上川教育研修センターが研究授業 指導と評価の一体化へ 旭川永山南中 比例・反比例
(関係団体 2021-11-18付)

上川教育研修センター研究授業永山南
机間巡視などから見取りを行う青木教諭

 【旭川発】上川教育研修センターは10月中旬、研究協力校の旭川市立永山南中学校(福澤秀校長)で研究授業を行った。所員や同校教職員約20人が、同校の青木俊也教諭による数学「比例と反比例」の授業を参観。青木教諭は、身近にある関数関係を探すレポート課題や振り返りシートなどを活用して生徒が主体的に学習に取り組む態度を見取るとともに、単元のゴールへの見通しをもたせた。

 センターは、第18次研究の研究主題を「主体的・対話的で深い学びを実現する学習指導の在り方」と設定。指導と評価の一体化に向け、①単元目標の明確化②単元評価規準の設定③単元の指導計画・評価計画④観点ごとの総括―の4点を重点に研究している。

 2ヵ年計画の2年次に当たる本年度は、③④を中心に推進。旭川市立東明中学校、美瑛町立美瑛東小学校のセンター研究員2人と、協力校の旭川市立陵雲小学校、永山南中の2校による授業実践をもとに理論を検証し、研究発表会や研究紀要で成果の普及を図る。

 この日、永山南中の青木教諭が1年3組(生徒数35人)数学科「比例と反比例」の研究授業を指導。20時間扱いの1時間目に当たる本時の目標を「具体的な事象の中にある2つの数量関係の変化や対応の様子をとらえ、関数関係にある身近な事象を見つけようとしている」と設定した。

 問題の把握場面では、規則に従って並べた正方形を示し、段数の増加に伴って「何の数量が変わるか」と発問。ワークシートに「面積」「周りの長さ」「高さ」などの意見を記述させた上で、課題「段数とどのような関係があるだろうか」を提示した。

 小学校での既習事項から、2つの数量関係を表す方法として表やグラフ、式などがあったことを振り返った上で、ここでは表を活用することを確認。段数と高さ・幅・面積それぞれの関係について個人で考え、表に記入させた。

 全体共有し、関数・変数の意味を言葉でまとめたあと、単元のゴールについて説明。日常にあふれる身近な関数として、「コピー用紙の枚数と厚さの関係」「電子レンジで食品を温めるときの力と時間」を例示し、これらに隠された関数、さらに自分で見つけた関数関係についてレポートにまとめることを予告した。

 身近な関数を見つける練習の「レポート0」に取り組ませると、生徒から、「稼いだ分、所得税が増える」「スマホで通話するほど料金が増える」などユニークな考えが飛び出した。

 終末では「振り返りシート」を配布し、本時の成果や課題などを自己評価させるとともに、単元のゴールまでの見通しをもたせた。

 授業後の研究協議では、抽出生徒の「主体的に学習に取り組む態度」の見取りを中心に討議。参観者から「友達の考えをヒントに、自分で事例を書けていた」「身近な事例につなげる単元設定によって、学習への必要感が高まる」「振り返りシートによって自分の学習位置が明確になる」などの声や、「レポート0の記入時間や交流時間をもう少し増やせるとよいのでは」などの意見が寄せられた。

(関係団体 2021-11-18付)

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