札幌資生館小学校　“楽聖”の胸像と楽譜碑　「どんぐりころころ」作曲した卒業生

（札幌市 2021-10-04付）

　ことしは、札幌最古の教育施設「資生館」開設から１５０年の節目に当たる。名称を今に受け継ぐ札幌市立資生館小学校（村元秀之校長、児童数５２０人）には、歴史の深さを感じさせる宝物が数多く残っている。

　明治４年の開設以降、札幌の急速な発展と歩調を合わせるように分離・統合を繰り返した。平成１６年、旧資生館の流れをくむ創成、豊水、大通、曙の４小学校が統合。“初心に帰って新たに出発する”という思いを背に、「資生館小学校」として歩み出した。

　校舎地下のメモリアルホールには、かつての４校の校章や校旗はもちろん、校名を記した銘板、校舎に掲げられていた機械式大時計、旧校舎の階段、戦前の教科書、二宮尊徳像などがズラリ。地上５階地下１階建ての近代的な校舎の中にあって、どこかノスタルジックな雰囲気が漂う。

　数ある宝物の中でも、校地南西にたたずむ胸像と楽譜碑には、特別な存在感がある。胸像の主は梁田貞。旧創成小学校の卒業生で、誰もが耳にした童謡「どんぐりころころ」の作曲者だ。

　梁田氏は、明治末から昭和３０年ころにかけて活躍。童謡、唱歌から歌謡曲まで幅広いジャンルを手がけ、今でも広く親しまれる楽曲を数多く遺した。

　胸像と楽譜碑は昭和４３年５月、生前に親交が深かった教育学者・小原國芳氏ら有志が、没後１０年目に際し建立したもの。“楽聖”と刻まれたブロンズ板には、梁田氏の作曲家としての業績とともに、音楽教師として教壇に立ち続け、多くの人材を育てたことに対する敬意が込められている。

　建立から半世紀が過ぎた今も、胸像の梁田氏は教え子から「ライオン先生」と慕われた教師時代と変わらない、穏やかな表情を浮かべる。音楽室に響く童謡を聴いて、子どもたちの健やかな成長を見守っている。

(札幌市 2021-10-04付)