北教組9月勤務実態記録調査 時間外在校上限超5割 休憩時間等6割把握せず
(関係団体 2021-11-29付)

北教組9月勤務実態調査結果
北教組9月勤務実態調査結果(クリックすると拡大表示されます)

 北教組(木下真一中央執行委員長)は25日、9月勤務実態記録の集計結果を公表した。超勤時間と休憩時間の業務時間を合わせた時間外在校等時間は、全校種平均で46時間39分、月45時間を超えた割合は47・3%。持ち帰り業務を加えると57時間27分で、月45時間を超えた割合は61・3%に。月80時間を超えた割合は、小学校で19・9%、中学校で21・0%となった。休憩時間の業務時間把握状況をみると、全校種で63・7%が「把握していない」ことが明らかになった。結果を踏まえ、正確な時間外在校等時間の把握を前提に、教職員定数の改善や年間標準授業時数の削減、給特法の抜本的見直しなどの必要性を訴えている。

 一昨年12月の公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)改正に伴い、時間外在校等時間の上限が1ヵ月で45時間以内、年間で360時間以内と定められた。調査は、時間外在校等時間の実態を把握するため、昨年9月に引き続き、独自に実施したもの。

 対象は、給特法適用の教職員で、組合員のほか、未組織者(札幌市立学校を除く)にも協力を要請。小学校が全教職員の32・3%に当たる4000人、中学校が28・3%に当たる1904人、高校が0・7%に当たる49人、特別支援学校が2・3%に当たる82人から回答を得た。

 記録した時間は、①超勤時間(割り振られた勤務時間を超えて勤務した時間)②休憩時間に業務を行った時間③持ち帰り業務時間―の3種類。持ち帰り業務時間は定義上、時間外在校等時間に入っていないが、全体を含めた超過勤務実態を明らかにするため、項目に加えた。

 調査結果をみると、①と②を合わせた時間外在校等時間は、全校種平均で46時間39分。月45時間の上限を超えた割合は47・3%となった。前年度同期の調査と比べて、7時間42分減、10・5ポイント下降し、特に中学校と高校の減少が顕著な結果となった。

 北教組は、ことし9月に緊急事態宣言によって学校行事と部活動に大きな制限が課されていたことによる影響と推察。一方で、こうした制限下にもかかわらず、上限超えの割合が半数以上になっていることから、「時間外勤務の要因が部活動だけではないことが明確になった」としている。

 今回初めて調査したのは、月80時間以上の超過勤務の人数および割合と、休憩時間および週休日・休日の業務時間を把握している学校数。

 持ち帰り業務時間を合わせた月80時間以上の超過勤務の人数および割合をみると、全校種で、集約人数の20・0%に相当する1206人が80時間を超過。このうち、小学校は794人で19・9%、中学校は399人で21・0%だった。100時間超は全校種合計で503人、8・3%。うち、小学校・中学校合わせた人数は497人で、8・4%だった。

 休憩時間および週休日・休日の業務時間を把握している学校数のうち、休憩時間については、「把握していない」小学校が360校。中学校は182校が把握していなかった。週休日・休日については、「把握していない」小学校が284校、中学校が140校にのぼっている。

◆時間外把握前提に国の抜本的対策を

 北教組は調査結果から、「教職員の5人に1人が“過労死”の危険性がある」「多くの学校で正確な時間把握が行われていないことが明らかになった」などと指摘。「業務量と教職員数のミスマッチが解消されない限り、教職員の超勤・多忙化が解消されることはない」とし、「1日の所定の勤務時間の中に“日課表に拘束されない時間を最低2時間”つくる」などの具体的な方策を提示した。

 これを踏まえ、道教委および市町村教委が正確な時間外在校等時間の把握に努めることを前提に、国による「給特法廃止・抜本的見直し」「教職員定数を増やすための義務標準法改正」「年間標準授業時数を削減するための学習指導要領改訂」「部活動の社会教育への移行」などを強く訴えている。

(関係団体 2021-11-29付)

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