高校水産クラブ連盟 北斗で研究大会 厚岸翔洋2年連続優秀賞 アナジャコによる影響を調査
(関係団体 2021-11-19付)

高校水産クラブ研究発表会
映像を交えながら日ごろの研究成果を熱心に発表した

 【函館発】道高校水産クラブ連盟は9日から2日間、北斗市総合文化センターかなで~るで第42回研究発表大会を開いた。小樽水産高校、函館水産高校、天売高校、厚岸翔洋高校の4校から11チーム約30人の生徒が参加。取り組んできた研究内容を発表し、学習の成果を競った。審査の結果、アナジャコがアサリに及ぼす影響を調査し、商品開発なども行った厚岸翔洋高海洋資源科が、前年度に引き続き最高賞の優秀賞に輝いた。

 開会式では渡島教育局の谷垣朗局長があいさつ。「発表を通して水産に関する専門的な知識・技能を一層身に付け、今後の水産業やより良い社会の実現に生かしてほしい」と期待した。

 研究発表に移り、11チームが発表。

 うち、函館水産高機関工学科3年の古田蒼馬さんと山田翼さんは、「地域の海中林を調査できる海中ロボットの開発~“うみつばめ”はアマモ場に舞い降りた」と題して発表。北斗市上磯地区で漁獲される魚種の水揚げ量が減少傾向にある課題について、海水温度の低下や藻場の減少などを分析した。

 2人は「食物連鎖の生産者として生態系の基礎となる藻場の減少は海の砂漠化につながる」とし、地域の海中林を調査できる懐中ロボット「ROVうみつばめ」を5ヵ月の製作期間を経て開発。上磯地区の藻場を海中撮影した動画を紹介し、「漁獲量が多いと海藻が減る。正確な資源量を知ることが重要」と強調した。

 考察では、資源管理と海中モニタリング調査の必要性を提示した上で、「持続可能な漁業につなげたい」と伝えた。

 厚岸翔洋高海洋資源科3年の茜碧海さん、椎野直也さん、佐藤慶一さん、村田朱音さんの4人は、「厚岸のアナジャコを美味しく食べて一石二鳥PartⅢ」をテーマに、厚岸町のあさり島に生息するアナジャコがアサリに及ぼす影響を、北海道大学水産学部と共同で野外調査したことを報告。

 室内実験や調査の結果、アナジャコの生息は、アサリの生息に悪影響は及ぼしていないことが判明。生息には、岩石の砕屑物、礫、生物遺体、水中からの化学的沈殿物など、底質の改善が重要と考察した。

 また、アナジャコをおいしく食べる方法も研究し、アメリケーヌソースを独自に開発。「アナジャコを厚岸の特産物としていきたい」と地域の食の魅力化に向けた意気込みを示した。

 審査の結果、厚岸翔洋高海洋資源科のチームが2年連続で最高賞の優秀賞を受賞した。

 閉会式で木村司会長(小樽水産高校長)は「全道大会にふさわしい発表。後輩につなげてほしい」と生徒の努力をたたえ、受賞した4校5チームの代表生徒に表彰状とトロフィーを授与した。

 厚岸翔洋高海洋資源科は12月16、17日に沖縄水産高校で開催される全国大会に出場する。

 大会結果はつぎのとおり。

▽優秀賞=厚岸翔洋海洋資源科「厚岸のアナジャコを美味しく食べて一石二鳥PartⅢ」

▽優良賞=函館水産機関工学科「地域の海中林を調査できる海中ロボットの開発~“うみつばめ”はアマモ場に舞い降りた」、小樽水産水産食品科「SDGs(持続可能な開発目標)への取組~新商品の開発を目指して」

▽努力賞=天売普通科「天売島岸壁の牡蠣を利用できないか」、函館水産水産食品科「持続可能にする地域へのメッセージ~変化していく魚種への対応」

(関係団体 2021-11-19付)

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