上教研が第55回研究大会開く 未来切り拓く子を育成 授業動画19本と講義動画配信(関係団体 2021-11-24付)
【旭川発】上川管内教育研究会(=上教研、会長・鈴木薫美瑛町立美瑛中学校校長)は9月下旬から10月上旬にかけて、第55回3地区研究大会をオンラインで開催した。各地区から寄せられた19本の授業動画と、今日的な教育課題にかかわる講義動画を配信。研究テーマ「北国に行き、未来を切り拓く子どもの育成」、合言葉「一人の百歩前進より、百人の一歩前進」のもと、ICT活用などを図った授業改善の成果を披露した。
例年、各地区で研究大会を開催しているが、前年度は新型コロナウイルス感染症対策のため中止した。コロナ禍が続く本年度は、人流を抑制しながらも学びを止めない方法として、動画視聴によるオンライン形式で開催した。
事前に録画した19本の授業動画と、今日的な教育課題にかかわる講義動画を配信した。会員は、各地区研究大会の開催日を研修日とし、授業・講義の動画を1本ずつ視聴。10月10日までの期間中は、普段なかなか参観できない他地区の授業動画も含め、いつでも視聴できるようにした。
講義動画では、上川教育局の望月俊綱義務教育指導班主査が「育成を目指す資質・能力と個別最適な学び・協働的な学びについて」、義務教育指導班の鎌田隆仙主任指導主事が「管内における特別支援教育の充実に向けて」をテーマにそれぞれ講話。
望月義務教育指導班主査は、今後の社会に求められる資質・能力について説明した上で、学校教育の情報化や、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善、学習評価にかかわるポイントを示した。
鎌田主任指導主事は、国の動向や管内の状況を示した上で、管内における特別支援教育の充実に向けて「学びの場の柔軟な見直しや決定までのプロセスの改善」「個別の教育支援計画の引き継ぎ」などの重要性を伝えた。
◆北部地区
北部地区では、9月29日を中心に授業動画を視聴。美深町立美深中学校、名寄市立名寄東中学校、和寒町立和寒小学校、中川町立中川中学校から国語、数学、体育、総合、英語の5本の授業が公開された。
うち、名寄東中の宮下隆太郎教諭は、2年生(生徒数34人)の保健体育「球技 ベースボール型 ソフトボール」を指導。ロイロノートを活用し、撮影動画を見て課題の把握や技能の習得につなげる授業を展開した。
7時間扱いの3時間目に当たる本時の目標を「打撃動作習得のために、動作の課題を見つけることができる」と設定。リズミカルなウオーミングアップや、ゴロ捕球、フライキャッチなどの基本練習を行ったあと、展開部分ではグループに分かれて役割分担し、一人ひとりの打撃動作をタブレット端末で撮影させた。
事前に確認した「構え」「バットの握り方」などの観点をもとに、動画で客観的に自身の動作を分析し、「平行にバットを振れていない」「左足に体重が乗っていない」などの課題をロイロノートに入力。課題を克服する練習を行ったあと、改善部分を意識してバッティングゲームに取り組ませた。
まとめでは打撃動作の課題を振り返り、単元のゴールへの見通しをもたせた。
◆中部地区
中部地区では、9月30日を中心に授業動画を視聴。東神楽町立東聖小学校、当麻町立当麻中学校、比布町立中央小学校・比布中学校、美瑛町立美瑛中学校、鷹栖町立北野小学校、東川町立東川小学校から、国語、社会、算数・数学、美術、体育、道徳、Globe(創設教科)、自立活動の9本の授業が公開された。
うち、比布中の山崎優輝教諭は、中央小5年生(児童数24人)算数「合同と三角形、四角形」の授業を指導。ロイロノートの共有機能を活用し、既習事項の三角形の角度の求め方を分かりやすく説明させる授業を展開した。
比布町では、中学校教員が小学3~5年生に毎年3時間程度の出前授業を実施。山崎教諭は本年度、4・5年生を1時間ずつ担当している。
本時は単元の最後にある「学んだことを使おう」を教材とし、目標を「角度の求め方を筋道を立てて考え、説明することができる」と設定した。
冒頭、1つの三角形の図形を示し、1つだけ不明な「角度あ」が何度になるか発問。求めるために必要なポイントとして、「ほかの2つの角度」「3つの角の和180度」「直角三角形」を確認した上で、これらの情報を使いながら「角度あ」の求め方の説明をノートに記述するよう伝えた。
個人思考の途中、自由に立ち歩いて級友のノートを見に行くよう指示。級友の考えを参考にして、さらに個人思考をふくらませた。
自分のノートを撮影してロイロノートに提出し、全員の考えを全体で共有・比較。より分かりやすいと考える説明をピックアップさせ、名前が上がった4人の児童の考えを抽出することで、良い点の共通理解を図った。
◆南部地区
南部地区は、10月5日を中心に授業動画を視聴。富良野市立富良野小学校・富良野西中学校から国語、数学、音楽、体育、食育(特活)の授業が公開された。
うち、富良野小の宍戸綾音教諭は、4年生(児童数23人)の国語「言葉が表す感じ、言葉から受ける感じ」を指導。課題の配布・記入・提出・共有はすべて授業支援ソフト「オクリンク」を活用し、イメージに合った菓子名を考え交流する授業を展開した。
4時間扱いの4時間目に当たる本時の目標を「相手に伝わるようなお菓子の名前を考え、その理由を伝え合うことができる」と設定。前時までに、言葉のもつイメージやオノマトペについて考える活動などを通じ、言葉には共通のイメージを表す働きがあることなどを学習している。
本時の冒頭では、製菓会社の社員になった設定で「特徴が伝わるように名前を考えよう」と課題提示。例として「マラルミー」の名前を挙げ、どんな菓子を想像するか、オクリンクで絵を描いて形や色、味などを具体的に表現させた。
児童の考えを一斉に共有し、共通点として「丸い」要素があることなどを確認。「マ行は丸っこい感じがする」などのイメージを共有し、「ふわふわなお菓子」「さくさくなお菓子」「ごつごつなお菓子」のそれぞれの特徴が伝わる名前を考えるよう指示した。
児童は個人思考で配布されたカードに菓子名を書いたあと、名前をつけた理由を交流。全体共有では、ほかの児童と考えを比較して共通点や相違点を見つけ、どうしたらよりよい名前になるか思考を深めた。
まとめでは、言葉によって様々なイメージを表現できることや、相手に伝わるよう表現を考えることの大切さを確認した上で、ノートに振り返りを記述した。
(関係団体 2021-11-24付)
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