道特協 経営研究会上川大会 共生社会構築を 猪股会長
(関係団体 2021-11-17付)

道特協経営研究会上川大会1029
扇山小から開会あいさつを配信する猪股会長

 【旭川発】道特別支援学級・通級指導教室設置学校長協会(=道特協、猪股嘉洋会長)は10月下旬、富良野市立扇山小学校を拠点に第46回経営研究会上川大会をオンライン開催した。全道各地から111人が参加。大会主題「共生社会の形成に向けて、一人一人の教育的ニーズに応え、豊かに生きる力をはぐくむ特別支援教育の推進と充実」のもと、講演や分科会などを通して、共生社会の構築に向けた学校経営の在り方などを考えた。

 当初は2日間日程を予定していたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、日程を短縮、参加人数を制限し、初めてオンラインで開催。会場には役員ら19人が参加し、会員92人はZoomを介して参加した。

 開会あいさつで猪股会長は、東京パラリンピックの組織委員会長があいさつで「ユニバーサルデザインのまちづくり」「心のバリアフリー」にふれたことや、東京オリンピックのテーマの一つに「多様性と調和」が掲げられたこと、「令和の日本型教育」で新時代の特別支援教育の在り方についての指針が詳しく挙げられたことを紹介。多様性と調和のイメージを共有し、共生社会の構築に向けて実りある大会となることを期待した。

 つぎに、開催地を代表し桑原啓成大会実行委員長があいさつ。コロナ禍にあって、特別な支援を要する児童生徒の健康や発達に大きな影響を及ぼしている現状を解決するため、「今こそ校長は、子どもや保護者の心に寄り添った特別支援教育が実践されるための具体的な戦略をもつ必要がある」と呼びかけた。大会を「互いの学校や地域の実践を交流できる貴重な研修の場」ととらえ、児童生徒一人ひとりの教育的ニーズに応じた実践面の一層の充実・深化に向けて活発な協議を求めた。

 開会式のあと、道教委の伊藤友紀教育指導監が「特別支援教育の推進と学校経営~小・中学校における特別支援教育の充実」と題して講演した。伊藤教育指導監は、特別支援教育を取り巻く国の動向や、本道の現状と課題などを示した上で、特別支援教育推進に向けて求められる教職員の専門性の向上や、校長の責務などについて解説した。

 在籍児童生徒の増加等に伴う特別支援教育担当教員の増加、教育課程の複雑化など、本道の特別支援学級の現状を提示。今後の特別支援教育の推進・充実に向けて求められる「教職員の専門性の向上」に向け、①特別支援学校教諭免許状の取得②特別支援教育総合研究所(=NISE)によるコンテンツを活用した研修③自立活動の指導④交流および共同学習の推進―の4点からポイントを解説した。

 ①について、本道では免許保有率が全国と比べて高い水準となっているものの、管内によってばらつきがあることを指摘。認定講習の実施について、担当者への早めの周知を求めた。

 ②では、NISEによる特別支援教育eラーニング「学びラボ」や、知的障害特別支援学級担当者のための授業づくりサポートキット「すけっと」などを紹介し、研修資料の積極的な活用を呼びかけた。

 ③では、新学習指導要領で「特別支援学級の教育課程で自立活動を必ず取り入れる」とされていることを確認。「自立活動の理解なしに特別支援教育は進まない」とし、学びラボのコンテンツなど指導資料を活用して研修を深めるよう伝えた。

 ④では、交流が児童生徒にとって意義のある時間となるよう、活動のねらいを明確化する必要性などを伝えた上で、NISEのインクルーシブ教育システム構築支援データベース「インクルDB」に掲載されている実践事例集などを参考とするよう勧めた。

 校長の責務として、「学校経営の柱の一つとして特別支援教育の充実を図る」ことをあらためて確認。市町村のみならず管内、道立特別支援教育センターや各管内のスーパーバイザーなどとのつながりを大切にして組織の活性化を図るよう呼びかけた。

 講演のあと、分科会を展開。分科会Aでは「特別支援学級等における特別支援教育の充実と学校経営の在り方」、分科会Bでは「教職員の意識改革および支援体制の構築と学校経営の在り方」をテーマに、提言に基づく研究協議を行った。

 各分科会の提言課題と提言者はつぎのとおり。

▼分科会A

▽課題1「交流および共同学習の在り方と教育課程の編成にかかわる校長の取組」=帯広市立花園小・小澤容子校長

▽課題2「個別の指導計画・個別の教育支援計画の活用と一貫した指導支援にかかわる校長の取組」=登別市立鷲別中・鈴木恭朗校長

▼分科会B

▽課題3「教職員や特別支援教育コーディネーターの専門性・資質向上にかかわる校長の取組」=千歳市立信濃小・髙橋真校長

▽課題4「学校間・校種間・関係機関との連携による校内支援体制の充実にかかわる校長の取組」=雨竜町立雨竜中・多田光次郎校長

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道特協経営研究会伊藤教育指導監講演
伊藤指導監は横のつながりで組織の活性化を図るよう呼びかけた

(関係団体 2021-11-17付)

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