について伺う。

A田中スポーツ部長 ラグビーワールドカップの開催に当たり、道ラグビーフットボール協会と市において、大会後もラグビーを普及させていくため、令和7年度までの計画期間とするラグビーワールドカップ2019未来計画を策定した。

 この計画には、ラグビーファンの拡大のための施策などに加えて、タグラグビー教室の小学校での実施などによる競技人口の拡大に取り組んでいくことが掲げられている。

 また、2年度には、小学校の学習指導要領が改訂され、3・4年生の体育の時間において、タグラグビーのような陣地を取り合うゲームが必須の単元とされた。

 しかしながら、ラグビーがあまり普及していない札幌市においては、タグラグビーの経験のない教員、先生方が多く、ルールや指導方法を浸透させることが課題となっていた。

 こうしたことを踏まえまして、2年度から、道ラグビーフットボール協会と連携して、市教委協力のもと、小学校において、子どもたちにタグラグビーを教える出前授業を開始した。

Q村上委員 タグラグビーの出前授業については今後も積極的に進めていくべきと思うが、小学校だけでも市内に約200校ある。指導者の人数が足りず、その結果、タグラグビーに取り組めないという学校も出てくるのではないか。

 タグラグビーを授業に取り入れることを希望するすべての小学校に指導方法を伝えるため、どのように取り組んでいくのか。

A田中スポーツ部長 出前授業については、専門知識があり、かつ指導経験もある指導員を道ラグビーフットボール協会からの派遣で実施しているが、人材には限りがある。

 このため、より多くの教員に指導方法を理解していただき、教員だけでの授業が可能となるよう、教員向けのタグラグビー指導研修も行っている。現在まで、19校、307人に受講していただいている。

 また、指導研修に参加していない教員や参加した教員の確認用に指導方法を分かりやすく解説した動画を作成中であり、3年度から配信する予定。

 このような取組によって、出前授業を行っていない小学校においても、円滑に授業導入が進んでいくものと考えている。

Q村上委員 ラグビー普及に向けて、より幅広い年代に対して、今後どのような取組を行っていくつもりなのか伺う。

A田中スポーツ部長 ラグビーワールドカップの開催は、多くの市民にラグビーを知ってもらい、見てもらうきっかけして大きな役割を果たすとともに、国籍や年代を超え、感動を共有できたものと認識している。

 その会場である札幌ドームで再び国際試合やトップリーグの試合を開催することができれば、ラグビー人気の定着につながるものと考えており、道ラグビーフットボール協会、〓札幌ドームとともに試合の誘致を進めていきたいと考えている。

 また、観戦のみならず、大人にもより身近にラグビーを感じてもらうため、3年度には、タグラグビーの親子体験教室を開催して、実際に保護者にもタグラグビーを体験していただく予定である。

 ワールドカップで広く認知されたラグビーをより一層、市民のする、見る、支えるスポーツとして定着させていくため、今後も普及振興に努めていきたい。

◆スポーツ施設配置活用方針

Q藤田委員 札幌市スポーツ推進計画の改定版では、20歳以上の市民が週1回以上スポーツに取り組むスポーツ実施率を、平成29年度の56・4%から令和4年度には65・0%まで向上させることを目標にしている。

 スポーツ推進計画に示されている29年度の年代別スポーツ実施率をみると、30代、40代が約45%と大変低くなっている。その理由として、約半数の方が仕事や家事が忙しいとしているが、約4分の1は、施設の利用日や時間が限られていると回答している。

 こうしたスポーツを取り巻く背景がある中、このたびのスポーツ施設配置活用方針に示された施設総量適正化と機能向上の考え方について伺う。

A田中スポーツ部長 今後、人口減少や超高齢社会が進展していく中で、一斉に訪れる既存施設の更新に対応していくためには、将来の需要に見合った施設総量としていくことが必要と考えている。一方、市民の誰もがスポーツに取り組むことで健康で生き生きとした活力ある社会としていくためには、スポーツに参画できる機会の総量を確保していくことも必要と考えている。

 こうしたことから、スポーツ施設については、利便性の高い場所への集約など効率的・効果的な施設整備に加えて、利用時間の拡大など、運営方法の工夫によって、より多くの市民が利用しやすい環境づくりに向けた検討を進めることとしている。

 また、市民の日常的な運動・健康づくり機能を確保するため、身近な学校や公園、コミュニティー施設など、スポーツ施設以外の施設について、さらなる活用に向けた検討を行うこととしている。

 これらの取組によって、スポーツ施設の総量適正化と機能向上の両立を図って、社会情勢が変化する中にあっても持続可能な施設環境を整えていく考え。

Q藤田委員 学校や公園、コミュニティ施設などの市有施設や大学、民間施設などの活用について、現状をどのように認識し、さらなる活用についてどのように取り組んでいくのか伺う。

A田中スポーツ部長 学校施設については、すでに学校施設開放事業によって多くの市民に利用され、特に体育館については利用率が90%近くで推移していることから、引き続き、現在の取組を実施していく。

 学校以外の公園施設や区民センターなどのコミュニティ施設、児童会館などの市有施設については、現在の稼働率からスポーツ利用を拡大できる可能性があることから、施設利用情報の提供方法を工夫するなど、分かりやすい利用環境の整備を検討していきたい。

 また、市有施設以外の大学や周辺自治体の施設については、現在でも一部の競技団体が利用しているが、こうした施設の市民利用の状況や課題などを把握し、活用拡大の可能性について施設管理者と協議していきたい。

 民間施設については、現在、一部の区の温水プールについて民間施設が機能を担っていることなどを踏まえ、さらなる民間活力の活用を検討していきたい。

Q藤田委員 学校については、体育館の利用率が90%を超えるということだが、今後、少年団や運動部活動も運営方法が大きく変わる過渡期にある。教員のみならず、地域の方々や外部人材、あるいは民間のスポーツクラブや総合型地域スポーツクラブが運動部活動などの運営を担う時代が来ることが想定される。今後、施設利用の在り方自体を見直し、新たなルールづくりが必要ではないかと考えている。

 同様に、公園や河川敷においても、民間のスポーツクラブや総合型地域スポーツクラブが子どもたちにスポーツを教え、スポーツを提供する場として活用することも、ぜひ検討いただきたい。

 民間活力の活用について、メリットやデメリットなどをどのように認識し、今後どのように検討を進めていくのか伺う。

A田中スポーツ部長 市内には、トレーニングやテニス、ダンス、武道などを行う民間施設が100施設以上あるほか、民間温水プールも約30施設ある。

 こうした民間施設の活用については、民間事業者の創意工夫を生かした施設の整備運営によって、公共施設にかかるコストの削減に加え、多様化する市民ニーズへの対応など、サービスの向上も期待される。一方で、民間施設は社会経済情勢に大きく影響され、市民サービスが途絶えてしまう可能性もあることは認識している。

 これらのことを踏まえ、令和3年度、まずは、民間プール施設の利用拡大の可能性やそのための課題を把握するほか、民間事業者が施設を整備運営する場合の収益性などについて調査したいと考えている。

 こうした調査結果を踏まえて、民間活力を活用したスポーツ施設の整備運営の拡大に向けた検討を行い、市民がスポーツに参画する機会の総量の確保につなげていきたい。

◆障がい者スポーツ振興

Q石川委員 障がい者スポーツの普及振興に向け、これまでスポーツ局においてどのようなことに取り組んできたのか、現時点での課題としてはどのようなものがあるのか伺う。

A田中スポーツ部長 スポーツ局では、障がい者スポーツの裾野拡大を図るため、この5年間で車いすバスケットボールやスキーをはじめとした様々な競技の体験会を区の体育館などにおいて計30回実施しており、延べ2400人以上が参加している。

 また、障がいのある人が継続的にスポーツに取り組む機会を提供するため、平成29年度から、市立札幌みなみの杜高等支援学校において、障がい者スポーツ専用の学校開放を実施しているほか、令和元年度からは、体験会などでスポーツに興味をもった子どもたちが様々な競技スポーツについて指導を受けられるパラスポーツクラブ札幌を運営してきた。

 今後も、こうした障がい者スポーツの裾野拡大や、継続的な活動の支援に力を入れていきたいと考えている。

 一方、さらなる振興を図る上での課題としては、指導者をはじめとしたスポーツ活動を支える人材が不足しているなど、障がいのある人がスポーツを続けていける環境が整っていないことが挙げられる。

Q石川委員 障がい者スポーツに対する理解を拡大し、支える人材を増やすため、今後どのように取り組んでいくのか。

A田中スポーツ部長 障がい者スポーツに対する理解を拡大するため、各競技の体験会において障がいのない人にも参加を促してきたほか、2年度からは、若い世代がパラアスリートと直接交流する機会として、市立札幌旭丘高校の生徒などを対象に講演会を実施した。

 また、支える人材の養成に当たっては、障がい者スキーの指導者養成講習会を実施しているほか、3年度からは、障がいのある人の日常的なスポーツ活動を支援するため、学生を対象としたボランティア養成講習会の実施を予定している。これらの参加者に対して、支援活動の実践の場を設けていきたいと考えている。

 さらに、競技に取り組む選手とそれを支援する人たちをつなぐ役割も担う障がい者スポーツセンターの在り方についても、検討、調査を進めていきたい。

 こうした取組によって、今後も、障がい者スポーツの振興を通じて、障がいの有無にかかわらず、誰もがスポーツを楽しむ環境づくりを目指していきたい。

D石川委員 市立札幌みなみの杜高等支援でのスポーツクラブは、障がいのある人にとって、まさしくスポーツの拠点になっていると思う。障がい者スポーツは、障がいの種類や程度によって大変多様であることから、その分、簡単に始められるということも当事者から伺っている。

 今後は、より身近なところで、障がいの個性に応じたスポーツ活動を気軽に行うことができるよう、拠点活動の広がりに向けた取組も期待する。

 市においては、年齢や性別、体力や障がいの有無などを問わず、すべての市民がスポーツを通じて社会へ参画することができる共生社会の実現を目指しており、スポーツは心身の健康のみならず、様々な人との交流を通したやりがいや生きがいを伝えることができるところに価値があると考えており、高校生を中心に取り組まれているということだが、ぜひとも多くの若者にかかわってほしいと考えている。

 今後も、障がい者スポーツをする人、支える人の両方を増やしていけるような取組を積極的に進めていただきたい。

(札幌市 2021-09-22付)

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(2021-09-24)  全て読む

各校の特色など紹介 札幌市教委 特認校のしおり

札幌市教委特認校のしおり改訂  札幌市教委は、市立の小規模特認校の活動などを紹介する『特認校のしおり』の内容を一部改訂した。盤渓小学校、有明小学校、駒岡小学校、福移小・中学校の授業や活動の様子を掲載している。  市は、...

(2021-09-24)  全て読む

予算特別委員会 3月26日

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼佐藤綾委員(日本共産党) ▼藤田稔人委員(自...

(2021-09-24)  全て読む

札幌市幌南小 国研調査官招き 10月1日に公開授業 心身・健康保持教育促進

 国立教育政策研究所の令和3年度教育課程実践検証協力校に選定されている札幌市立幌南小学校(大牧眞一校長)は10月1日、事業の一環で公開授業を実施する。5年2組の保健「けがの防止」を公開。授業...

(2021-09-24)  全て読む

次期まちづくり戦略 文化等分野 雪育の導入等求める声 札幌市 4年度開始に向け

 札幌市は16日、市役所本庁舎を主会場に、オンラインでまちづくり戦略ビジョン審議会専門部会を開催した。令和4年度を始期とする仮称・第2次まちづくり戦略ビジョンのうち、経済分野とスポーツ・文化...

(2021-09-22)  全て読む

札幌市教委3年度全国学力・学習状況調査実施報告書 第4回 新型コロナウイルスの影響

◆家庭での学習 ▼調査結果 ▽自分で計画を立てて勉強している子どもの割合は、小学校、中学校ともにこれまでの調査と比較して最も高い状況である ▽学校の授業時間以外(月曜日から金曜日)、1...

(2021-09-22)  全て読む

札幌中の島中 パラ教育道徳授業 共生社会の担い手に 目隠しながら体験活動も

札幌中の島中パラ教育道徳授業  札幌市立中の島中学校(秀島起也校長)は14日、同校体育館でパラリンピック教育に関する道徳の授業を行った。3年生133人が参加。生徒たちは、東京2020パラリンピックのダイジェスト映像を視聴...

(2021-09-22)  全て読む

産婦人科医等派遣事業実施方法一部変更 中学等は年間50校派遣 札幌市教委 隔年で全校実施

講師派遣の見通し  札幌市教委は本年度、毎年度実施している産婦人科医および助産師による講師派遣事業において、派遣方法などの事業内容を一部変更して実施している。中学校、分校、中等教育学校前期課程において、第1、...

(2021-09-22)  全て読む

札幌市教委 3年度全国学力・学習状況調査実施報告書 第3回 学習習慣の定着で成果 児童生徒質問紙

表 【結果の概要】 ▽自分で計画を立てて勉強している子どもの割合  小学校、中学校ともに、前回調査と比べ大きく増加している。これまでの調査と比べて最も高い状況である。 ▽難しいことでも、失...

(2021-09-21)  全て読む

札幌市 ワクチン集団接種再開 パークホテル27日から 16歳以上の予約を開始

 札幌市は、新型コロナウイルス感染症のワクチンにかかる集団接種会場の再開および16歳以上の予約を開始する。休止していた札幌パークホテルにおける集団接種を再開。27~30日、10月は毎日(木曜...

(2021-09-21)  全て読む